楠の春の葉代わり美しき
楠は常盤木でいつも緑であふれかえっている。しかし、春になると
新緑が芽吹き、古い葉は赤く紅葉し落ち葉となって代変わりする。
瑞々しい緑と濃い緑そして落ちてゆく紅い葉、そのコントラストが
とても美しい。
2021年3月アーカイブ
まろ甕をゆるり呑み干す春の宵
近くの焼き鳥屋でゆっくり晩御飯を食べることにした。
生ビールを干し、まろ甕という焼酎をゆっくり味わった。
春の宵は気持ちよく更けていった。
冷たさも八分目なり春の雨
この頃はよく雨が降る。気候が変わりやすい春の特徴なのだろうか。
ただ、春の雨は柔らかい。冷たく刺すような冬の雨ではない。
そして、萌え出でた若葉を包み込むようにやさしい。
白木蓮蝶飛ぶごとく花開く
白木蓮の花が開き始めた。薄い花びらが一枚づつ開いて風に揺れる様は
まるで蝶々が飛んでいるように見える。春の夜の幻想か。
彼岸入り卒塔婆を揺らす春嵐
今日はお彼岸の初日。春の嵐のような強い風が吹いている。
近くのお寺の卒塔婆も風に揺れてカタカタ音を立てている。
カワセミが徳利の中で囀れり
春の宵、ふらりと外に出かけてタケノコなどを肴に軽く
一杯。頼んだ燗酒の徳利にかわいいカワセミが描かれていた。
カワセミの囀りを聞きながらホロリ。
春の海慌ただしきはイカ釣り船
春の海にイカ釣り船が何艘も漕ぎ出していた。
このところ荒れた海が続き優雅な釣行というわけにはいかず、
またイカ釣りはイカつのという特殊な道具で取り扱いが簡単ではなく
慌ただしい限りの釣りであった。
早春の大海原は波高し
房総の港からイカ釣り船で太平洋に漕ぎ出した。
早春の海は風が強く波が高かった。それでも、風の冷たさも
気にならず意気揚々と沖に向かって進んでいった。
被災地に思いを馳せる暗い春
今日は天気も暗く曇っているが、東北大震災の10年記の特集を
見るとなお気持ちが暗くなる一日だ。
津波の被災とその復興は勿論、いまだ終息の見通しの無い福島原発大災害の
爪痕、廃炉は遠く、継続する汚染水とその処理、帰還困難地域と未だに避難している
人達。東電をはじめ政府の対応のまずさと難しさ。何一つ明るさが見えない。
この状態で復興オリンピックとはよく言えたものだ。
青空や冷たい風が置手紙
3月に入って早春の季節が明確になってきた。まさに三寒四温。
よく晴れた青空でも冷たい風が冬の置手紙のように体に突き刺さる
心地がする。
冷え切った列島照らす月明かり
2月の満月はスノームーンと呼ばれているらしい。
大きな丸い月はこんなに大きいのかと思うほど大きくて
コロナと冬の寒さに冷え切った日本列島を煌々と照らしていた。
カーテン越し青く悲しい春の空
今日は晴れだ。カーテン越しに春の空が見える。
早春の冷たい空気のせいか、レースのカーテンのせいか、
なぜか春の空は青く悲し気に見える。
