
朝顔や 一輪だけの
朝顔は夏の花だ。夏の気持ちのいい朝、大輪の花が次から次に開く。
陽差しが強くなる頃には花びらを閉じてしまう。
その朝顔が、よく晴れたさわやかな秋の青空の下、一輪だけ咲いていた。
まわりの木の葉は枯れ始めているというのに、なんとも元気な朝顔だ。
株式会社ハンモック会長による、写真俳句ブログです。
朝顔や 一輪だけの
朝顔は夏の花だ。夏の気持ちのいい朝、大輪の花が次から次に開く。
陽差しが強くなる頃には花びらを閉じてしまう。
その朝顔が、よく晴れたさわやかな秋の青空の下、一輪だけ咲いていた。
まわりの木の葉は枯れ始めているというのに、なんとも元気な朝顔だ。
朝寒や 色のあせたる
朝晩が寒さを増してきた。
お彼岸頃からまさに秋が始まり、日に日に深まっていく。
百日紅もさすがに花の色があせてきて、その姿は悄然としている。
夕闇や どこかにたしかに 金木犀
夕闇が迫ってきた。ドアを開けて外に出る。
とたんに、金木犀の香りがただよってきた。
秋が深まるころ、街は金木犀の香りでいっぱいになる。
この匂いの正体を探すが、地味な花なのか、
夕闇にまぎれてなかなか見つけられない。
線香の灰 ぽとり
毎月、晴れた日を選び香炉に線香をたてる。
身近な人が亡くなり始め、線香の数はもう4本になった。
灰がぽとりぽとりと落ち、燃え尽きるまで故人を偲ぶ。
時には故人の思い出からはなれて、別のことを考えてしまうこともあるが、
私にとっては月に一度、故人を静かに思い浮かべる一時である。
サンダルを ぬぎそろえたり 秋の月
秋の夜長を楽しむ季節になった。
食後につい夜風に誘われて月見をしたいなどという気持ちになったりする。
そして月見のあとは、何故かサンダルをきれいに揃えて部屋に戻りたくなる。
風流という言葉が死語にならないように。
秋風や とべなくなった アゲハ蝶
お盆を過ぎ、10月に入るとめっきり気温が下がってきた。
庭の木に一匹のアゲハ蝶がとまっていた。
風に揺れながら、全くとびたつ気配がない。
もうとぶだけのエネルギーが残っていないのか。
いつまでも風に揺れていた。
夕暮の 廊下づたいに 蚊遣かな
沖縄の夏は長い。10月に入ってもまだ陽差しは強い。
古い家屋を利用した沖縄料理の店では、夕方になると蚊取線香に火をつける。
線香の煙はゆらゆら廊下をただよい、かすかに匂いを伝える。
山越えて 湯浴みせんとて 本栖みち
本栖みちは曲がりくねった山岳道路だ。
本栖湖からぐにゃぐにゃ曲りながら国道52号に達し、甲府や静岡に向かう。
52号に出る直前に下部温泉のそばを通る。
こんなに走りにくい道でも、下部温泉への近道として、
また季節毎に色をかえる富士山を眺めるために、ついこの道路を走ってしまう。