2016年10月アーカイブ

奥の細道

奥の細道

先達の 足跡ゆかし 秋の道

福島県名取市の医王寺を訪れた。

芭蕉が「奥の細道」と名付けた小さな道がつづいている。

こんな道を歩いて旅したのかと想像すると、胸がつまるような気持になる。



阿武隈川

阿武隈川

涼しさや 川のほとりに 鬼の墓

阿武隈川のほとりに安達ヶ原がある。

ここには昔、鬼婆が住み、旅人を喰ったと言い伝えられている。

秋の陽が川面に光り、秋風が涼しい日には、

平安時代から続く鬼の墓も特に寂しい思いがする。



櫨

はぜのみが 紅くなりけり 東北道

仙台まで東北道を車で走った。

北へ北へと走っても走っても山々はまだ緑が多く、

なかなか紅葉とまではいかない。

ただ、ところどころ、櫨の木だけがポツンポツンと紅い色をつけて、

緑の中のアクセントとなっていた。

紅葉も近い。



朝露

朝露

朝露や 淡き残り香 きんもくせい

10月初め頃から街角で強く香っていたきんもくせいの季節は、

もう終ったと思っていた。

久しぶりに晴れた朝、窓を開けるとかすかにきんもくせいが香ってきた。

よく見ると、わずかに黄色い花が残って、淡い香りを漂わせている。

きんもくせいの淡い残り香はやさしい気持を運んでくる。



秋雨

秋雨

冷たさや 傘持つ指に 秋の雨

今日は朝から雨だ。鉛色の空から透明の雨が落ちてくる。

駅に向う途中で、傘を持つ手がもう冷たくなっている。

どうやら最高気温も20℃に達しないらしい。

10月初旬はまだ夏日が続いていたのに、この天候の急変はどうしたことだろう。



喫茶店

喫茶店

秋風や 昭和が匂う 喫茶店

秋曇りの空の下、近くの公園まで散歩にでかけた。

街の角にこげ茶色の外観の、少し古びた喫茶店があった。

看板やら店の装飾やら、昭和の匂いがただようような店だった。

店の前の鉢植えの木が秋風に揺れていた。



鰯雲

鰯雲

突然の 肌寒き朝 鰯雲

今年の秋は突然襲ってきた。

台風がいくつも連続して発生し、日本に上陸し、通り過ぎていった。

台風一過の夏の暑さがぶり返した後、

肌寒い秋の朝が当たり前のように訪れてきた。

空を見上げるとそこには鰯雲が一面に広がっていた。



漁港

漁港

人気ひとけない 漁港の朝や 秋曇あきぐもり

沼津漁港は人の気配がなく、静まりかえっていた。

台風が近づいているせいなのか、時おり雨が落ちてくる曇空の下で、

漁船が停泊しているだけの活気のない世界だった。

漁港に訪れた人々までも憂鬱にさせるような朝だった。



秋の海

秋の海

空の色 映して青し 秋の海

秋の空は青くて高い。秋の海も青くて深い。

海は空の色を映して海の色となる。

秋の海は青くて寂しい。