【有識者インタビュー】『導線経営』コンサルタント 中丸 秀昭氏に聞く<後編>

INDEX

    「売上アップを実現する営業戦略」会社規模別に売上を上げる営業戦略と戦術

    個人の勘や経験ではなく、組織として、いかに戦略的に営業するか、そこがいま重要です。会社の規模によっても戦略は異なります。
    具体的にどのような戦略、戦術をとればいいのか、お伝えします。

    日本成長戦略研究所株式会社   代表取締役 『導線経営』コンサルタント 中丸 秀昭 氏
    集客から営業、販売まで、儲けを逃さない導線を設計して、収益を最大化する仕組みを作る経営手法を『導線経営®』として体系化した第一人者。300社以上の業績アップ・人材育成に携わる。ジャパンタイムズ本誌・電子版『アジアの次世代リーダー100』に掲載される。
    大学時代のホテルレストランのバイトで、工夫で売上が上がる楽しさを知り、卒業後、広告会社の営業マンに。成績が悪く、最後通告を言い渡されるも、今までと異なる営業手法でトップセールスから最年少マネージャーへ。正しいやり方を知って成功してほしいと経営コンサルタントに。

    中小企業と大企業では異なる、
    勝つための戦略や戦術

    売上アップを実現するために取るべき
    営業戦略・戦術とは?

    まず、そもそも中小企業と大企業では取るべき戦略や戦術が異なることを知っておく必要があります。中小企業と大企業ではことごとく反対の戦略や戦術が求められると言ってもいいでしょう。

    たとえば「薄利多売」は大企業の戦術です。たくさん売ることができる大企業でこそ成功する戦術で、多売することができない中小企業がとってはいけない戦法です。たとえば10%値下げしたとき、販売数量を10%増やせば、元の利益を確保できるように思いがちですが、実際には50%増しの150%の数量を売らなければ、元の利益は確保できません(変動費70%の場合)。非常に厳しい戦いです。 中小企業が価格競争に巻き込まれたら勝ち目はありません。体力がない中小企業が、大企業の戦術をまねてはいけないのです。

    逆に、数に勝る大企業が中小企業の戦術を実施しても、小回りがきく中小企業のようにスムーズには行えず、うまくはいきません。

    中小企業の基本戦略は「差別化戦略」、大企業の基本戦略は
    「ミート戦略」

    中小企業、大企業、それぞれがとるべき基本の戦略は?

    薄利多売できない中小企業が勝ち残るための経営戦略は「自社の強みを磨いて、顧客から選ばれる企業になる」ことです。中小企業は差別化して、商品の付加価値を上げなければいけません。「差別化」というと、「他社と異なる部分を作ればいい」と単純に考えがちです。しかし、ただ「異なる」だけでは差別化になりません。他社と異なる部分に、顧客が高い価値を感じて初めて差別化できます。

    差別化していくうえで、自社の強みを把握することが必須です。しかし、社内から見ていると自社の良さはなかなかわかりません。自社ができることは当たり前のことだと、つい思ってしまいます。顧客の立場に立ち、買い手の視点で見る必要があります。なお、大企業はミート戦略。中小企業が差別化してくるのに対して、大企業はミート、つまり真似をしたり追随したりして、中小企業の差別化の効果を低くしていきます。

    この差別化戦略・ミート戦略という言い方は、「競争戦略のバイブル」「弱者必勝の法則」 と言われる「ランチェスター戦略」の言い方です。多くの戦略論がある中で、もっともわかりやすく、すぐに実践できるやり方が網羅されているので、勝ち方の原理原則を知るための戦略論としておすすめします。

    差別化ポイントの見つけ方は?

    お客様が企業を選ぶ基準は「どれだけ自分にメリットをもたらしてくれるか?」です。お客様にとって、自社の何がメリットであるかを知ることで、差別化のポイントが見つかります。しかし、買い手の視点に立ち、自社の良さ、顧客にとってのメリットが何かを知るのは、自社ではなかなか難しいものです。

    お会いする多くの企業が「うちの業界は特殊だから」と言いますが、どこの業界も基本は変わりません。実はすべての企業が「お困り解決業」です。こう言うと、お悩み解消グッズなどのジャンルだけを思い浮かべられがちですが、不要不急の嗜好品などであっても、選ぶ際の面倒や、それを手に入れるうえで困った点などを解決することが、顧客にメリットをもたらします。

    自社ではなかなか想像できないとき、たとえば100万円の海外ツアーの申し込みをする顧客の気持ちを、絶対にそんな価格のツアーを買えない若手社員がいくら考えても想像できないでしょうから、顧客にアンケートを取るなどして、調査すべきでしょう。

    差別化ポイント(選ばれる理由)を見つけたら、それを顧客に響くメッセージ(売れるコピー)に置きかえて、そこに高い価値を感じてくれる顧客に対して、響くメッセージを伝えましょう。

    注力すべき顧客に関する判断法

    力を注ぐべき顧客の見つけ方は?

    既存顧客の中で、どの顧客に力を注ぐべきか考えるためには、まず、顧客の市場の大きさを知る必要があります。たとえば毎月A社に100万円、B社にも100万円の商品を納めていたとしましょう。A社、B社が同種商品を毎月いくら仕入れているか、A社、B社それぞれの需要がいくらで、自社がその中でどれだけの客内シェアを占めているのか、把握していない企業が多いことには驚かされます。

    ここでA社は同種商品を毎月300万円仕入れていて、自社のシェアは3割強、B社は同種商品を毎月1000万円仕入れていて、自社のシェアは1割だったとしましょう。さて、今後力を注ぐべき顧客はどちらでしょうか?

    このように訊ねると、多くの企業が、今後力を注ぐべき顧客として、B社を選択します。B社のほうが、需要が大きく、今後の伸びしろがあると考えるようです。

    しかし、正解はA社です。特に中小企業の場合、絶対にA社に注力しなければならないのです。理由は2つあります。ひとつは、中小企業は一騎討ち戦をとるべきだからです。

    もうひとつは客内シェア30%という数字が「ランチェスター戦略7つの目標数値」のひとつ、安定目標値41.7%に近いからです。詳しく解説しましょう。

    中小企業がとるべき戦術、一騎討ち戦とは?

    一騎打ち戦とは、競合他社の少ないマーケットや顧客を狙うことです。中小企業は体力がありませんから、大勢を敵に回しては勝てません。競合他社が少ないところで戦う一騎打ち戦をすべきです。

    伸びしろがあると思われて選びがちなB社は、顧客の需要が1000万円ですから、当然、競合他社の数も多いと想定されます。中小企業は顧客の需要が300万円の、競合他社が少ないA社を選ばなければなりません。これに対して、大企業は確率戦をとります。確率戦とは確率的に勝つ戦術です。たとえば駅前に①スターバックス、②ドトール、③エクセルシオール、④コロラド、⑤カフェラミル、5つのカフェがあったとします。あなたがドトールに入る確率はどれくらいでしょうか?1/5と思いがちですが、実はそうではありません。なぜなら、スターバックス以外はすべてドトール社のブランドなので、4/5の確率で、あなたはドトールに入るということになります。これが、大企業が確率で勝つ確率戦です。

    経営層・営業幹部が知っておくべき、
    市場シェアの判断基準!

    特に中小企業に役立つ戦略論として知られるランチェスター戦略には、市場占有率に関する7つの目標数値があります。市場のシェアをどれだけ取るべきか、判断基準がわかる数値です。

    そのひとつに、安定目標値、つまり、これだけ市場をとると、トップの地位は安定して、不測の事態に見舞われない限り、逆転されることはないという数値があります。それが41.7%です。ほとんどの市場では4社から5社での競争になるため、41.7%の市場を取れば、まず1位で、なおかつ、2位以下をかなり引き離している状態です。

    A社の需要300万円に対して、自社が100万円の取引をしているなら、既に33.333...%のシェアを持っています。A社に注力し、シェア41.7%にして、シェアが安定してからB社に注力すべきです。

    このほか、6つの判断基準の詳細については、【ランチェスター戦略 7つの目標数値】をGoogleで検索してください。検索結果1ページ目の1位に弊社のWebサイトが表示されるはずです。そこで詳しく動画付で解説しています。

    業種・業界、企業規模を問わず、多くの企業が「売上を上げるのは難しい」と口にしますが、正しい情報収集をしっかり行い、組織として戦略をもって取り組めば、必ず売上は上がります。弊社の顧問先様でも前年比150〜250%以上に伸びた事例が多くあります。 顧客情報・競合他社情報・マーケット情報をしっかり把握し、自社が置かれたポジションを知ること、置かれた状況によって戦略を変えることで、売上アップの糸口が見えてきます。 勘と経験に頼った営業はやめて、正しい情報と戦略にもとづいたやり方で、厳しい時代を勝ち残って欲しいと思います。

    前編では、市場縮小時代の今、経営者が考えるべき営業戦術についてお伝えします。

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