学校法人 慶應義塾様
interview 学校法人 慶應義塾様
Date 2013 . 04 . 03
日本人なら誰もが知る学校法人、慶應義塾。1858年に蘭学塾として創立されて以降、学問、とくに「実学」の重要性を説いた、かの福澤諭吉の志と理念を受け継ぎ、150年を超える歴史で多くの優秀な人材を輩出してきた。職員だけでも約3,000人を数える巨大組織がIT資産管理ソフトとして選んだのが、AssetView である。多くのキャンパス、それに大学病院を含む拠点を結び、同塾のIT資産管理プロセスを変えた実例を、インフォメーションテクノロジーセンター本部(以下、ITC本部)塩田様に伺った。
塩田 利尚 様
インフォメーションテクノロジーセンター本部
導入の背景を教えてください。
塩田氏
私が所属しているITC本部は、塾内のネットワーク、PC、システムなど、IT関連の諸業務を担当しており、本部の他、大学主要6キャンパスに部署があります。本部が行っているのは、全塾向けのサービス、および事務職員のPCやネットワーク環境の整備です。今回 AssetView を導入するきっかけとなった課題は、事務職員の使用するPCに対してアプリケーションのライセンス管理の効率化を実現することでした。アプリケーションの調達はサイトライセンス契約や必要なライセンス数を購入するなどさまざまな形態で購入しており、主にはアカデミックライセンスによる調達を行っておりますが大学病院の看護師、薬剤師などの病院業務専従者や、派遣、委託、臨時職員(アルバイト)など勤務形態の多様化に伴い、アプリケーションごとのアカデミックライセンスの適用範囲がすべての職員に適用されるもの、されないものなど複雑化している問題がありました。また、職員にはPCの通常利用時に管理者権限は付与しておらず、アプリケーションのセットアップ時に時限的な管理者権限を付与する運用を行っていましたがセキュリティなどの面から、この運用の見直しも課題となっており、これらの問題が解決可能な資産管理ソフト導入を模索していました。
当社製品を選択していただいた経緯はどのようなものですか?
塩田氏
本塾の職員はおよそ3,000人おりますが、そのすべてのパソコンの管理を約3人月で運用しています。限られた人員と時間の中で新しい仕組みを導入する場合、諸々のリスクが大きく、ある日突然IT資産管理ソフトを導入するのは現実的に難しい状況がありました。そんな中、実際にデモ版を触りながら比較検討していたのが2015年の4月から11月の半年ほどです。
塩田氏
4つほどのIT資産管理ソフトの中で AssetView に決めた最大の理由は、必要な機能のみ選択して導入できる点でした。資産管理の適正化を行う上で、まずアプリケーション配信から始めることを決めていたのですが、他社の製品は、その機能だけでの提供をしておらず、オールインワン製品を購入した上で必要な機能だけ利用してください、という形でした。しかしその場合、利用しない機能分の費用がかさんでしまいます。AssetViewはその点で、こちらのニーズにぴったりでした。また、購入決裁に関しても不要な機能が含まれていると説明や理由付けに困るものですが、AssetView の機能単位で導入できる特徴には、価格面ではもちろん、購買プロセス上でも助けてもらいました。
実際に導入された効果はいかがですか?
塩田氏
それまでアプリケーション配信ツールを使っていませんでしたので、まず新しい業務プロセスを構築する必要がありました。具体的には、これまではPC配布時のマスターイメージに利用が想定されるアプリケーションをあらかじめセットアップした上で、PCをクローニングし事務職員へ配布していましたが、マスターイメージはできるだけシンプルにし、事務職員本人が利用したいソフトウェアを AssetView 経由でセットアップするという流れです。このプロセスを導入したことで利用者である事務職員側に手間が増えたことは確かですが、課題の1つであったライセンスの適用範囲の複雑化に対して、事務職員からの申請に対して利用資格を確認し、 AssetView 経由 でプッシュまたはタスクランチャーに配信することで正しくライセンス管理できるようにはなったのは非常に大きい成果です。加えて、近年増加傾向にある標的型攻撃メールやランサムウェアへの対策の一環としてクライアントPC上の各種アプリケーションについてもセキュリティ脆弱性への対応を素早く実施しなくてはならず、PCのマスターイメージに多くのアプリケーションを内包することでマスターイメージを頻繁に更新しなくてはならないことが管理コストに重くのしかかっていましたが、アプリケーションを切り離すことで管理コストの削減に大きな効果を得ています。もしこのプロセスを AssetView を使わずに実現させようとしたら、もっと膨大な手間が増えていたであろうことは容易に予測できます。 機能面では、「タスクランチャー」をよく利用しています。検討時に試用したその他のIT資産管理ソフトでは管理者側からのプッシュ配信が主機能となっているものが多い中、利用者のタイミングでセットアップが開始できるタスクランチャーは画期的な業務フロー改善となりました。本年度、事務用のPCの入れ替えがあり、そのタイミングで AssetView のクライアントが入ったPCを全職員に配布したため、新しいソフトウェアを導入した際に起こりがちな、新環境に対するアレルギー反応が少なくスムーズに導入できたのは良かったと感じています。
日常業務の運営において、工夫された点などはございますか?
塩田氏
ソフトウェアの利用申請が上がってきた際、その内容に利用者のIDやホスト名など、資産管理のキーになる項目が表示されるため、利用者の把握や利用資格確認の際に非常に役に立っています。確認後、申請のあったソフトウェアが利用できる場合は、通常なら配信タスクを作成もしくは修正すべきところを AssetView の「ユーザー追加列」機能を利用し、既存の配信タスクに対象PCを自動追加させる運用をしています。この運用により、スムーズに該当者のPCに対してソフトウェアがタスクランチャーで配信されるようになり、非常に少ない手間で利用開始までが完結するようになりました。
今後はどのような展開をお考えでしょうか?
塩田氏
AssetView の導入により、今まで人間の手で時間をかけてやっていたことをPC1台でできるようになりました。ただ、現状はあくまで目先の目的であったアプリケーション配信の手間を減らしたのみで、これから解決すべき課題として、どのPCに何が入っているのかを AssetView を機能追加して正しく管理していきたいと思っています。ちょうど良いタイミングで、それらを内包し、手間のかかる Windows Update や脆弱性対策の運用が半自動化できる「AssetView P」という機能がリリースされると聞いておりますので、非常に大きな期待をしています。