紙帳票の電子化が進まないことによる弊害とデジタル時代で淘汰される理由について
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紙帳票の電子化が実務や現場において普及し始めたことで、電子化=ペーパーレス化がこれからの時代に必要不可欠であることが浮かび上がりました。同様にDXの推進が検討段階から進まないことで起こり得る弊害、企業や組織として存続にも影響する可能性も見え始めています。
今回は、紙帳票の電子化が進まないことによる弊害、電子化が進まないことでデジタル時代で淘汰される理由、そして紙帳票の電子化をすすめるにはどうすべきかについてお話します。
紙帳票の電子化が進まないことによる弊害
はじめに紙帳票の電子化が進まないことによる弊害について説明します。
簡単な事務作業に人的リソースを浪費し続けてしまう
一昔前であれば、業界や業種問わず、事務員という形でたくさんの人的リソースを確保し、企業活動における事務処理を行っていました。しかし現代においては、IT技術で代替可能なこうした作業に人的リソースを浪費し続けることは、あまり勧められるものではありません。
例えば、帳票上に氏名・住所・商品・個数・金額という項目があるとして、1件ごとの事務処理は数秒で済むかもしれませんが、それが何百件、何千件ともなれば時間的なコストと人的なコストが必要になります。一方で、たとえばOCRによる紙帳票の電子化を可能にすることで、帳票をスキャナーなどにセットして読み込むだけで、人力の何倍もの早さで事務処理が終わります。この状況を、前者の方が「頑張っている」と評価される時代では、もはやないということです。
単調な作業の繰り返しが慢性的な人員不足の原因になる可能性も
単調な作業の繰り返しは離職や退職、転職の原因にもなりがちです。「簡単な仕事だから募集を出せばすぐに人員が確保できる」と考えてしまうことで、人材を大切にできなかったり「簡単な仕事だから安くても良いだろう」となれば、待遇に不満が生まれたりする可能性が高くなります。結果的にいつでも人を雇えるはずが、やりがいがない、環境が悪い、給与が安いことで、離職率が高く、定着率が低いという状況=慢性的な人員不足の原因となるのです。
日々の事務作業に追われて生産性のある仕事に集中できない
企業や組織の規模によっては、各種事務作業と主な業務を兼任することもあるでしょう。もちろん、日々の業務の流れの中で負担にならない程度の事務作業であれば問題ありません。しかし、人件費や残業時間の削減が必要となる時代では、個々の従業員に余裕がなくなり、事務作業の負担が主業務を圧迫します。すると、日々の事務作業に追われて生産性のある仕事に集中できなくなります。いつの間にか自分自身が利益や売上に関係しない、ロボットでもできる仕事をしているのだと感じてしまえば、やりがいを失ったようになりますし、何よりも「どこそこの企業はOCRとRPAで何百時間もの事務作業を軽減」と聞けば、心が不安定になってしまうことも無理はないと言えます。
電子化が進まないことでデジタル時代で淘汰される理由
次に、電子化が進まないことでデジタル時代で淘汰される理由を説明します。
電子化・ペーパーレス化すら実現・導入できない技術的知見の不足
現実問題として、業界や業種問わず電子化やペーパーレス化が進む中、導入できない技術的知見が不足している状況そのものに危機感がないことが問題と言えます。例えば、電子化やペーパーレス化はOCRを導入して紙帳票を電子化することから始まります。昨今のOCRは精度も高く、ユーザーインターフェースも優れていることから、誰にでも扱いやすくなっています。導入時にありがちな敷居が低いということです。もっと言えば、電子化やペーパーレス化はDXの推進の初歩であり、もっとも簡単な部分と言えます。そのような技術さえ実現や導入できないのは、それらの技術をすぐに導入できる他社との格差でしかありません。結果として、企業や組織としての成長力や競争力に欠けることとなり、生き残れない可能性が高くなります。
人・時間・お金を浪費し、枯渇するため
電子化が進まなければ、人・時間・お金を浪費し、いずれ枯渇してしまいます。単純に100円の利益を上げるために、一方で電子化によって数秒、一方で人や時間、お金のコストで何倍ものコストが掛かるとすれば、前者の方が各種コストやリソースを浪費していないのは明白です。裏を返せば、OCRとRPAによって何十時間、何百時間の事務作業の軽減ができるということは、OCRとRPAを使わなければ、その分の事務作業が軽減されないということでもあります。これらの問題による格差は、この先もっと大きな差となり、効率的に利益や売上を上げられるかどうか、そのために各種IT技術を柔軟に受け入れられるかどうかが、淘汰されてしまうのかを決める鍵になります。
本質的な意味での企業や組織の存続から目を背けている
電子化でもっとも危惧すべきなのが、本質的な意味で企業や組織の存続から目を背けているという部分です。DXの推進においても、デジタルによる変革に適応できなければ、企業や組織としての存続が危ういと示されているのに、それにも関わらず行動しないとうことは、極端な言い方ですが「存続できなくても良い」と黙認しているのと同じです。レガシーシステムの問題を解決できない、働き方改革に対応できない、無理や無駄を排除できず、いつまでもコストを浪費する。これらの状況を改善できないということは、少子高齢化による労働力不足、新しい生活様式やライフサイクルの考え方にも対応できず、古く非効率なアナログの考え方のまま、ひっそりと消えていくしかないということです。
紙帳票の電子化を進めるにはどうすべきか?
次に、紙帳票の電子化を進めるにはどうすべきか説明します。
アナログな作業手順の維持が高コストかつ非効率だと理解する
まずは前提として、今までの作業手順や業務体制が必ずしも正しいと盲信しないことから始めましょう。そして、アナログな作業手順の維持が高コストかつ非効率だと理解することをおすすめします。むしろ、手間もお金もかかるということは、実際に作業する人間は楽ではないはずです。同様に楽することを悪いことと考えないことも大切であり、効率化や最適化、自動化は楽をしながら、今までと同じだけ利益をあげることだとマインドチェンジすることが大切です。
OCRを導入して外部からの紙帳票を電子化・ペーパーレス化する
次の段階では、OCRを導入して外部からの紙帳票を電子化・ペーパーレス化しましょう。請求書や納品書など、様々なフォーマットがあることを把握し、なるべく全体的に電子化できるように模索すべきです。もし、既にOCRを導入しており、それなのに電子化が進んでいないのであれば、別のOCRに切り替えることも検討すべきです。
社内や組織内の紙帳票をベースとした作業手順、業務プロセスを見直す
外部からの紙帳票の電子化が進んだら、次に社内や組織内の紙帳票をベースとした作業手順や業務プロセスの見直しを行いましょう。なるべくなら、OCRで紙帳票の情報を電子化したら、その後は電子的な処理のみで業務プロセスが進行される仕組みにするのがおすすめです。
OCR以外の方法でペーパーレス化・デジタル化を進める方法
次にOCR以外の方法でペーパーレス化・デジタル化を進める方法を解説します。
FAXの電子化と基幹システムへの登録を連携
既にOCRを導入した、もしくはFAXによる受発注や申し込みが主体であるなら、FAXの電子化と基幹システムへの登録を連携する仕組みがおすすめです。FAX情報の入力作業が大幅に削減され、心の余裕を持って確認できるようになるため、うっかりミスやヒューマンエラーを低減する効果も期待できるでしょう。
FAX自体が電子化やペーパーレス化を阻む要因である場合の解決策でもあり、FAX用紙や廃棄に関するコストの削減にもつながります。また、基幹システムへの登録が電子的に行われることで、AIやRPAによる自動化も視野に入るでしょう。現実問題として、FAXによる受注業務は人員も時間も多く必要なため、金銭的なコストも安くはありません。また、人員の問題がなくても、時間を短縮する効果が高いため「FAX業務がボトルネックになっている」と悩んでいる場合にも役立ちます。
クラウド型のアウトソーシングによるペーパーレス化
OCRを導入する余裕がないが、ペーパーレス化を急ぎたいのであれば、クラウド型のアウトソーシングの利用を検討してみましょう。紙帳票をスキャンしたデータを共有、または送信するだけで、アウトソーシング先のプロフェッショナルが電子化してくれます。クラウド型のアウトソーシングは「雇用・採用・教育・育成」に関するコストを削減しながら、電子化されたデータを迅速に得られるため、非常にコストパフォーマンスが高いです。
OCRを導入する余裕がない=人を雇入れている余裕がない状況であれば、紙帳票の電子化をアウトソーシングして、電子化に要する時間を短縮、時間と人のリソースを確保すれば、状況の改善につながります。また、OCRを導入する余裕がない=実はITが苦手、ITに疎いという業界や業種にもおすすめであり、他の分野のDX推進をするためにペーパーレス化を急ぐ場合にも向いています。
バックオフィス系全般のアウトソーシングの利用
OCRの導入どころか、既に実務の現場が回らないという状況であれば、バックオフィス系全般のアウトソーシングも検討してみましょう。例えば、人手不足かつ教育不足の場合、人数が足りない上、ノウハウや経験が蓄積されていないことで、作業効率が低下してしまいます。そもそも人に教える余裕も、教わる余裕もないことで、うっかりミスやヒューマンエラーも頻発してしまうでしょう。
ネガティブな状況を改善するには、作業そのものを切り離して、労力や時間の負担を大幅に削減する必要があります。バックオフィス系の業務は単調かつ定型作業も多いため、アウトソーシングしやすい分野であり、無理に自社対応や内製で苦労するより、ひとまずアウトソーシングに頼るという選択肢を持っておきましょう。結果的に「アウトソーシング先が電子化したデータ」が得られることで、ペーパーレス化が着実に進むのも利点です。
公式サイトやアプリによるオンラインでの受発注
紙帳票やFAXという考え方ではなく、公式サイトやアプリによるオンラインでの受発注や申し込みができる機能を実装するのも電子化と言えます。昨今では年代問わず、スマートフォンが普及しつつあり、わかりやすく、誰にでも扱えるUIを備えていることから、ITが苦手、ITに疎い人も利用してくれる可能性が高いです。
もちろん、いきなり公式サイトやアプリでの注文のみ!としてしまうと、紙帳票やFAXでしか注文できない顧客を失ってしまいますので、徐々にオンラインに移行することをおすすめします。実際にTカードなどのポイントカードも、ユーザー側がお得になるようなキャンペーンでいつでも誰でも持ち歩いているスマートフォンアプリに移行を進めています。同じように顧客やユーザーにオンラインでの利便性やお得感を提示して、段階的にオンラインの比率が高まるようにしてみると良いでしょう。
タブレット端末などによるデジタルファーストな入力
業界や業種によっては、「対面での申し込みが一番利益につながる」こともあるでしょう。その場合も紙に記入して契約や購入、サービスの利用を進めるのではなく、タブレット端末などを用いて、最初からデジタルで入力するデジタルファーストという考え方・仕組みもおすすめです。
例えば、クレジットカードであれば、一昔前は手書きのサインが主流でしたが、今の時代は専用の手書き端末によって、スタイラスペンによるサインも当たり前になってきました。同時に、ハンコありきの時代から脱却していることもあり、企業や組織側の意識改革次第で、最初からデジタル化することも可能です。最初からデジタル化されていれば、結果的に完全なペーパーレス化の実現も夢ではありません。
電子化やペーパーレス化のメリットやポジティブな効果とは
次に電子化やペーパーレス化のメリットやポジティブな効果とは何か解説します。
従業員の時間や労力、ストレスや心身への負担の削減
紙帳票の電子化、ペーパーレス化は入力作業における時間と労力、ストレスや心身への負担を削減します。事業活動が活発になるにつれ、紙の帳票による事務処理も増えていきます。いつまでもアナログなやり方ですと、いずれ頭数を増やしても、時間を費やしても対処できなくなり、ボトルネックになってしまうのです。
電子化やペーパーレス化を進めれば、ボトルネックになるほど事務処理が蓄積されることがないため、効率的かつストレスなく作業ができるようになります。忙しい、焦る、疲れやストレスが原因による不注意でミスが増えるなども少なくなり、ギスギスした職場環境から、余裕があり、ポジティブな職場環境に変化できるでしょう。
生産性の向上による利益や売上の増加
前項でボトルネックとなるとお話しましたが、ボトルネックの解消は利益や売上に到達する時間を短縮する効果があります。競合他社やライバル企業と同じ時間、同じ人月で、より多く稼げるという意味です。
開発やマーケティングに投資すれば、質が向上した商品が認知されやすくなります。また、DXの推進やニューノーマルな働き方に投資すれば、最適化や効率化によって、生産性が向上します。生産性の向上によって、従業員ひとりひとりが利益につながるよう成長できるようになるでしょう。同時に増えた利益をさらに投資することで、企業や組織としても継続的かつ持続的な体質に変革できるのも利点です。
ペーパーレス化が次のDX推進を実現し、さらに働きやすい職場環境の構築できる
DXの推進には前提となる技術がいくつかあります。例えば、ペーパーレス化する技術や仕組みをご紹介しましたが、ペーパーレス化ができなければ、AIやRPAによる自動化はできません。言い換えれば、DX推進を段階的に実現・実践していくことで、より効率化や最適化しやすい職場環境が構築できるということです。
同時に従業員においても、デジタル化した作業や業務に馴染んでいくことで、新しい技術や新しい働き方に対応できるようになります。普段からITやデジタルに慣れておけば、急なテレワークでもすぐに対応できますし、自身の人生や生活の変化に合わせて働きつづけることもできるのです。
ペーパーレス化によって新しい商品やサービスの創出にもつながる
ペーパーレス化をスタート地点として、新しい商品やサービスの創出も期待できます。身近な事例で言えば、Suicaという電子マネーがあります。元々電車に乗るには、切符を購入したり、特急券など「紙を主体とした時代」だったと言えます。今ではSuicaひとつで新幹線に乗ることもできますし、モバイルSuicaを利用すれば、物理的なICカードを必要とせず、スマートフォンだけでどこにでも行くことが可能です。
企業や組織におけるペーパーレス化も同様であり、少しずつ紙から脱却すること、紙から脱却した部分の利便性をさらに高めていくことができれば、必然的に顧客やユーザーのニーズに応えられる商品やサービスの創出にもつながるでしょう。
離職率の低下と定着率の向上、採用コストの大幅な削減
働きやすく、利益や売上も安定している職場に成長すれば、必然的に離職率の低下と定着率が向上していきます。デジタル技術によって負担が減り、無理や無駄がないことで、さまざまで従業員のライフスタイルに合わせやすくなるからです。
結果として「人員が定着することで、採用に関するコストが下がる」ようになります。同時に、ノウハウや経験が豊富な従業員が揃うことで、より強固で利益率が高い企業や組織としての立ち位置を築くことにもつながるでしょう。
まとめ:単調かつ膨大な量の事務作業を人力で処理する時代ではないということ
今回は紙帳票の電子化が進まないことによる弊害、電子化が進まないことでデジタル時代で淘汰される理由、そして紙帳票の電子化をすすめるにはどうすべきかについてお話しました。
実際にOCR技術は精度が向上しただけでなく「OCRを扱う人」のために最適化や効率化がなされています。そのため、導入の難易度も低く、学習コストもほぼ必要ありません。もし、使いにくい、精度が低い古いOCRが実務で利用できないのであれば、まずはOCRを乗り換えることから始めましょう。
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