リードナーチャリングとは?BtoBナーチャリングの基礎から実践までを解説!
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リードナーチャリングとは?BtoBナーチャリングの基礎から実践までを解説!
~One to One マーケティングが必要な理由と実践の鉄則~
BtoB企業のセールス&マーケティング現場で、ホットワードとなっている「リードナーチャリング」。その名のとおり、見込み客(lead)を育成する(nurturing)することで、受注に結び付けるまでの「見込み客の育成プロセス」を指すマーケティング用語です。
そもそもBtoBマーケティングは国土の広いアメリカが発祥で、10年以上前から実践が行われています。一方、国内企業でBtoBマーケティングの重要性が浸透し、リードナーチャリングという言葉がメジャーになりはじめたのは、2014年以降になってからのことです。そのリードナーチャリングを効率的に実践するために、専用のリードナーチャリングツールやサービスが開発され、提供されるようになりました。
では、なぜ今、国内BtoB企業でリードナーチャリングが求められているのでしょうか。その理由と、実践するうえで抑えておくべきポイントを解説します。
リードナーチャリングツールがBtoBセールスで求められている理由
かつて国内企業の営業担当は、靴を履きつぶすほど足を運び、顔を覚えてもらい、それからようやく受注を得るというような、いわば「汗と努力の結晶」のような営業方法が主流でした。多くのBtoB企業が、新たな仕事上のツールや製品を導入しようとしたとき、営業担当を介した情報収集を行っていたのです。
しかし2016年現在、ITの発達とともにビジネスのスピードが加速し、ニーズが多様化したうえ、国内市場は成熟し、営業の引き合いだけでは利益の向上は見込めない時代になりました。
実際に、その購入プロセスの中で多くの企業がWebを参考にしています。
もはや足で勝ち取る従来の営業手法を続けることは、企業そのものをガラパゴス化することと同義となりつつあるのです。
そもそも過去の営業手法は、非常に手間や時間がかかり、限られたエリア内でしか使えない手法でした。さらに属人性が高く、営業担当が変わると受注量が変化する可能性もある、企業にとってはリスクの高いものです。これからのビジネスに適用してゆくためには、営業業務の属人性を排除し、自社の製品やサービスに対する見込み客のモチベーションを高めるための施策が必要だという認識が周知されつつあります。
そこでWebを活用した幅広いエリアをターゲットとして捉えたデジタルマーケティングの発達とともに、営業の属人性から解放されることで、受注を増加させることを目的としたリードナーチャリングツールが注目を浴びはじめたのです。
リードナーチャリングは、BtoBマーケティングの基本中の基本で、核ともいえる部分です。マーケティングには、アメリカで主流になっている3つの工程があります。見込み客の獲得を行う「リードジュネレーション」、そして見込み客の育成を行う「リードナーチャリング」を経て、見込み客の絞り込み、「リードクオリフィケーション」を行うわけです。
つまり、見込み客の獲得だけを行っていても、ただやみくもにセールスをしても、リードナーチャリングが適切でなければ無駄足となり、受注獲得率が低下してしまいます。だからこそ、BtoBマーケティングの現場では、リードナーチャリングツールが重視され、またその活動を支援するツールが求められているのです。
リードナーチャリングの基礎
リードナーチャリングを行うためには、見込み客の獲得、つまり顧客データベースが必要不可欠です。できる営業マンにとって名刺は財産ですが、営業の前段階となるマーケティングを行う際も同様です。
リードナーチャリングツールを活用した施策を行う場合は特に、名刺を確実にデータ化することが最重要であり、リードナーチャリング実践の入り口になります。ただし、データ化を行う際、気を付けるべきことがいくつかあります。
営業が必要とする情報をツールに取り込むだけでは、リードナーチャリングを行うことはできません。リードナーチャリングを行うには、該当顧客の所属部署はもちろんのこと、行動履歴から興味関心、営業担当者との接触状況を、過去から現在に至るまでデータ化しておく必要があります。
また、これらの情報は、Webサイトなどから収集したデータやタグと組み合わせ、営業担当ごとにツールから抽出できる状況を整えておかなければなりません。これは、より効果的なリードナーチャリングの土台となるだけでなく、営業の属人化を防ぐことにも役立ちます。
Webサイトからの問い合わせ、資料請求、セミナーや展示会などからリードジュネレーションを行い、見込み客リストをツールに蓄積できたところで、ようやくリードナーチャリングを行うことができるのです。
One to One マーケティングこそが、リードナーチャリング実践のポイントに
Webトラッキングをはじめ、できる限り詳細なスコアリングを行えば行うほど、マーケティングオートメーション(MA)のようなツールを駆使したリードナーチャリングの効果が向上します。なぜなら顧客の多くは、資料請求を行った時点、もしくは展示会に参加した時点では、購入意欲が高い状態にあるとは言えないからです。
情報過多の現代ですから、見込み客は必ず他社の製品と比較検討するものです。事実、57%もの企業が「セールス担当者と会う前に購買製品を決めている」という調査結果もあるほどです。(出典:CEB,“The Challenger Sale,” 2011)
さらに国内企業特有の意思決定プロセスがあるため、最も興味が高いと思われた見込み客にダイレクトにアプローチしても、その見込み客に意思決定権がなければ迅速な受注へつながる可能性は低くなります。また、部署が変わり、興味関心がほかのものへ移っている可能性もあるでしょう。ビジネスパーソンであれば、誰しも覚えがあるのではないでしょうか。
つまり、一斉に同じ内容のメールマガジンやDMを送ったり、単純に顧客データベースからランダムにテレマーケティングを行ったりすることは、リードナーチャリングとは言えません。見込み客の状況を顧みず押し付けのアプローチを行うことは、タイミングを逃すだけでなく、最悪のケースでは拒否されてしまう可能性すらあります。見込み客と友好な関係を築くことこそが、リードナーチャリング最大のポイントなのです。
そこで、見込み客一人一人の人脈から企業属性、行動分析に至るまでを可視化したうえで、適切なタイミングを見出し、興味や属性に応じた One to One のアプローチを行うことが求められます。そのためにも、発掘されたホットリードには、個々のフェーズに適したメール送信を行うなど、素早いアプローチを可能とするリードナーチャリングツールが必要不可欠になります。
しかし、詳細なセグメントやターゲティングデータベースの作成は難しい状況にある中堅・中小企業が多数存在している現状があります。さらに営業とマーケティングの業務が分断されていて、互いの業務領域に踏み込みにくい状況があり、ツールを使ってホットリードの発掘を行ったとしても、すぐには対応できていない・対応したかどうかわからないという環境に陥ってしまうことも少なくありません。
そのようなケースでは、名刺管理アプリケーションとSFA、さらにはMAがシームレスに連携しているツールを利用することをお勧めします。理想は、誰でもかんたんに利活用できるUIや機能を兼ね備えた、名刺管理ツール・SFA・MAを包括したソリューションです。
使いやすいツールで各ソリューションが連携されていれば、ITを苦手とする営業マンでも、営業活動の移動中などに素早く営業活動の報告や名刺管理ツールへの登録が行えます。そしてマーケティング担当は、実際に顧客と接する営業担当が提供した情報を基に、分析やホットリード発掘ができるようになるのです。さらに発掘されたホットリードを基にしたきめ細やかな顧客アプローチとその結果まで可視化できれば、互いが意識せずとも、より効果の高い営業活動へ活かせるようになるのです。
まとめ
WebとITの発達とともに進化しているBtoBマーケティングにおいて、中核を担う手法のひとつであるリードナーチャリングは、「見込み客を育成する」という言葉通り、ツールを導入すれば一朝一夕で効果の上がる手法ではありません。しかし、これまで逃してしまっていた可能性の高い見込み客を自社製品のファンとすることで受注率を向上させるとともに、効率よく営業できる土壌を育てることが可能になります。
適切なリードナーチャリングを行うためには、営業とマーケティングの意志統一を図る必要があります。名刺管理・SFA・MAを包括したソリューションは、各業務の領域を意識せずとも、営業とマーケティングがともに理解できる形で戦略に基づくプロセスの可視化を支援します。その結果に基づいたPDCAサイクルにより、課題と目標を共有していくことができるようになり、より効果的なリードナーチャリングを実現できるはずです。