2013年5月アーカイブ

飛び立つ

飛び立つ

大白鳥 多摩川掴み 飛び立ちぬ

多摩川に舞い降り、多摩川に君臨した大白鳥が、

いよいよ多摩川を離れようとしている。

羽をひろげ、すこし準備運動をしたかと思うと、大きく羽ばたき、

助走をつけて飛びたった。

飛びたつ瞬間に多摩川をぎゅっと掴みとって、持ち去ってしまった。

大白鳥が飛びたった後の多摩川は、魂の抜け殻のように、

静まり返ってしまった。



白鳥

白鳥

悠然と 多摩川べる 大白鳥

家のそばの多摩川に突然、白鳥がまいおりてきた。

そして、ほんとうに悠然と川を行き来しはじめた。

あたりは、その美しい姿に支配され、土手を行きかう人々も、

多摩川に生息する生物たちも一瞬で圧倒され、

ただ、その川面をすべるように動く白鳥を見つめるばかりだった。

この白鳥はいったいどこから飛んできて、どこに戻っていくのだろう。



野藤

野藤

ひそやかに 想い伝えん 野藤かな

今頃の季節には、山や森に、ひっそり藤の花が咲いていることがある。

野藤である。

野藤は正式にはヤマフジといい、木々に巻きついて、淡紫色の花をつける。

まわりの緑の色が強くなり、

淡い紫色の花はほんとうにかすかな存在になってしまう。

しかしそのかすかな存在が、ひそやかな想いを強くしっかり伝えているようで、

かえっていとしく思えてならない。



五月の空

五月の空

風誘う 五月の空の 青さかな

五月は空が青い。五月の空は気持がいい。

五月はそれでも少し寂しい。

春が終わろうとする寂しさなのか、風が心地良い分だけ名残惜しいのか。

すい込まれそうな空の青さをまぶしく感じながら、

眉をあげて、歩いてゆこう。



香炉

香炉

風薫る日に 香炉買う

五月晴れで風が心地よい。

こんな日は線香をたてる香炉を買いに行こう。

亡くなった両親や友達を偲んで線香をたてよう。

できれば青磁の香炉がいい。

ゆらゆら揺れる線香の煙が終わるまで、

静かに想い出にひたることにしよう。



石畳

石畳

ゆく春や 靴音響く 石畳

爽やかで気持の良い春の日々はどんどん過ぎてゆく。

まだ5月半ばだというのに夏日を通り越して真夏日になったところもあらわれた。

もう初夏といってもいいのかもしれない。

ほんとうに時の過ぎるのは早い。

石畳の上を歩く人の靴音がコツコツ響く。

その靴音とともに春が遠ざかっていくようだ。



春の海(2013年)

春の海

春の海 風の冷たさ 気にもせず

久しぶりに海を見に行った。

横浜横須賀道路を終点で降りて、三浦海岸をドライブした。

春まっただ中とはいえ、今日は風が冷たい。

海辺のレストランで昼食をとりながら海岸を見ていると、砂浜で遊ぶ子供達がいた。

子供にとって風の冷たさはまったく気にならないようで、

いつまでも貝殻探しに興じていた。



春紫菀

春紫菀

道端に 昔を想う 春紫菀ハルジオン

家のそばの草むらにハルジオンが咲いていた。

ハルジオンは花をつける雑草で、昔から道端の草むらでよく見かけた。

最近はだんだん土や草むらが少なくなってきたので、見ることも減ってきたが、

団塊世代にとってはノスタルジアをかきたてられる。

子供のころに夢中になって遊んだ山や川のそばにいつもひっそり咲いていて、

どこか戦後の象徴のような面影がただよっている。



新芽(2013年)

新芽

葉陰には 新芽ついばむ 小鳥かな

近くの緑道に小鳥が鳴いている場所がある。

そこには桜並木があり、どうやら桜の新芽を食べに来ているらしい。

よく見ると保護色のように葉陰に上手に身体を隠し、

しきりに新芽をついばんでいる。

鳥の名前は分からないが、きっと子育てに必要なのかもしれない。



鯉のぼり

鯉のぼり

鯉のぼり 青き深空で サビキ釣り

家の近くの農業公園に春の花の寄せ植えを頼みに行った。

連休に入ったためか、

公園の一角ではたくさんの人達がバーベキューを楽しんでいた。

空には、例年のごとく、鯉のぼりが何匹も泳いでいた。

突然強い風が吹き、

鯉たちはまるでサビキ釣りで釣りあげられたアジのように飛び跳ねていた。