市原市 様
interview 市原市
Date 2025 . 5 . 22
市原市は千葉県中央部に位置し、人口は約27万、368.2km²の面積を誇る県内最大の市町村です。工業都市として発展し、臨海部には石油化学工場や造船所が立地し、工業製品の出荷額は県内第1位です。内陸部は住宅地や農地が広がり、東京や千葉市のベッドタウンとしての役割も担っています。交通面では、JR内房線や小湊鉄道が市内を通り、主要駅周辺には商業施設が集積しています。2020年1月、約77万年前の地磁気逆転現象が世界中で最もよく観察できる場所として、養老川流域田淵の地層が国際基準となったことにより、注目を集めています。
目的
課題
効果
中田 直樹 様
情報政策課 課長
木内 貴大 様
情報政策課 副主査
森山 亮治 様
情報政策課 主任
千葉県内最大の面積を持つ市原市では、管理対象の拠点数が多く、管理下のPC台数も3,000を超えます。それらを適切に管理するには相当なリソースを要します。
木内氏
市内には支所が10ヶ所あるほか、下水施設、区画整理事務所、消防署、さらには小中学校やコミュニティーセンター、図書館など、管理対象となる拠点は100以上に及びます。以前は職員がExcelで独自に作った管理台帳を使って手作業で管理していましたが、頻繁な更新作業が負担になっていたり、使用していない端末の記載など抜け漏れが生じたり、整合性が取れていませんでした。また、ソフトウェアのバージョン管理もできていませんでした。
さらに、ヘルプデスク対応においても、拠点数が多い上に、管轄する範囲の広さから片道1時間かけて向かうこともあり、効率的とは言えない状態だったといいます。
また、AssetView導入前はWSUSやSCCMを使用して管理していましたが、ネットワーク帯域への負荷や複数のツールでの煩雑な管理に課題を抱えていました。
木内氏
Windowsの更新においては、これまでWSUSやSCCMを使用していました。Windows updateの適用状況の確認や、拠点によっては回線が狭いところもありましたので、いかにネットワーク負荷をかけずにWindows updateや品質更新が行えるかが課題としてありました。また、Excel台帳、WSUS、SCCMと管理ポイントが分かれており、どこを見れば正しい情報が得られるのか分からなくなることもありました。管理の効率化のためにも、ひとつのツールに統一したいと考えていました。
市原市が抱えていたIT資産管理の課題は、職員の異動が3〜4年周期で行われるという、全国どこの自治体にも共通するものでした。
木内氏
自治体では定期的な異動があるため、知識が深まったところで別の部署に異動になることもあり、職員のリテラシーにはばらつきがあります。一方で、WSUSやSCCMは専門知識がある方でないと扱いづらい点があります。初心者でも操作できる優れたUIの管理ツールによって、業務を標準化させることが求められていました。
木内氏
Officeソフトをはじめとするソフトウェア、パッチ配布では、専門知識のある職員がプログラムを書いて配布する方法で対応していましたが、多くの職員がそこまで専門的なスキルを持っているとは限りません。ITに詳しくない職員が担当になっても、しっかり管理できる状態にしておく必要がありました。
IT資産管理ツールの導入に向けて製品を比較検討する際、異動や引き継ぎが多い職場環境であるため重視した点は、経験の少ない職員でも学習コストが低く、優れた操作性とUI持つことだったといいます。
木内氏
管理ツールは一般的に専門知識が少ない方には扱いづらいと思うのですが、AssetViewは非常に直感的な設計になっており、初見でもなんとなく操作できるほどUIの質が高かったです。異動後に経験が少ない職員でも使いやすい点が大きなメリットでした。
また、実際に運用を担当する職員からも高評価だったといいます。
森山氏
私は2年前に情報政策課に赴任し、それまでは一般的な事務職をしており、ITの知識は全くありませんでした。前任者からAssetViewの管理を引き継ぐ際、細かい機能の説明や十分な時間を取れなかったものの、実際に操作してみるとすぐに使い方を理解することができました。操作が予想通りに動いてくれるので非常に助かりました。
さらには、AssetViewのカスタマイズ性や柔軟な価格設定が、予算編成の際に好都合だったそうです。
木内氏
AssetViewは必要な機能だけをライセンス単位で購入できるため、非常に助かりました。自治体では予算編成の関係で、前年度に申請した内容以外は追加が認められないケースが多いためです。新しいツールを導入したくても、実現には2~3年かかるのが一般的で、すぐに導入できる環境ではありません。その点、必要な分だけライセンスを購入できる仕組みは予算編成に組み込みやすく、導入決断に向けて大きな後押しとなりました。
もう一つの問題は、ネットワーク負荷を軽減できる仕組みや機能の有無でした。
木内氏
公共施設を含む細い回線環境ですので、帯域を圧迫せずにWindows等の更新を実施する必要があります。AssetViewは、分散配布やグルーピングなど、ネットワーク負荷を軽減するさまざまな機能がある点も評価されました。
市原市が入念な比較検討の末にAssetViewを導入したのは2019年のこと。導入後は、保有する3,000台以上の端末の最新の状態を一覧で確認できるようになり、端末の更新作業や、トラブルが発生した際に要因を迅速に把握できるようになりました。その結果、管理負担が低減し、管理精度は向上したといいます。
IT資産管理機能でインベントリ情報を自動収集し、業務効率と正確性を向上
AssetView A(IT資産管理)によってIT資産管理が効率化されたことで、セキュリティリスクも抑制できるようになりました。。
森山氏
これまでExcelの台帳を使って手作業で管理していたので、更新作業にかかる工数や抜け漏れに課題を抱えていました。現在は、稼働するハードウェア、アプリケーション情報をAssetView A(IT資産管理)によって自動で収集できるので、業務効率も正確性も大幅に改善しました。また、端末の状況を一覧で把握でき、必要な更新をかけたり、トラブルの要因を迅速な把握が可能になり、セキュリティ向上にもつながっています。
PC更新管理機能でWindows Update/Microsoft 365の更新業務を実現
AssetView P(PC更新管理)を活用することで、WSUS、SCCMに依存することなく、ネットワーク負荷をかけないようにクライアントPCのWindows Updateならびに Microsoft 365の更新を実現しています。
クライアントPCのMicrosoft 365の更新プログラムの取得先を、MicrosoftからAssetViewの管理サーバー(Office管理サーバー)に変更し、クライアントPCは管理サーバーから最新のMicrosoft 365の更新プログラムを取得するため、専門的なスキルが不要で自治体の閉域環境でもMicrosoft 365の更新業務ができるようになりました。
アプリケーション配布機能でインストールにかかる作業負担を軽減
AssetView D(アプリケーション配布)によって、インストールにおけるユーザー側の作業負担も削減されたといいます。
森山氏
AssetView導入前は、ソフトウェアのインストールには申請が必要で、許可が下りると管理者のユーザー権限を申請者に付与してインストールするという運用を行っていました。一時的とはいえ管理者の権限を譲渡することで、セキュリティリスクが生じていました。また、プリンターのドライバーも、課の代表者が人数分を一台ずつセットアップしていました。しかし現在は、AssetView D(アプリケーション配布)を使うことで、各自でタスクランチャーから必要なソフトウェアやドライバーをインストールできるようになり、ユーザー側の申請手順やセットアップの必要がなくなり、負担が大幅に削減されました。
リモートコンソール機能でヘルプデスク業務が改善
また、管轄する範囲が広い市原市だからこそ抱える課題についても、AssetView RC(リモートコンソール)が効果を発揮しているといいます。
中田氏
どこかの施設でPCが故障した時や、挙動がおかしくなった時に、これまでであれば片道1時間かけて現地まで行ってヘルプデスクの業務を行う必要がありましたが、AssetViewのリモートコンソール機能を使うことで、遠隔で相手のPCを操作して問題を素早く解決できるようになりました。業務もコミュニケーションもPCで行うことが当たり前になっている中、PCの不調による業務の停滞を素早く復旧できるのはとても大きいです。
2019年当時は必要な機能をカスタマイズして導入していた市原市では、2024年にさらに機能の拡充したAssetViewスタンダードパッケージにライセンスを更新しました。
木内氏
IT資産管理に必要な機能は揃ったので、今後は運用面で工夫しながら、誰がこの部署に来ても高度な管理とセキュリティ担保ができるよう、AssetViewをさらに使いこなしていきたいです。
中田氏
市民の個人情報を扱う職務上、セキュリティ強化は必須です。今後はゼロトラストにも取り組んでいきます。しかし、高度なセキュリティ対策ももちろん重要ですが、その前に、まずは机の上をきれいに片付けるように、情報を整頓して管理できていることが大切です。その土台づくりとして、AssetViewによって正確にIT資産管理が行われ、今後に向けてすべきことや必要なことが可視化されたのは大きいですね。
パソコンやインターネットの普及により利便性が向上する一方で、セキュリティリスクも高まっています。市原市では、市民の大切な情報を保護するため、ゼロトラストをはじめとする最新のセキュリティ対策を今後も徹底していく方針です。
市制施行:1963年5月1日
行政の主要事業:都市計画、福祉、産業振興、教育、観光推進など
主要産業:製造業(京葉工業地帯)、農業、観光
職員数:2,059名(2024年4月1日時点)