【有識者インタビュー】『ITツール』コンサルタント 角川 淳氏に聞く<後編>

INDEX

    「BtoB営業で成果を出すITツール活用法!」今後ますます重要になるITツール活用のポイント

    営業が初めて顧客と会う時には、既に顧客はWebから多くの情報を得ている時代です。Face to Faceの営業活動においては、高度な知識と技術で、顧客の高い要求に応えると共に、そこまでに持ち込む前段階では、WebをはじめとするITツールを駆使する営業活動が求められます。ITツールの導入にあたって、どういう取り入れ方をすべきなのか、どう活用していくべきなのか......。

    SFA導入の黎明期に「営業革新システムの実際」を著し、長年、BtoBの営業活動におけるITツールの使い方をコンサルしている角川氏に伺いました。

    トライツコンサルティング株式会社  
    代表取締役 角川 淳氏 氏

    高校時代からプログラムが好きで、大学は工芸学部電子工学科へ。卒業後システムエンジニアになるも将来に陰りを感じて、コンピュータの使い方を指導する側になろうと、コンサルティング会社に転職。2012年トライツコンサルティング株式会社を設立。25年以上、BtoBマーケティング&セールス分野のコンサルティングに携わっています。

    マーケティング活動、
    営業企画が重要な時代へ

    BtoBの営業活動におけるWebの重要性は?

    アメリカの有名な企業調査・格付会社であるDun & Bradstreet社が2017年に発表した調査レポート「The State of Sales Acceleration 2017」の中に、購買担当者に「購買の意思決定をする際に、何を参考にして適切な商品・サービスを決めるか」と質問した結果のデータがあります。それによれば、「営業から紹介された商品・企業」という答えはたった16%。「オンライン上の新技術やユーザー評価」が14%、「Eメールで受け取ったコンテンツ」が13%、「Web広告」が13%と、Webで集めている情報が少なくとも40%です。さらに21%ある「リアルの展示会やWebinar」の「Webinar(ウェビナー)」とは「Web」と「セミナー」を合わせた言葉で、その名のとおりWebを介したセミナーのことですので、この一部はやはりWeb。22%で一番多い選択肢「同僚や著名な専門家からの推薦」の専門家の意見もWebで見たものかもしれません。それらを合わせると、購買の意志決定時に参考にしたものの半数以上がWebと思われます。 これはアメリカのデータですが、日本もこの傾向は強まっています。

    Webが重要な時代、BtoB営業は
    どう変わる?

    これまでは営業部門においてはマーケティング業務や営業企画業務をする者は少数で、Face to Faceの営業活動を行う、いわゆる足で稼ぐ営業担当者が多数でした。これまでのマーケティング業務は、主に販促のイベントや広告が主で、新規顧客との出会いを作る部分を担当してきました。そして顧客との接点ができた後は営業が引き継いで、顧客に情報提供して、さらに商談へと持ち込んでいきました。

    しかし、顧客がWebで積極的に情報を収集する時代には、Webで集客したり、Webで顧客の見込み度を上げたり、購入に近づいている顧客を見つけたり......Webが担う部分が増えると共に、マーケティング業務と営業業務の線引きが難しくなっています。

    今後はこれまでのマーケティング部門の業務を含めて、営業企画業務が拡大して、それらの業務を行う者の人数が増えて、Face to Faceの営業業務を行う者は、専門的な知識や高い営業技術を持つ少数精鋭になっていくでしょう。

    Webサイトを顧客引き寄せ
    ツールに

    適切なWebのマーケティング活動方法
    とは?

    Webサイトに「押し」の強いツールばかり用意しがちですが、これは逆効果です。 これまでのBtoBの営業ツールは、顧客からの問い合わせに対して、会社案内や商品カタログでPRして、関心があるようならヒアリングシートで情報を収集して、提案や見積を行うという流れです。ある程度ホットな客ならうまくいきますが、Webで情報を収集している段階の顧客には、押しが強すぎます。また、せっかく問い合わせてくれた顧客にいきなりしつこいセールス電話をかければ、嫌われてしまいます。

    この段階の顧客と関係をつなぐために大切なことは「敷居を低くする」ことです。顧客の担当者が個人的に情報を収集しやすいWebサイトにしましょう。まずは顧客を引き寄せることが大切です。

    顧客を引き寄せるために、必要なものは?

    御社の商品やサービスを購買するかもしれない顧客が、最初の段階で求めている、その分野の基礎知識や情報を用意して惹きつけます。コンテンツマーケティングと呼ばれる手法です。

    それを読みに来た顧客に、いきなり問い合わせを求めるのではなく、メールマガジン受信や役立ちそうな小冊子ダウンロードのためのメールアドレスをまずは登録してもらいます。そこから徐々に「役立つ情報をくれる会社」として、好感度を高めていきます。こうして、見込み客を育成(=ナーチャリング)していきましょう。

    さらに相手がどのページを見たか、どのメールマガジンを開封したかなどを把握することで、相手の状況をつかみ、最適なタイミングで最適な接触をしましょう。

    ITツール活用で重要なのは、
    現場でのカスタマイズ

    BtoB営業活動におけるITツールの活用方法とは?

    ツールで、さまざまな活動を見える化していきましょう。

    たとえば、仕事と人のつながりをマップにすることで、隠れたキーパーソンを発掘することができます。たとえば引き継ぎの際に、そのとき直接つながりがある顧客の担当者のことは引き継いでも、直接は仕事に関係のない人脈の引継ぎは忘れがちです。

    マップ作成自体はITツールを使わなくても、紙に書くだけでかまいません。過去の担当者までさかのぼって、自社の誰と顧客の誰がどうつながっているのか、つながりをマップ化してみましょう。単に名刺に書かれた情報だけでなく、その相手が現在はどこにいるのか調べると、異動していった過去の顧客担当者がいま重要なキーパーソンになっているかもしれません。いまつながりがある部署以外でも売り込める他の部署につながりを見つけられるかもしれません。

    ITツールをきちんと活用していくコツは?

    ツールはあくまで道具であり、営業業務の中で自動化できることを自動化していけるのは営業担当者です。ところがITツールになると、いちいちIT部門に依頼しなければならない会社が多いのではないでしょうか。現場の営業担当者が、自分たちでいじってカスタマイズできなければ、ツールを有効利用できません。知るべきは操作方法ではなく、そのITツールでできることです。

    そのためには、ぜひ、他社の活用法などが学べるセミナーなどに出て、どう活用しているのかを知りましょう。

    今後は、BtoBの営業業務において、Face to Faceで、人間でなければできない提案、顧客支援をすることは少数の業務になります。WebなどのITツールを駆使しての営業企画業務が増えていきます。ITツールをより活用していくための細かなカスタマイズなどを、いちいちIT部門に依頼する時代ではありません。ITツールを使いこなせるようになることは、これからのBtoBの営業担当者にとって非常に重要です。

    前編では、Face to Faceでの今後の営業活動について紹介しています。

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