Interview三菱重工業株式会社
Date 2025 . 9. 10
三菱重工業株式会社(以下、三菱重工)は、エネルギー、環境、宇宙、航空、防衛、交通システムなど幅広い分野にわたって事業を展開する、日本を代表する総合重工業メーカーです。長年にわたり、社会インフラや産業の基盤を支える製品と技術を提供し続けており、グローバル市場においても確固たる地位を築いています。 今回取材にご協力いただいたパワー事業部門では、ガスタービンや蒸気タービンなどの発電設備を中心とした製品とサービスを提供しています。国内外の発電事業者を主な顧客とし、エネルギー供給の安定化や効率化に貢献する技術を担っています。 三菱重工では、まずパワー部門(導入当時:三菱日立パワーシステムズ株式会社、現在:三菱パワー株式会社)にてホットプロファイルを試験導入し、その成果を踏まえて、現在は三菱重工グループへの全社展開を進められています。
目的
課題
効果
Interviewed
中村 成章 様
谷 和広 様
安福 賢司 様
坂井 理樹 様
三菱重工のパワー事業部門では、主に既存の発電会社や海外顧客を対象としたアフターサービス型の営業活動が中心となっています。営業担当者は、納入済みの発電設備に対して、1〜2年に一度の大規模工事などのタイミングで必要な対応や提案を行うなど、定期的な折衝を通じて顧客との関係を構築しています。
これまで、営業活動は部門や拠点ごとに独立して行われており、名刺情報も各担当者が個別に管理していました。その結果、顧客情報が組織全体で共有されにくく、部門間の連携に課題が生じていました。
「一つの発電所に対して、高砂拠点ではガスタービン、長崎拠点ではスチームタービンといったように、複数の拠点から異なる製品でアプローチするケースがあります。これまでは拠点間の連携が十分ではなく、同じ顧客に対して異なる提案がなされることもあり、整合性を問われる場面も発生していました。このような社内バッティングを防ぐためにも、横断的な情報共有を行い、一体感のある営業活動を進める必要性を感じていました」(中村氏)
こうした課題を受け、パワー事業部門ではまず部門内で営業情報の共有を進め、より一体感のある営業体制の構築を目指していきました。
また、営業部門では名刺を含む顧客情報をCRM(Microsoft Dynamics 365)で管理していましたが、名刺情報の多くは登録されず、営業資産として十分に活用されていない状況が続いていました。 「ホットプロファイル導入前は、名刺情報の管理方法が人によって異なり、Excelや紙、無料ツールなどバラバラでした。CRMへの登録は手入力で、ルールも明確に定められていなかったため、そもそも登録されないケースも多く、結果としてCRM上の情報の充足率が低いという課題がありました」(谷氏)
こうした課題を受け、名刺情報の一元管理と営業情報を共有する体制の構築が喫緊のテーマとなっていきました。
パワー事業部門での情報連携の課題が顕在化する中、名刺情報の管理方法そのものを三菱重工グループ全体で見直す必要性が高まっていました。これまで各拠点・事業部門が、それぞれ異なるツールや手法で名刺を管理していたため、情報の重複や名寄せの困難さが業務効率を妨げていたのです。
「三菱重工グループは組織が大きく、部門ごとの独立性も高いため、名刺管理が個別に行われていました。共通の基盤として名刺管理ツールを導入することで、社内全体での情報共有を促進し、営業活動の効率化と連携強化を図ることが目的でした」(谷氏)
この取り組みは、内部改善の一環である営業プロセスの見直しを通じて浮かび上がった課題がきっかけだったといいます。 「営業プロセスを見直す中で、『顧客との接点情報を全社で把握するのが難しいのでは』という仮説を立て、現場に確認したところ、実際にそうした声が上がりました。そこで、情報集約の方法を模索する中で、名刺情報が重要なキーワードとして浮かび上がり、名刺管理ツールの全社導入の検討が開始しました。名刺は単なる連絡先ではなく、顧客との接点そのものです。それを共有することで営業情報として活かせるという狙いがありました」(谷氏)
また、名刺管理ツールの導入は、営業活動以外にも業務改善における効果が期待されていました。 「ある部門では、庶務担当が手作業で名刺を集めてリスト化するなど、非常に工数のかかる業務が発生していました。CRMやExcelなど複数の情報ソースを照合して接触履歴を確認する作業もあり、営業接点の把握に大きな負荷がかかっていました。こうした状況の改善にも効果があると考え、名刺情報の電子化と一元管理を推進していきました」(谷氏)
加えて、紙の名刺を電子化すること自体も、全社的な業務改善につながると判断し、導入における重要な目的の一つでした。
このような背景から、三菱重工では名刺情報の電子化を進めるとともに、CRMと自動的に連携する仕組みを構築することで、部門間の情報共有を可能にし、顧客接点の可視化と、全社的な営業力の底上げを目指すことになりました。単なる業務改善にとどまらず、「共通基盤による全社最適化」を視野に入れた取り組みが始動したのです。
三菱重工では、名刺情報を単なる管理対象ではなく、営業活動における重要な資産として捉え、継続的に活用できる仕組みづくりを目指して名刺管理ツールの選定を進めました。特に重要視されたのが、「名刺情報を会社マスターとして登録できること」でした。企業単位で顧客情報を整理・統合することで、接触履歴を正確に蓄積し、CRMと連携させることが求められていました。 「名刺管理ツールの選定にあたっては、全社展開を前提として比較検討を行いました。OCRで名刺を電子化するだけのシンプルなツールも候補にありましたが、情報の共有・活用という観点では不十分でした。特に重視したのは『名刺情報が会社マスターとして紐づけられること』と『登録された情報がマスターとして活用可能であること』の2点です。Excelなどで情報を集めても、マスターが統一されていないと確認や名寄せ作業が発生してしまいます。そうした手間を省き、情報の一元管理を実現するために、総合的に判断してホットプロファイルを選定しました」(谷氏)
三菱重工では、名刺管理の仕組みを一部門にとどめず、将来的に全社・グループ全体へと展開していくことを前提に、システム選定を進めていました。その中でホットプロファイルは、必要な機能を備えながらも、全体展開を視野に入れた際のコストパフォーマンスに優れていた点が高く評価されました。 「全社展開を前提に他社製品と比較した結果、コスト面で大きな差がありました。機能に対する価格のバランスにも納得感があり、コストパフォーマンスの高さが最終的な決め手となりました」(安福氏) 「もちろん機能面においては、十分に満足していました。具体的には、名刺の登録精度、CRMとの連携、UIの使いやすさ、スマートフォンでの活用等、必要な機能がしっかり揃っており、現場でも安心して使えると判断しました」(中村氏)
さらに、ライセンスの管理やユーザー数の増減に対する運用の柔軟性も導入を後押しする要因となりました。導入規模が大きくなるほど、初期コストだけでなく、拡張性や維持のしやすさが重要な判断軸となります。ホットプロファイルは、こうした大規模展開にも十分対応できる体制が整っていました。
同社では厳選な比較検討を行った結果、パワー部門(導入当時:三菱日立パワーシステムズ株式会社)にて「ホットプロファイル」の試験導入を開始。活用実績や運用フローの定着度から問題がないことを確認した上で、グループ全社への展開を開始しました。
三菱重工では、営業部門を中心にホットプロファイルを導入し、現在では調達部門や企画部門でも利用しています。接触履歴の可視化により、社内の連携ミスや重複対応のリスクも大幅に軽減しました。 「ホットプロファイルに登録した名刺情報はCRMに自動で登録されるため、管理工数が大幅に削減されました。さらに、システム上で他部門を含む顧客との接触履歴を確認できるようになり、情報共有の精度が向上しました。お互いの活動状況が可視化されることによって、より的確なタイミングや内容の提案が可能になり、営業活動の質も向上しつつあります。また、展示会といったイベント時も、ご挨拶した方の名前が思い出せないという場面でも、スマートフォンで検索すればすぐに確認できるようになったという実例があります」(中村氏) 「以前は営業内で顧客情報を共有する文化はありませんでしたが、今では情報を積極的に開示・共有する流れができてきており、その支援ツールとして名刺管理の仕組みが活用されています」(中村氏) 「導入前はシステムが乱立していたため、情報の検索や管理に手間がかかっていましたが、ホットプロファイルの導入により、運用コストの削減につながりました。複数の顧客ファイルを持っている担当者でも、必要な情報をすぐに検索・取得できるようになったことで、業務の効率化が実現されています」(坂井氏)
顧客情報の共有は、引き継ぎ業務の効率化も実現しました。 「調達部門ではバイヤーとの関係上、定期的に担当変更が発生します。これまでは紙名刺をもとに担当者情報を探す必要がありましたが、ホットプロファイルの導入によって担当者情報がすぐに確認できるようになり、引き継ぎ業務の負担が軽減しました」(谷氏)
また、名刺管理機能以外も評価の声があがっています。 「名刺登録した企業のニュース情報が自動で届くため、情報収集の手間が大幅に削減されました。営業担当者は日頃からWeb検索や外部サービスを使って取引先の情報を集めていましたが、ホットプロファイル1つで対応できるため、非常に有用だと実感しています」(中村氏)
パワー事業部門での導入からスタートし、現場での運用定着と成果が見え始めたことで、他部門・グループ会社への展開の大きな推進力となりました。 導入にあたっては、名刺管理のみの活用に留まらないように、事前にCRMとの連携を整備。登録した名刺情報が顧客データと自動で紐づけられ、名寄せも可能となったことで、営業情報としての活用が進みました。社内向けマニュアルや運用ルールの整備、対面説明会の実施など、丁寧な展開支援も定着を後押ししました。 「Web会議が普及していなかった時期でも、全国の拠点を回って説明会を開きました。社員が違和感なく受け入れられたことが、定着につながったと感じています」(中村氏) 「グループ会社への周知については、定期的な案内は行っていないものの、全社向け説明会で名刺管理の案内を行ったり、事業横断で動く営業部門の方々にPRを依頼したり、社内での紹介活動を継続的に実施しています」(谷氏)
こうした取り組みが功を奏し、現在では約3,000人がホットプロファイルを利用。名刺管理ツールとしてだけでなく、全社横断で活用される営業基盤として定着を果たしています。今後はさらに対象ユーザーが増える見込みであり、利用者の裾野は広がり続けています。 「部署異動などで一時的にアクセス権が外れた社員から『使えなくなると困る』といった声が上がり、再度ライセンスを割り当てる事例もあり、ホットプロファイルは業務に欠かせないツールとして定着していると実感しています。やはり効果を実感しているからこそ、継続して使っていただけているのだと思います」(中村氏) 「社内では、異動のたびに利用者が増えているという実感があり、今後もさらに拡大していく見込みです」(坂井氏)
また、グループ内の各テナントを統合することで、会社をまたいだ情報共有やガバナンスの強化にもつながっています。部門間やグループ会社間での連携精度を高めながら、グループ全体としての営業力向上を目指す取り組みが、着実に形になりつつあります。
同社では、名刺情報を起点にした顧客接点の可視化をさらに進め、グループ横断での営業情報活用を強化していく方針です。事業部ごとに独立性が高い体制の中でも、全体を俯瞰した情報連携と、戦略的な提案の一体化が求められています。 「引き続き、グループ内での展開とCRMとの連携強化を推進していきたいと考えています。また、英語対応や海外企業のデータ拡充など、海外拠点との情報連携に向けた機能強化を期待しています」(谷氏) 「現在10社以上のグループ会社にホットプロファイルが導入されています。今後もさらなる拡大を見込んでおり、情報共有の質とスピードが向上していくことが期待されています」(坂井氏)
グローバル展開においても、国や地域を問わず一貫した情報管理と対応力の強化が重要です。営業情報を単に蓄積するだけでなく、それを誰もが活用できる"資産"として整備することで、組織全体の対応品質を底上げしていく構想です。
その一方で、個人情報保護や社内セキュリティへの配慮も欠かせません。ホットプロファイルの導入により、情報共有の利便性を高めながらも、適切な権限管理や安全対策を講じることで、信頼性と実用性の両立を図っています。
属人化を防ぎ、誰か一人ではなく「組織として」顧客に向き合える体制へ。三菱重工ではホットプロファイルを、営業基盤を支える重要なツールのひとつとして位置づけ、グループ全体での営業強化と業務高度化に取り組んでいます。
創業 : 1884年(明治17年)7月7日
所在地 : 〒100-8332 東京都千代田区丸の内三丁目2番3号
資本金 : 2,656億円
業種 : エナジー、プラント・インフラ、物流・冷熱・ドライブシステム、航空・防衛・宇宙
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