DX推進に必要なペーパーレス化を阻む要因の把握と対策方法について

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    長くビジネスの基盤を支えた「紙」文化が減退し、デジタル化・ペーパーレス化が加速しています。デジタル庁の創設、国を挙げたDXの推進などが、その流れに拍車をかけています。とはいえ、デジタル化・ペーパーレス化がめざましく浸透しているのは、日本においてはまだまだ特定の業種に限られ、多くの業種や企業においては「紙」頼みの業務から完全には脱却しきれていないのではないでしょうか? 今回は、「DX推進に必要なペーパーレス化を阻む要因の把握と対策方法」として話を進めてまいります。

    前提:なぜ、DXの推進にペーパーレス化が必要なのか

    はじめになぜ、DXの推進にペーパーレス化が必要なのか、詳しく解説します。

    電子データによる処理の方が圧倒的に早く、正確だから

    紙を基本とした作業手順や業務の流れには「人員と時間」が必須です。そのため、紙による事務処理が多ければ多いほど人員と時間が浪費されていきます。その点、電子データで行う作業や業務は処理が圧倒的に早く、かつ正確です。 人間が作業や業務を行う部分においても、チェックやエラーの確認もしやすく、間違いそのものを起こしにくくすることもできます。さらにOCRなどでデータ化、RPAで自動化という流れが構築されることで、従業員の負担が軽減され、時間も大幅に削減されていきます。

    業務標準化しやすく、属人化やブラックボックス化が解消できるから

    ペーパーレス化に対応するタイミングは作業や業務の標準化が行いやすく、属人化やブラックボックス化の解消も期待できます。ペーパーレス化のために、いわゆる業務の可視化を行うことで、誰が、どのような手順で作業していたのか明確になるからです。 日本の企業に限ったことではありませんが、作業や業務は「誰かに頼って、任せた方が早い」ことがあります。そのため、特定の人にしわ寄せが行きやすく、本人が気が付かないうちに「仕事が早いから、負担が増える」という悪循環になりがちです。いつの間にかその人でなければわからない、どうやっていたのか知らないという状況に陥ってしまうのです。そのため、ペーパーレス化によって属人化とブラックボックス化が解消され、誰でも業務を行えるようすれば、負担のしわ寄せも発生しにくくなります。

    2025年の崖問題然り、団塊の世代も含めて人口の多い層が引退・退職するから

    2025年の崖問題とは、デジタルの波に乗り遅れてしまうと、2025年を前後にIT格差による弊害から企業や組織として存続できないことを指します。同時に今の仕事や技術を持つ世代の減少によって、さまざまな作業手順・業務の流れなども失われるとされています。 今の段階でペーパーレス化を行い、属人化やブラックボックス化を解消し、働き方も含めてレガシーシステムを改善しなければならないということです。そのため、既存の紙による作業体制を電子データで扱えるようにすること=ペーパーレス化を進めることで、その先にある、さらなる効率化や最適化を行うことが求められるのです。

    DXの推進自体が働き方改革と密接な関係であるから

    日本の労働力は年々低下しています。そのため、今までと同じやり方では対応し切れない時代が既に訪れているような状況です。実際、万年人手不足、離職率も高い、定着率が低いような状況に陥っている企業や組織も存在しています。 DXの推進を行うことで、従業員の負担を減らし、従業員に長く「健康に」勤めてもらうように職場環境を改善できなければ、人が集まらないということでもあります。いわゆる働き方改革と密接な関係にあるのはこのためでもあり、IT技術によって従業員を楽にすること、同じ人数でも生産性を向上させるためにDXの推進が必須とされているのです。

    ペーパーレス化の先に「電子決裁」や「オンライン化」が待っているから

    ペーパーレス化によるデータ化・デジタル化の先には電子決裁やオンライン化など、さらに最適化や効率化ができる仕組みが待っています。紙でのやりとりを行わないことで、郵送などの時間や手間も不要となり、即時的な判断や決定が行えるようになります。BtoBやBtoCにも同じような技術を用いることができれば、アプリや公式サイトなどで、事業の一部をECに対応させることも可能です。 これらはテレワークやリモートワークなどにも対応しやすくなる技術であり、在宅ワーク以外にも短時間勤務や介護・育児のある従業員も勤めやすい環境が整います。その他にも出産・育児から復帰する場合においても、復職しやすくなるという利点も生まれます。

    ペーパーレス化を阻む要因が「帳票」の場合

    次にペーパーレス化を阻む要因が帳票の場合の対策方法についてみてみましょう。

    取引先や顧客から「受け取る」帳票の問題か

    取引先や顧客から受け取る依頼書、注文書などの帳票がペーパーレス化しにくい場合、相手側がITに疎かったり、それなりの売上があるため様式や方針を変更してしまうことで悪影響となる懸念などが挙げられるのではないでしょうか。同様に、個人ユーザーを対象にFAXによる注文や依頼を受け付けている場合、パソコンやスマートフォンを使わない層からの売上を失うかもしれないという懸念も、ペーパーレス化を阻む要因となっているかもしれません。 対策としては、データで受け取ることができる顧客と、郵送やFAXでないと対応が難しい顧客とを分けて考えることです。ひとまず提案をして、データのやりとりだけで済む場合は、それだけでペーパーレス化につながります。ブラウザなどからアクセスして注文や依頼を受けられる仕組みの導入も検討できるでしょう。どうしても郵送やFAXでなければならないという場合は、FAXを電子データとして受け取る方法が考えられます。

    取引先や顧客に「送る」帳票の問題か

    取引先や顧客へ送る請求書や納品書などの帳票も問題のひとつと言えます。例えば、商品に同封しなければならない。紙ベースでなければ受け付けられないなどの要因が挙げられます。取引先や顧客によってITの環境や技術的リソースが異なる点を留意しなくてはならず、ペーパーレス化を阻みます。 可能であれば、受け取る場合と同じく、メールなどを介してデータで送付する方法、またはブラウザなどでアクセスし、ログインすることで各種帳票にアクセスしてもらうという方法がおすすめと言えます。FAXの場合においても、電子的に直接FAXを送る仕組みを取り入れることで解決します。

    社内や組織内の「管理する」帳票の問題か

    取引先や顧客がデジタル化やペーパーレス化をしていても、逆に社内や組織内においてDXが推進されていない場合、帳票によって管理しなければならないことが問題として浮上します。もちろん、企業や組織によってデジタルか紙かの比率は異なるにせよ、まだまだ完全なペーパーレス化が進んでいないこと、専用のツールを導入していても運用段階でないことが挙げられるでしょう。 こうした場合、受け取る帳票、送る帳票、そして社内で管理し処理する帳票の流れを徹底的に洗い直すことが大切です。その上で、可能な部分から脱帳票の流れを作る、顧客や取引先とのやりとりをデジタル化・データ化する、そのデータを社内や組織内において処理・管理する、という方向でDX推進するのがおすすめです。

    ペーパーレス化を阻む要因が「技術的な問題」の場合

    次に、ペーパーレス化を阻む要因が技術的な問題の場合の対策方法についてみてみましょう。

    社内や組織内のITリテラシーやIT技術の受け入れ態勢が整わない

    実際問題として、社内や組織内のITリテラシーやIT技術の受け入れ態勢が整わないというのは、ペーパーレス化を阻む要因として大きな存在と言えます。人によっては、紙ベースでも困らない、または自分の作業や仕事が奪われるような感覚に陥ってしまうこともあるからです。また、業界や業種的にペーパーレス化どころかパソコンやタブレットで作業するような業務内容でない場合も考えられます。 解決策として、同業他社やライバル会社がITをどのように受け入れているのか、または取引先や顧客がどのようなレベルのITリテラシーがあるのかを把握し、最低でもそれらと同水準でなければいずれ淘汰されてしまうことを理解し、早い段階で自社にあったDXの推進、デジタル化を考えることから始めましょう。他社の事例を見ることで、どういったデジタル化でどの程度の業務効率化やコスト削減、収益拡大を果たせるか、それらを事前に確認できるというメリットもあります。

    機材やシステムを導入する費用と学習コストが享受できない

    現時点の業務体制において、機材やシステムを導入する費用や学習コストが捻出できないこともあるでしょう。ほとんどの業種、業界で人手不足が続いていることもあり、目先の業務を動かすことで手一杯ということも考えられます。導入や学習にかける時間も含めたコストの許容余地がない、ということになります。 対策としては、厳しいかもしれませんが中長期の視点を持ち、ペーパーレス化による効率化で人材不足の解消や作業負担の軽減につながるという、将来の実を取るという発想の転換が必要になります。自動化できる作業を自動化し、より生産性の高い業務に従業員を振り分けることで、少ない人材で大きな成果を上げる体制へシフトしていくという発想です。

    前時代的な業務体制そのものを排除できない

    今までこうだったのだからこのままでいいという考えのまま、非効率的な業務体制を続けてしまう場合もあるでしょう。また、ある程度の年齢、かつ役職がある方ですと、なくても困らなかった、と考えてしまいがちな面もあります。 こうした場合は、やはり将来に目を向けることで体制を変えていくしかありません。旧式の考えを持つ影響力のある人物は、近い将来組織から引退していきます。しかしそれまで待っていては、DX化を積極的に推進している同業他社に水を開けられてしまいます。すぐにでもデジタル化・ペーパーレスに舵を切るべきであり、そのためには、そうした影響力のある人物に対して粘り強く説得し続ける必要があります。

    ペーパーレス化を阻む要因が「検討中」である場合

    次に、ペーパーレス化を阻む要因が検討中やリサーチ段階から進まない場合の対策方法についてみてみましょう。

    検討はしているけれど導入に至っていない

    検討している段階で止まっている場合は、まずはどのようなシステムがあるのか、どのような形でペーパーレス化するのか把握することから始めましょう。紙の帳票であればOCRで読み込んでデータ化、FAXであれば電子的に送受信を行う、その他にもデータによる社内外のやりとり、一元管理や共有、ビックデータの活用など、ペーパーレス化による恩恵も含めて情報収集しましょう。

    導入はしたけれど実務で活用されていない

    導入したけれど実務で活用されていない場合は、可能であればツールやソフトウェアを提供する提供会社のサポートを受けるのが早道です。例えば、OCRの導入やFAXの電子化をしたけれど、他のマーケティングツールと連携できない、またはRPAやデータベースとの連携ができず、結局社内独自の基幹システムとしてしか活用できていないということもあるでしょう。 もし、ペーパーレスでお悩みであれば、当社の提供する「AnyForm OCR」の導入をご検討ください。OCRによってほとんどの帳票を読み込むことが可能であり、手書き文字も認識します。その他にもRPAや各種データベースとの連携、一元管理も可能です。紙ベースの情報のデジタル化、ペーパーレス化の一助となりますので、ぜひともこの機会にご相談、お問い合わせください。

    そもそもDXの推進が上層部に理解されていない

    DXの推進が会社の上層に理解されていない場合は、その必要性・重要性や認知してもらうことから始めましょう。大きな転換点ともなった2020年の新型コロナウイルスの影響、どのような企業が大打撃を受け、どのような企業が逆に業績を伸ばしたか、データを用いて粘り強く説明することで、DX推進の端緒としてのペーパーレスに理解を得られるようにしましょう。他社より早くIT技術を導入することでその恩恵も大きくなります。速さが勝負のこれからの時代に遅れを取らないようにしましょう。

    DXの推進やペーパーレス化、働き方改革をもっと「簡単」に考えるには

    次にDXの推進やペーパーレス化、働き方改革をもっと「簡単」に考えるにはどうすれば良いか解説します。

    既にペーパーレス化は実用レベル、実務で利用できることを知っておく

    ペーパーレス化に関連する技術は「まだまだ使えない」と思われがちです。そのため、まずはペーパーレス化は実用レベルであり、実務で利用できること知っておきましょう。実際に地方自治体や官公庁の他、民間企業においてもペーパーレス化は進んでいます。業界や業種によっては完全にペーパーレス化・脱紙が済んでいる企業や組織も存在するほどです。 なるべく早い段階でペーパーレス化を阻む要因を把握し、解決しながら着実にペーパーレス化を進めていくこと、思い込みや勘違いなどで停滞させないことを意識しましょう。実際にペーパーレス化が進むことで、利便性や効率化などの利点を感じられる可能性もありますので、まずは体験・体感してみることも大切です。

    DXの推進は「ITに疎い、ITが苦手」でも進められるので安心するべき

    DXの推進と聞くだけで「難しそう」と考えてしまう方もいらっしゃるでしょう。DXの推進は特定の技術や専門の資格がなけば扱えないようなことはありませんので安心してください。 現実的にもITとは縁遠いような地方自治体および官公庁においても、IT化が進むことで、ITに疎い、ITが苦手という環境から脱却しつつあります。使ってみなければわからない、導入しなければ効果を得られないこともありますので、苦手意識だけで忌避しないこと、良い意味でチャレンジすることも時には重要と言えます。

    スマートフォンやタブレットのように「誰でも扱えるように工夫」されている

    ペーパーレス化をするためにプログラミングの知識が必要ですとか、特殊な技能を要するといったことは、まずありません。スマートフォンやタブレットのように「誰でも扱えるように工夫」されているのが理由です。 一昔前であればパソコンを利用することに対しても、スキルや能力、知識や経験が必要だと思われていたことも事実ですが、今はOSやソフトウェアも扱いやすく作られていること、むしろ扱いやすく作られているからこそ普及しているということを知っておくべきです。

    同業他社や地方自治体の先行事例を見ると具体性を帯びてくる

    既にペーパーレス化のためにOCRやRPAなどの技術を導入している同業他社、もしくは地方自治体の先行事例を見るのも大変おすすめです。実際にどのような課題があり、どのように解決されたのかを知ることで、具体性を帯びてくるようになります。 そもそも、ペーパーレス化自体はそこまで難しい技術ではありません。紙に書かれている文字列を読み込むこと、もしくは最初からデジタル的に入力することのどちらかしかないからです。紙をベースとした作業や業務であったとしても、OCRでデータ化する、または最初の入力の段階からシステムに入力する、という非常に簡単な仕組みであることも覚えておいてください。

    「知らない、わからない」ではなく「知って、理解する」だけで簡単に進む

    DXの推進も含めて、ペーパーレス化が進まないのは知らない、わからないという状況で停滞してしまうことです。そのため、知って、理解することを徹底するだけでも簡単に進むようになります。 現実的にもペーパーレス化のためにゼロからIT技術者を育てて、システムを構築し、新しいデバイスを製作しなければならないようなことはなく、既にあるシステムやデバイスを導入・インストールする程度という簡単なものばかりです。気軽にアプリケーションをインストールして利用するような感覚でペーパーレス化を進めること、難しく考えずに、知って、試してみることから始めてみてください。

    まとめ:デジタル庁の創設でペーパーレス化は加速する

    今回は、DX推進に必要なペーパーレス化を阻む要因の把握と対策方法についてご説明しました。 実際にDX推進にペーパーレス化が必要な理由は、デジタル化しなければデータとして扱えず、一元管理や活用、再利用ができない点にあります。日々蓄積されるデータを紙ベースで処理すればするほど、データ化することで生まれる利益や売上を見逃すことになります。実際にビックデータやAIを活用するためには、基盤となるデータが必要です。他のIT技術においても、横断的なデータの活用と共有ができなければ、DXの推進の恩恵を最大限に享受することはできません。 デジタル庁の創設によってペーパーレス化が加速すれば、企業や組織としていきなりペーパーレス化に対応せねばならず、場合によってはそのタイミングで廃業や倒産の危機さえあるということに留意し、前向きにペーパーレス化からDXの推進を始めることをおすすめします。

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