自治体がOCRを導入した背景と業務効率化や改善に至った事例のご紹介

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    自治体の一部ではOCRを導入し、業務効率化や改善に至っているケースがあります。OCRを導入したけれど活用できていない、またはOCRを導入してもどのように活用すべきかわからない方の参考になる事例と言えますので、ぜひともチェックしてみることをおすすめします。 今回は、地方自治体がOCRを導入した背景と業務効率化や改善に至った事例をご紹介します。

    自治体がOCRを導入するに至った背景

    はじめに自治体がOCRを導入するに至った背景を見ておきましょう。

    行政サービスにおける質の向上

    現段階で行政サービスはオンライン化があまり進んでおらず、窓口に行かなければ手続きできないような状況です。しかも窓口は混み合うことも多く、時間を取られてしまうのが億劫で利用が進まないことも懸念されていました。実際に働いている人が役所に行ったら、混みすぎていてせっかく休みを取ったのに大半を費やしてしまうようなケースも散見されます。 同時に窓口での人力の対応にも限界があり、必ずしも質の良いサービスを提供できているかといえば難しい部分とも言えます。忙しければ対応が粗雑になることもありますし、お互いが険悪なムードとなってしまうことも否めないからです。

    人材不足や少子高齢化への対処

    自治体の人員不足は解消されているとは言えません。2020年初頭の新型コロナウイルスによる影響で各種給付金や補填などの手続きにおいても、圧倒的にマンパワーが足りず、遅延や間違いなどが全国各地で発生しました。 将来的に少子高齢化となれば、さらに人材不足が加速します。そのため、人の手を必要としない部分の作業や業務をIT技術に任せるべきという流れになったと言えます。同時にOCRを導入することで、各種最先端のIT技術を受け入れる基盤作りになることも導入が進んでいるきっかけになったと言えるでしょう。

    DXの推進が重要視されていることも要因のひとつ

    DXの推進が重要視されていることも要因のひとつと言えます。前項で説明したように各種最先端のIT技術を受け入れる基盤を手に入れるためには、データ入力業務の削減、電子化やデジタル化、そしてペーパーレス化が必須だからです。手書きの書類、目視によるチェックや手動のデータ入力など、どれもが人員を必要とするものであり、同時に時間的なコストも必要となります。 このため、まずは目視によるチェックと手動のデータ入力部分を削減すること、そしてデジタル化や電子化したデータを元に、RPAや各種システム、デバイスとの横断的なデータ活用することで様々な部分のコストの削減に取り組むようになりました。

    自治体のOCR導入による業務効率化や改善の具体的な事例

    次に総務省の資料を元に自治体のOCR導入による業務効率化や改善の具体的な事例をご紹介します。 参考元:総務省 - 地方自治体における AI・ロボティクスの活用事例

    1.愛知県一宮市の事例

    OCRとともにRPAを導入した愛知県一宮市の事例を見てみましょう。 ・課題 愛知県一宮市ではオンラインで利用できるeLTAXの利用者が少なく、印刷後郵送された届出書を住民税システムに入力するという業務が課題となっていました。繁忙期には対応しきれないほどの届出書が届くため、職員の負担となり、その他の業務に影響があったことも推測できます。 ・取組 課題を解決するための取組として、届出書をOCRでデータ化、そしてRPAによってデータからロボットが住民税システムに入力する仕組みを導入します。最初の段階では手書きやフォーマットの異なる部分においては職員がその都度対応したとのことです。 ・成果 年間180,000件の届出書の入力に592時間要していたものが、OCRとRPAを導入することで398時間に短縮され職員の負担が大幅に軽減されるという結果が出ました。帳票設計やレイアウトの工夫によって読み取り精度を高めることで、年間438時間の削減が可能になると試算され、さらに改善や効率化の余地があることに期待が寄せられています。 愛知県一宮市の事例ではOCRとRPAを組み合わせたことで、課題となる範囲のデータ入力を大幅に削減しました。具体的な数値で成果が示されていることから、OCRを導入し、RPAと連携するための基盤を作っておくことの大切さが理解しやすくなる事例と言えます。

    2.東京都港区の事例

    RPAを導入するために、まずはOCRを導入した東京都港区の事例を見てみましょう。 ・課題 東京都港区では人口が平成29年度で25万人超、2027年には30万人を越えるという試算があり、人口増になっても質の高い行政サービスを提供すること、それに伴い職員の負担を増やさず、業務効率化による働きやすい職場作りを課題としていました。 ・取組 RPAによって各種事務を自動化する前段階として、まずはOCRよってコミュニティバスの乗車券申請書のデータ化に着手しました。年間約25,000枚の手書きの申請書をOCRで読み取り、RPAでシステムに入力する仕組みを導入します。 ・成果 OCRとRPAの組み合わせによって前段階であるコミュニティバス乗車券に関する業務を自動化した結果、その他の業務についても自動化が可能となれば年間約2000時間の職員の業務時間の削減が可能になるとの試算が出されました。このことから職員が他の業務に専念できるようになり、さらにICTを活用することで区民サービスを向上できることが期待されています。 東京都港区の成果では、まずは一部の業務をOCRとRPAでデータ化と自動化することで、その他の業務に適応した時にどれだけ削減できるかを試算できたことと言えます。実際に2,000時間もの時間が削減できるということは、工夫次第でさらなる業務効率化、最適化とともに職員に負担を掛けず、区民に質の良いサービスを提供できる基盤が実現できることを示している事例であると言えます。

    3.和歌山県橋本市の事例

    OCRを導入するために、まずはRPAを導入した和歌山県橋本市の事例を見てみましょう。 ・課題 和歌山県橋本市では、将来的にOCRやRPAによる業務の自動化を行うことを推進しています。その中でも申告書類ごとに1件毎にシステムに入力が必要な業務として、軽自動車税に関する廃車や転出の処理が月430件、年間約5,200件の業務を1件ずつ行わなければならないという課題がありました。 ・取組 J-LIS提供の廃車データを取り込み、システムへの入力をRPAに任せることで職員の確認や入力業務を省略する仕組みを導入しました。今後はその他の業務についても適用できるような取組を続けるとのことです。 ・成果 軽自動車税の廃車業務に関する部分が省略されたことにより、年間86.6時間の作業時間の削減につながると同時に、申請の多い繁忙期に他の業務に専念するための時間的なリソースの確保が可能になるという成果が出ています。将来的にはシステムから取り込めないデータをOCRでデータ化し、RPAと組み合わせることで、その他の申請においても自動化が進むことが期待できるでしょう。 和歌山県橋本市の事例では、年間86.6時間という小幅な削減のように見えますが、大都市と比べて人員が圧倒的に少ない地域であれば、まずは負担を減らし、他の業務に従事できる時間を作ることがどれだけ大変なのか伝わってきます。OCRやRPA、または最先端の技術を利用することで、少人数でも効率的かつ負担の少ない業務配分が可能となることを示している事例です。

    自治体のOCR導入事例から見えてくるOCR導入に関するポイント

    次に自治体のOCR導入事例から見えてくるOCR導入に関するポイントを解説します。

    OCRやRPAなどの技術は導入が難しいものではないということ

    OCRやRPAは難しく考えられがちであり、そうした思い込み自体が導入を難しくするというジレンマがあります。実際には自治体でも導入が進んでいるように、特別な技術やITに関する知識および経験がなくても導入ができるようになっています。 自治体という国民のために事務系の作業やバックオフィス系の業務を行う組織においても順調にOCRやRPAが導入できていることを理解し「難しそうで無理だ」と思い込まないことが大切です。

    OCRの導入で確実に事務処理および作業時間を削減する効果があること

    それぞれの事例において見えてくるのは、確実に時間や労力を削減する効果がある点です。OCRやRPAを導入したけれど効果がないという課題や問題を抱えているのであれば、システムやツールが使いこなせていないか、注力すべき作業・業務を見誤っている可能性が高いです。 逆に言えば、注力すべき作業・業務を洗い出すことさえできれば、想像しているよりも多くの時間および労力を削減できるということです。同様に実際には人員が足りており、労力や時間に困っていないようなケースにおいても、OCRやRPAによって時間や労力の削減することができれば、同じ人数で生産性を向上できるということも覚えておきましょう。

    事務処理が負担となっている箇所に注力することで改善が見込めること

    既に人員が不足している箇所、または労力が集中してしまう箇所にOCRやRPAの技術を導入すれば、高い確率で改善や問題の解消となる点も共通しています。どちらも「処理しきれない」ことが課題や問題であることから、OCRやRPAで課題や問題そのものを取り除くこと=課題の解決や状況の改善につながっています。 そのため、既に事務処理における課題や問題が顕在化しており、把握している状況であるなら、改善や解消できる可能性が高いということが示されていると言えます。同時に人員の不足、労力の集中による従業員への負担が軽減されることにつながり、結果として定着率の向上や離職率の低下も期待できるでしょう。

    まずは今までの負担を取り除き、将来的にさらに効率化・最適化ができること

    OCRやRPAは課題や問題の改善や解消した後も、将来的に効率化や最適化できる仕組みと言えます。ひとつの課題や問題だけでなく、他の課題や問題、または顕在化していないものも含めて改善・解消の足がかりになるということです。 また、事務処理の負担が減ることで、新しい何かに時間や労力を費やすこともできるため、サービスの向上、商品の質のアップなどのポジティブな効果も期待できます。既にOCRやRPAを導入、運用した実績があるからこそ、新しいことを始める場合も時間や労力について過度に心配する必要がないことも利点と言えます。

    事務処理の量が多ければ多いほど効果が期待できること

    「事務処理が多すぎるから、OCRやRPAは無理だろう」という形で諦めるケースがあります。むしろ、そういったケースこそOCRやRPAの技術は最適であり、より高い効果を期待できるので不安に思う必要はありません。 自治体や官公庁など書類ベースの事務処理が煩雑かつ膨大であるからこそ、OCRやRPAを導入した効果が数字として大きくでていることからも明白です。むしろ、事務処理で困っているから、人員や既存の業務手順から脱却できないからとお悩みの場合こそ、OCRやRPAの導入に積極的になることをおすすめします。

    民間企業や組織としてOCRの導入を検討している時に知っておきたいこと

    次に民間企業や組織としてOCRの導入を検討している時に知っておきたいことをご紹介します。

    既存のOCRに不満があるなら乗り換えや切り替えすることを検討する

    前提として、既にOCRやRPAを導入しているが、自治体の事例のような効果が出ていない、または不満があるなら乗り換えや切り替えを検討することからはじめましょう。「OCRやRPAを導入したのに効果がない」という状況はシステムやツール自体を変更することで改善できる可能性があるからです。 また、現在のOCRは進化しているため、古いOCRとは別ものと考えた方が良いです。導入してからある程度時間が経過している場合においても、乗り換えや切り替えを検討し、既存のOCRの適用範囲を広げられるかどうか、具体的な効果はどれくらいかを試算してみましょう。

    業務や作業のボトルネックや労力が集中してしまう箇所を洗い出す

    OCRやRPAを導入したいというタイミングにおいて、まずは既存の課題や問題を把握する必要があります。局所的に時間や労力が集中する箇所、ボトルネックとして把握している箇所も含めて、業務全体を精査、洗い出すことが重要です。 同様に「問題視されていない」ような事務処理においても、実際にはどれくらいの時間と労力を要しているのか、さらに労力や時間の削減につながらないかも検討してみましょう。ほんの少しの事務処理であっても、積み重なるような作業であればOCRやRPAに切り替えた方が効率的であり、後にさらなる最適化もしやすくなる可能性が高まります。

    導入や運用に関するサポートが充実しているベンダーを選ぶ

    OCRやRPAの効果が薄いと感じる場合、導入や運用の段階で実務レベルに達していないことも考えられます。システムの提供元のベンダーからしっかりとしたサポートがあるのか、導入や運用に不安がないかなどもチェックすべきということです。 現実問題としても「OCRはあるけれど、結局手入力している」ということになれば、コストが増すばかりで意味はありません。時間や労力というコストを削減するためにOCRを導入するためにも、導入や運用の段階で充実したサポートを受けることをおすすめします。

    段階的な導入とともに導入のタイミングで業務標準化を行う

    既存の課題や問題を改善・解消しつつ、データ化や自動化を段階的に進めていくことも大切です。また、導入のタイミングで業務標準化を行ってみるのも大変おすすめです。作業手順や業務の流れを変更する際にナレッジやノウハウの蓄積・共有を行うことができれば、将来的にも「誰もが作業や業務を理解できる」という働きやすい環境が整えられます。 まずは課題や問題を改善・解消したという実績を作り、段階的に導入する範囲を広げる。そして導入する範囲を広げるタイミングで業務標準化を行うという流れを構築することができれば、いわゆる属人化やブラックボックス化の解消も期待できます。

    DXの推進とともに働き方改革についてもじっくりと進める

    事務処理における課題や問題が改善・解消されはじめると、時間と気持ちの余裕が生まれます。今まで着手できなかった課題や問題にも対応できる他、前述したように新しいことにも挑戦できるということです。 DXの推進や働き方改革についてもじっくりと進める時間と余裕が生まれることになりますので、「忙しくて無理だろう」と思っていたことにも前向きに取り組めるようになるでしょう。実際、OCRによるデータ化、RPAによる自動化という手順を進め、その後にさらなるDXの推進につなげている事例も存在します。同業他社やライバル企業、もしくは官公庁や地方自治体の先行事例を参考にしつつ、取り込める技術や考え方をどんどん吸収していくことを意識してみてください。

    まとめ:OCRを導入すべきと感じたら「AnyForm OCR」がおすすめ!

    今回は地方自治体がOCRを導入した背景と業務効率化や改善に至った事例をご紹介しました。 地方自治体がOCRを導入した背景は民間企業や組織としても当てはめられる部分であり、サービスを向上するため、業務を効率化するために、まずはOCRによる電子化、デジタル化が効果的であることがわかります。紹介した3つの事例においても、OCRでデータ化した情報をRPAでどのように処理させるか、そして処理させる部分が職員の負担の軽減となるかを意識していることが伝わってきます。 もし、まずはOCRを導入すべきだろうか、または現在のOCRでは精度が低くて対応しきれていないとお悩みであれば、当社が提供する「AnyForm OCR」をおすすめします。OCRによるデータ化、デジタル化、ペーパーレス化が可能となり、RPAや各種最先端技術を導入する基盤が整いますので、ぜひともこの機会にご相談、お問い合わせください。

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