SFAで営業改革を推進するために!考えておくべきマネジメントの肝
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SFAで営業改革を推進するために!考えておくべきマネジメントの肝
営業の生産性を高めるためにSFAの導入を検討する企業が増えています。その一方で、SFAを導入したにもかかわらず、期待していたような売上増加が見られず、それどころか営業の負担が増えてしまった、という事態も発生しています。
これは、SFAの本質を正しく理解できておらず、現在抱えている営業の課題も明確にしないままで導入してしまうことが原因です。
今回は、営業改革を推進するためにSFAを導入する際、マネージャーが考えておくべきことを紹介します。
導入前に、SFAの役割を再確認する
SFAは営業支援システムと呼ばれていますが、その目的は営業プロセスや商談の進捗状況を管理することで営業の生産性や効率性を向上し、売上げを拡大させることにあります。
たとえば、従来は個々の営業が個人的に管理していた顧客情報や案件の進捗状況、あるいは実績に関する情報を、一元管理することにより営業部門全体で共有し、営業戦略に役立てることで営業力の強化を目指します。
しかし、注意しなくてはならないことは、SFAの導入目的が営業を管理することに終始してしまうことです。SFAで営業や案件の進捗状況を管理することは手段であり、目的はあくまで売上向上であることを忘れてはなりません。
そのことを見失うと、いつのまにかSFAで営業を管理することが目的にすり替わってしまい、営業効率を高めるはずが、逆に営業社員にとっては情報入力などの負担が増やすだけの導入プロジェクトになってしまうためです。
したがって、SFAの導入目的として謳われる情報伝達の効率化や迅速化、あるいは商談プロセスの標準化などといったことは、あくまで売上向上のための手段であることを再認識することが第一に重要になります。
SFAの役割は、営業活動を可視化した情報を企業内で共有し、商談プロセスを標準化することにより、売上予測を正確化し受注決定率を高めること。そして、これを活用してどのような営業戦略を立案するのかは、人が考えねばならないことを忘れてはなりません。
SFA導入の前にリーダーが考えておくべきこと
SFAを導入しても、現場の営業がSFA導入の意義を理解していなければ、その導入を成功させることは困難です。
営業がSFAの導入意義を理解するためには、まずはマネージャー自身が、SFAをどのように活用すれば営業の生産性が上がり、その結果として売上向上につながるのかを具体的にイメージできていなければなりません。
そのためには、営業部門が現在抱えている課題を明確に認識し、その課題に対してどのような機能があれば解決できるのか、ということを理解しておく必要があります。
そのうえで、SFAを活用することの有用性を営業一人ひとりのベネフィットに置き換えて理解させ、導入プロジェクトを進めていかなければ、成果は上げられないでしょう。
つまり、SFAを導入する前に、マネージャーは「どこに課題があるのか」「何を改善すべきなのか」を把握し、それらの課題改善のために「どのような情報」を共有し、「どのように判断して指示につなげるのか」という本質的な議論を徹底して行い明確にしておくことが肝心になるのです。
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SFAの具体的な導入意義を部内で共有しよう
現在、営業が抱えているさまざまな課題を改善するために、営業部門全体でSFAを活用する意義を理解し、手段として活用するのだという認識を強くすることで、はじめてSFAは定着し効果を発揮できます。
たとえば、営業担当者の活動が見えていないことや、資料や報告書、ミーティングといった情報共有に費やす業務に労力がかかりすぎていること、日報の書き方が不統一で事実が効率良く把握できていないこと、顧客情報や営業ノウハウが属人化しているため各自が無駄な努力をしていることなどが解決すべき課題として挙げられるでしょう。
これらの具体的な課題を解決するためにSFAが活用できることを理解することが必要になります。そして、売上向上を達成するためにSFAで改善すべきテーマを掲げて共有することも重要になります。
具体的には、意志決定を迅速化するために情報伝達速度を速める、営業効率を高めるために顧客訪問頻度を管理する、商談成立率を高めるために成功事例を共有する、顧客への対応を個人的な状態から組織的状態にするために顧客情報を共有する、などの目標が挙げられます。
売上向上に紐づく課題と目標に対してSFAの活用意義を具体化し、理解することがSFAを定着させる前提となります。
SFAの導入を成功させる環境づくり
SFAを導入して定着させ成果を上げるためには、営業がSFAを受けいれるための環境づくりが重要です。
まずはSFAの活用が作業負担の増加ではなく、営業社員自身の営業効率を高めることに役立つことを啓蒙することから始まり、SFAの運用に徐々に慣らしていくための期間を用意することなどが有効になります。具体的に見ていきましょう。
営業社員にSFAの必要性を啓蒙する
SFAの定着化を実現するために、SFAが個々の営業社員の生産性を高める上で有用であることを伝えましょう。
たとえば、情報共有の必要性については、顧客情報や人脈、また商談の成功事例や失敗事例は、企業だけでなく個人にとって重要な資産であることを伝えます。組織全体の人脈を活用することで、より戦略的な顧客へのアプローチが可能になることや、類似案件の商談データを共有することで、より効率的に商談を進められることなどが考えられます。
つぎに営業プロセスの見える化が営業効率の改善につながることを伝えます。商談の進捗状況を紙やメールなどを使った日報で個別に提出していたのでは、営業会議などで報告会を行うまでお互いの状況がわかりません。また、過去の実績や事例を参照することも困難です。
これらの情報がリアルタイムで更新され可視化されることで、組織全体で営業プロセスを共有でき、各自が進めている案件に対してフィードバックできることの有効性を伝えていくことも重要になります。
また、スマートフォンやタブレットを利用することで、いつでもどこからでも営業報告できるため、日報作成のために必ずしも帰社しなくとも良いことや残業から解放されること。決められたテンプレートやメニュー選択によって効率良く報告書を作成できるため、書き方で悩む必要がなくなること。さらに、リアルタイムに営業報告ができるため、マネージャーからのアドバイスや指導を受けるタイミングが早くなり、商談精度を高めることを期待できることなども、SFAを活用する動機付けとして有効になります。
本格的に運用する前に、営業に慣れてもらう
SFAは多機能であるため、いきなりすべての機能を使わせようとすると、営業の入力業務負荷が大きくなり、拒絶反応を引き起こしかねません。
そこで、使いやすく利便性を理解しやすい機能から使うことを指導し、その便利さを少しずつ実感させながら、ほかの機能も使えるように指導することが、システムを定着させるために考えられます。
そして、システムを使わざるを得ない状況を増やし、たとえば日報はSFAを利用しなければ受け付けないことや、マネージャーからの伝達は必ずSFAで行うことなどをルールとして定着させていきます。
これとともに、SFAを活用して日報を提出すれば、訪問先や時刻次第で必ずしも帰社する必要がない、SFAを利用すること事態が自身の評価につながるなど、積極的にSFAを活用する動機付けを行うことが必要になります。
そしてなにより、マネージャー自身が率先してSFAを活用することを心がけることが肝要です。
まとめ
SFAは営業という属人化しがちな業務をIT技術により支援するという、運用が複雑化しやすいシステムであるという性質上、営業現場に定着させることが難しい場合があります。
そのために、SFAを導入する目的が売上向上であることを見失わず、SFAの活用はこれを達するための手段であることを理解することが重要です。そのことで営業がSFAを導入する意義を理解し、使いやすい機能から有効性を実感して活用範囲を広げていけば、SFAは営業組織に定着していくことでしょう。
また、SFAを扱う「人」の問題を踏まえ、営業課題において本当に必要な機能を見極め、自社のリテラシーに合わせて現場で必要とされる機能だけに絞ったシンプルな「ツール」を導入することも、SFA導入を成功に導く重要な現実解になり得ます。
これらによりSFAが定着し始めたら、チーム全体で改善すべき次の課題を検討し、改善するPDCAサイクルを回していくことで、SFAの定着はより確かなものになっていきます。