属人化とは何か? 属人化を引き起こす要因や属人化を解消するための具体的な改善策を紹介
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一昔前は事務のプロフェッショナルのような形の属人化が当たり前で、バリバリと大量の事務処理を行えることが評価される時代だったと言えます。しかし、労働人口の減少に伴い、従業員個々の負担を軽減し、長く勤めてもらうためには属人化を解消すべきという考え方も知っておくべきなのは間違いありません。
今回は属人化に関する基礎知識、そして属人化を解消するための具体的な改善策についてお話します。
属人化に関する基礎知識
はじめに属人化に関する基礎知識について簡単に説明します。属人化とは
属人化とは経験やスキル、または立場などに依存し、特定の担当や人材でしか業務や作業を行えない状況を意味します。いわゆる「担当の誰それさんがいないとできない・わからない」という状況であり、企業や組織として健全な状態であるとは言えません。逆に、標準化(業務標準化)は、企業や組織の活動に必要な作業や業務を誰にでも行えるように職場環境を整備するという考え方・仕組みであり、ある意味、属人化と対になる考え方として注目されています。
属人化を引き起こす要因
属人化を引き起こす要因は前述したように経験やスキル、立場などを持つ特定の担当や人材が存在してしまうことです。特に経験やスキルにおいては、ナレッジ・ノウハウの共有がなされていない状況でもあり、企業や組織における継承・育成・継続の部分に難がある状態でもあります。例えば、一般的な事務系の作業やバックオフィス系の業務は知識やスキル、経験が必要とされる部分、または責任を伴う判断が必要な場合もあるでしょう。しかし、実際には誰にでもできる作業や業務もあるのに、誰にでもできる部分を特定の担当や人材に任せきりにしてしまうことで、その業務についてのナレッジやノウハウが共有されなくなってしまうのです。
属人化による企業や組織への影響
属人化による企業や組織への影響はナレッジやノウハウが蓄積されないこと、そしてナレッジやノウハウが失われてしまうことです。経験もあり、能力・知識・スキルのある人材とはいえ、属人化によって業務や作業を大量に押し付けられてしまえば、いずれ離職・退職してしまいます。ナレッジやノウハウを抱えたまま、それが誰にも継承されず、引き継がれぬまま離職・退職されてしまうことで、ナレッジやノウハウが失われてしまいます。結果的に業務に支障が出てしまうことや、顧客やユーザーに迷惑を掛けることとなり、最悪の場合は特定の作業・業務が進まないことで業務プロセス全体が遅延することになります。
属人化とDX推進や働き方改革の関係性
DXの推進において、大きな課題となっているのが「レガシーシステム」です。レガシーシステムとは企業や組織における基幹システムや専用のプログラムであり、保守やメンテナンスをするための人材が不足することにより、システムの改修やアップデートができず、負の遺産になっている状況を指します。同様にレガシーシステムとともに、企業や組織を運営・運用するための細かな作業・業務が属人化されたまま、団塊の世代の引退や退職によって、業務プロセスが円滑に回らないという状況に陥ってしまうケースがあり、DXの推進においても属人化の解消は課題のひとつとされています。
属人化の解消による企業や組織への効果
属人化の解消による企業や組織への効果として、適切な作業配分・人員配置が可能となることが挙げられます。これらは従業員の心身の健康にポジティブな影響を与えるものでもあり、離職率の低下や定着率の向上、勤続年数のアップなどが期待できます。特定の担当や人材に依存や属人化することから解消されれば、結果的に業務プロセスもさらにスピードがアップするようになります。誰かしかできない仕事が誰にでもできるようになるということは、お互いがお互いをサポートや助け合うことが可能になるからです。
結果的に働きやすく、長く勤めたくなるような職場環境、もしくは誰もが無理をせず、お互いがサポートしあえるという理想の職場の構築につながっていきます。
属人化を解消するための具体的な改善策
次に属人化を解消するための具体的な改善策をご紹介します。段階的に業務の標準化を進める
まずは段階的に業務の標準化を進めることから始めましょう。作業や業務の細分化、業務量の可視化を行って、本当にその人でなければできないのか、本当は誰にでもできることではないのか精査すべきです。もちろん、すべての属人化を解消できるとは限りません。何らかの国家資格、特別な研修や経験、直接体験や体感しないと得られない知識やスキルが存在するからです。
大切なのは「ひとつひとつの作業は誰にでもできる」という視点を持つことであり、本当の意味で責任を伴う判断が生じる作業や業務を切り分けることです。
誰にでもできることは、誰でもできるようにする
誰にでもできることとは、紙の帳票にあるデータを目視でチェックし、手動でデータ入力するような作業・業務です。一見、簡単なように見えても、事務系もしくはバックオフィス系の担当や人材に属人化させてしまう作業や業務と言えます。後述しますが、これらの作業・業務はIT化によって大幅に削減できる部分でもあります。そのため、作業や業務の細分化、業務量の可視化を行いつつ、IT化=DXの推進ができるかどうかも並行して検討することをおすすめします。
お互いがお互いをサポートできる職場の雰囲気の構築
業務の標準化は部門や部署を越えて、誰でもできるようにすべきということではありません。しかし、本質的には簡単なことは社内や組織内の人間であれば、誰でもできるようにしておく方がお互いをサポートしやすくなります。実際に部門や部署によって忙しさは異なります。また、一時的な忙しさを軽減するために、他の部署や部門から応援ができた方が雰囲気が良くなるのも事実です。
同様に属人化しがちな作業や業務においても、本質的には誰にでもできることであれば、誰にでもできるようにすること、マニュアルを整備し、ナレッジとノウハウが蓄積できる環境を整えることが大切です。
ムリ・ムダ・ムラの解消も属人化の解消に効果的
属人化の解消とムリ・ムダ・ムラの解消は近しいポジションにあると言えます。ムリをさせるから属人化につながり、ムダがあるから作業量が減らず、ムラがあるから特定の人に作業が集中してしまうためです。考え方としては、お互いがムリをしている状況を把握すること、ムダだと感じている手順を排除していくこと、ムラのある人員配置や作業分配を見直すことが重要です。
結果として誰もがムリをせず、ムダなことをせず、ムラのない職場環境とスムーズな業務プロセスが構築されます。
誰にでもできる作業や業務はIT化・デジタル化を進める
単調かつ定型の作業手順でありながら、業務量が多く、属人化しがちな事務系の作業やバックオフィス系の業務のIT化を進めるのがおすすめです。特に事務処理においては、経験によって判断が早い人、または慣れによって入力がスピーディな人が属人化しやすいという難点があります。これらはOCRによるペーパーレス化やFAXの電子化によって解決できる問題です。
誰にでもできる作業や業務はIT化・デジタル化を進めて、責任を伴う判断が必要なポイントをしっかりと人力で対応するという流れになれば、さらに属人化も解消されやすくなるでしょう。
まとめ:属人化の解消は対象となる担当や人物への配慮を忘れないこと!
今回は属人化に関する基礎知識、そして属人化を解消するための具体的な改善策についてお話しました。属人化の解消とは、誰かに無理をさせないことでもあります。それは、仕事を頼みやすいから無理をさせたり、仕事が早いから業務量が多くなってしまったりと、属人化してしまう人の負担でしかないということを忘れないようにしましょう。
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