名刺からはじまる営業現場のイノベーション ~1ツールで生産性を拡大したある会社の物語~
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第2話『業務の実情にあったSFAの選び方とは?』
売上20%アップの業務命令に向けて、営業部第1チームがまずやるべきこと。それは、唯一の接点となる名刺交換から得られる顧客の情報を共有することだ。そのことに気がついたマネージャーの木築大は、いまだ名刺管理ツールの導入をあきらめきれずにいた。もちろん、リアルタイムな情報共有という面ではSFA(営業支援ツール)の再導入プランも捨て難いが、これはとても麻川営業部長やチームに提案できるものではない。
過去のSFA運用の失敗から営業部内に潜在する新規ツール導入への強い拒絶感。その強力な壁に悩まされながら、部内を納得させる優れた機能を持つ名刺管理ツール、もしくはSFAのWebサイトから資料をダウンロードする日々が続いた。しかし、どちらのツールにも売上拡大の道筋が見える目覚ましい機能はなく、有効なツールが絞り込めずにいた。
名刺管理とSFAの役割を同時に
果たすツール!
そんなある日のこと、木築はある名刺管理ツールの比較サイトに、興味深いフレーズを発見する。
『名刺』を使って営業活動を加速!ホットプロファイル
名刺管理・営業支援・マーケティングという3つの業務プロセスを連動して運用することで、
営業効率や売上を高めることができるシステムです。
「"名刺管理と営業支援を連動"だと、1ツールでそんなことができるのか?」
そんな便利なツールがあれば、少なくとも名刺管理ツールとSFAの二者択一に悩む必要はなくなる。
木築は早速、資料をダウンロードする。
驚かされたのは、その5分後。今まさに資料を読み込み、ベストツールの発見に心を弾ませている木築の元に、その提案者であるハンモック社から直接電話がかかってきたのだ。
「私、ホットプロファイルをご案内させていただきます発田と申します。この度は、資料をご請求いただき、ありがとうございます!」
確かに資料請求時に電話番号を打ち込む欄はあったが、今までダウンロード直後にコンタクトしてきた会社など1社もない。
"新規見込み客との接触からのレスポンスが極めて早い!これこそ我が第1チームが見習うべき営業スタイルじゃないのか"
妙なところに感心しながら、木築はハンモック社なら第1チームの抱える複雑な事情に最適なアドバイスが期待できそうな気がして、発田の早急な来社を要請した。
まずは優先課題からの
スモールスタート
ハンモック社営業担当・発田は、自社製品の売り込みを急がず、まずは顧客の話にじっくりと耳を傾ける。その姿勢に好感が持てる。木築はすっかり信頼して、名刺から得られる顧客情報をリアルタイムに共有して売上アップへと結びつけたい思い、それに反して1つのツールの導入さえままならないA社の実情を包み隠さず打ち明けた。
「お話、承りました。名刺をデータ化してお客様をつかみ離さない強力な売上拡大の仕組みを構築する。ホットプロファイルはまさに木築様の狙いと同じところを目指していますので、できる限りのお手伝いをさせていただきます」
発田の言葉に、木築は強力な援軍を得た思いだった。
「御社の場合、まずは名刺管理ツールの機能を集約した基本パックからトライアルしてみてはいかがでしょうか。ホットプロファイルが他社に優れる点は、強化したい業務のプロセスに合わせて必要な機能を拡張していける点にあります」
「なるほど。スモールスタートで少しずつ営業部内に浸透させていく作戦ですね。しかし、大きな壁が2つあります。1つは、何事にもコストパフォーマンスが第一に問われる社風です。そして、SFAを使いこなせずに放棄したわが社の営業部です」
この木築の言葉に対し、発田は明快なソリューションを提示する。
「その点は、ご安心ください。ホットプロファイルを2週間お試しいただける、無料トライアルを実施しています。実際に営業現場でご活用いただければ、壁などすぐに乗り越えられることが確信できると思います」
情報を統合すれば営業のチャンスが広がる
こうして、迎えた無料トライアルの初日。朝から発田が第1チームのパソコンにホットプロファイルをインストールし、その様子をチームメンバーがものめずらしそうに覗きこんでいる。
発田との初回面談後、木築は即座に無料トライアル実施を麻川営業部長に提案し、「無料ならば何をやっても構わん」と了承を取り付けた。とりあえずは第1の壁を突破し、次の課題は名刺管理ツールの必要性をメンバー達に認識させることにある。
メンバーにはあらかじめトライアルの実施を通達してあるものの、従来のワークフローにない新規ツール活用への反発がいつ起こっても不思議はない。そんな木築の不安を打ち消すように、発田はスムーズにデモンストレーションを行った。
「名刺をきちんと管理することは、皆さまの営業のチャンスを広げることへとつながります。本日は名刺情報から構築される顧客データベースのサンプルを準備し、皆さまお使いのパソコンに送らさせていただきました。商談前にこれだけの情報があれば、便利だと思いませんか」
端末の画面を確認する第1チームのメンバー達。
「なるほど。名刺と訪問履歴を同時に確認できれば、訪問先がバッティングすることはなくなるな」
「いや、名刺から得られる情報だけじゃないぞ。お客様の人事異動の情報まで載っている」
「組織ツリー...相手先の組織構成まで確認できるのか」
情報共有にはシンプルな仕組みが
欠かせない
すでに打合せを重ねてホットプロファイルの機能を熟知する木築にしてみれば、メンバーの素直な反応は想定どおりの流れだ。しかし、いつの時代も新しい提案に抵抗を示すのは既存のやり方に自分なりの成功方程式を見い出している人間だ。心配になって東を見ると、やはり不満そうに口をモゴモゴさせている。
「東、何か言いたそうだな」
「しかしマネージャー。これだけの情報が集約されているということは、僕達がそれを打ち込むということじゃないですか」
「ところが、そうじゃないんだな」
木築は笑いながら東のデスクを開けると、散らばる名刺から1枚を取りあげ、おもむろにスマートフォンで撮影する。すると、しばらく後にメンバー全員の端末に、その名刺の情報が反映されてくる。
「我々の作業は、名刺のスキャン画像をハンモック社に送信するだけなんだ。それだけで、コンタクトした顧客の詳細なデータベースをチーム全員で共有することができる。」
木築の言葉に感心する西村ほかのメンバー達。その様子を見て、発田がガイダンスをまとめ
「今、ホットプロファイルにある顧客データベースは、架空のサンプルに過ぎません。どうかこの2週間で、皆さんが手放せなくなるくらいの素晴らしい営業支援ツールに育て上げてください」
早速、自分の名刺のスキャンをはじめたメンバーの姿に、木築は名刺管理ツールの運用定着を確信した。
コストパフォーマンスに問われる
ものは
無料トライアル期間の2週間が過ぎ、木築がいよいよ最後の壁を乗り越える日を迎えた。すでにホットプロファイルには今までの第1チームの顧客接触履歴を集約したデータベースが構築されている。ここはなんとしても正式導入に結びつけたい。その決裁権を持つのは、「新規ツールの導入は無駄なコスト」とまで言い切る堅物の麻川営業部長だ。木築が部長室の前で緊張した表情を向けると、発田は力強くうなずいた。
「基本パックなら、お1人様あたり月々3,000円のイニシャルコストでご利用いただけます。その後も目的に合わせて必要な機能を拡張でき、御社のIT資産運用の最適化も図れます」
詳細な資料を提示し、他のツールよりも圧倒的に優れるホットプロファイルのコストパフォーマンスを強調する発田は、実に頼もしい。しかし、麻川は固く腕組みをしたままである。
「すでに第1チームでは、今後の売上拡大に寄与する顧客データベースが構築されつつあります。その成果をお示しする前に、ホットプロファイルを失うことはできません。正式な導入、ぜひお願いします」
マネージャーとしての決意を込めた木築の言葉に、麻川の顔が一瞬ほころんだように見えた。
「木築、ようやくコストパフォーマンスの意味がわかってきたようだな。問われているのはツールの導入費用ではない。そのツールがもたらす効果の問題だ。使われないツールには1円の価値もないが、その効果を示せると言うのならば、喜んで正式導入を認めよう。ただし、当面は第1チームのみ。その後の拡張は、君達の実績を見て検討する。以上!」