帳票の自動入力とは?AI-OCR・RPA活用で業務効率化を実現する方法

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    請求書や申込書など、日々業務で扱う帳票。これらを手作業で入力していると、膨大な時間と労力、そしてミスのリスクが発生します。こうした課題を解決する手段として注目されているのが、「帳票の自動入力」です。AI-OCRやRPAなどの技術を活用すれば、手書きや非定型の紙帳票でもスムーズにデータ化し、システムへ自動連携することが可能になります。本記事では、帳票入力の課題と自動化の仕組み、導入のポイントや主要ツールまで、業務改善の視点からわかりやすく解説します。

    帳票の自動入力とは?──定義と注目される背景

    日々の業務で欠かせない帳票処理。そのなかでも、帳票に記載された情報を目視で確認し、手作業でシステムに入力している現場は少なくありません。しかし近年、こうしたアナログ作業を効率化する手段として「帳票の自動入力」が注目を集めています。この仕組みは、AIやOCR、RPAなどの技術を活用して、帳票に書かれた情報を自動で読み取り、データとして活用できるようにする技術です。

    ここではまず、帳票とは何かをあらためて確認し、その上で、なぜ今この「自動入力」が必要とされているのかを紐解いていきます。

    帳票の種類と業務上の役割

    帳票とは、業務上の取引や報告、証跡を残すために使われる文書の総称です。たとえば、次のような種類があります。

  • 請求書・見積書・納品書などの取引書類
  • 発注書・注文書などの購買関連帳票
  • 勤怠届・作業報告書などの社内業務報告
  • 医療や福祉現場での診療記録やケアプラン
  • いずれも共通するのは、「情報を正確に伝え、記録する」ための重要な役割を担っている点です。帳票がなければ、企業活動は正確に進まず、証跡管理やトラブル時の確認も困難になります。

    しかしその一方で、これらの帳票は多くの場合、紙やPDFで運用されており、デジタル化が進んだ現在でも、意外と手作業による入力や管理が残っています。情報がデータベース化されていなければ、分析や業務連携といった次のアクションに活用することも難しくなります。

    なぜ今、自動入力が求められるのか

    帳票の自動入力が求められる背景には、大きく3つの変化があります。

    1つ目は、人手不足と働き方改革です。定型的なデータ入力作業に人を割く余裕がなくなり、限られた人材をコア業務に集中させたいというニーズが強まっています。とくにバックオフィス業務では、同じような帳票処理が日常的に発生しており、これを自動化できれば大きな負担軽減につながります。

    2つ目は、テレワークの拡大と業務の非対面化です。これにより、紙帳票の扱いが課題となり、「現物がなければ処理できない」という状況がボトルネックになっています。帳票が自動でデータ化されれば、場所にとらわれず業務を進められるようになります。

    3つ目は、AI-OCRやRPAなどの技術進化です。以前は難しかった手書き文字や非定型レイアウトの読み取りが、今では高精度で可能になってきました。これにより、業務現場での実用性が飛躍的に高まり、導入のハードルが下がっています。

    こうした時代の流れのなかで、帳票の自動入力は「単なる業務効率化」ではなく、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の一環として、多くの企業から注目されているのです。

    参照:経済産業省|産業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)

    手作業による帳票入力の課題

    帳票を手作業で入力することは、今も多くの現場で行われています。しかし、この手法には様々な問題が潜んでおり、気づかないうちに業務全体の非効率や品質低下を招いているケースも少なくありません。ここでは、代表的な3つの課題について整理してみましょう。

    人為的ミスのリスク

    人が目で見て数字や文字を転記する以上、どんなに注意していてもミスは発生します。数字の桁を間違えたり、読みづらい文字を誤認したりすることは、日常的なリスクです。こうしたミスは、小さなものであっても後の業務に大きな影響を与える可能性があります。

    たとえば請求金額を誤って入力した場合、請求漏れや過請求が起こり、取引先との信頼関係にヒビが入ることも。帳票入力は単純作業に見えて、実は非常に繊細で重要なプロセスなのです。

    作業工数と人件費の増大

    帳票の入力作業は、処理対象が多ければ多いほど時間がかかります。1日数十件、数百件という帳票を処理する企業では、それだけで人員の多くを割く必要があります。

    このような作業にかかる時間は、売上を直接生まないコストとして扱われることが多く、経営的な視点から見ても効率の悪い業務と言えます。また、繁忙期には入力作業が追いつかず、業務全体のスピードが落ちてしまう原因にもなります。

    業務属人化と引き継ぎの困難さ

    帳票入力は、意外にも「慣れ」や「経験」が求められる業務です。どの欄に何を入力すべきか、フォーマットによって読み方が微妙に異なる...といった判断が必要になるため、属人化しやすい傾向があります。

    特定の担当者にしか処理できない業務が増えると、引き継ぎのたびに混乱が起きたり、退職や休職の際に業務が止まってしまったりするリスクも高まります。業務の安定運用という観点からも、自動化の必要性は明らかです。

    帳票の自動入力を実現する技術とは

    手書きや印字された帳票を、自動で正確にデータ化する──。これまでは夢物語のように思われていたことが、今や現実の業務改善手段として広がりを見せています。その背景にあるのが、AI-OCRやRPAといった技術の進化です。この章では、それぞれの仕組みと連携の仕方、さらに対応可能な帳票のタイプについて解説します。

    AI-OCRの仕組みと進化

    OCRとは「Optical Character Recognition(光学的文字認識)」の略で、画像内の文字を読み取ってテキストデータに変換する技術です。もともと印字された活字の読み取りが中心でしたが、最近ではAIを活用したAI-OCRが登場し、手書き文字やレイアウトが崩れた帳票にも対応できるようになりました。

    AI-OCRは、機械学習やディープラーニングの仕組みを活用し、文字の形状や背景のパターンを学習することで、より正確な読み取りが可能になります。たとえば、「6」と「8」、「日」と「目」のような判別しづらい文字も、文脈や配置を加味して高精度に識別できます。

    また、読み取る位置を自動で特定したり、複数種類の帳票に柔軟に対応したりと、かつてのOCRでは難しかった処理も今では一般的な機能となっています。

    RPAとの連携による自動入力の流れ

    AI-OCRが文字情報を読み取る技術だとすれば、RPA(Robotic Process Automation)はその先の処理を担う役割を果たします。たとえば、読み取った内容を基幹システムに転記したり、フォルダに保存したり、必要な部署にメール送信するなど、ルールに従って自動で業務を進めてくれます。

    このAI-OCRとRPAを組み合わせることで、帳票の「読み取り→入力→処理」までの一連の流れをすべて自動化することが可能になります。人の手を介さず、スピーディーかつ正確に情報が処理されるため、現場の負担は大幅に軽減されます。

    参照:一般社団法人RPA協会

    定型と非定型の帳票への対応

    帳票には大きく分けて、定型帳票と非定型帳票があります。

    定型帳票とは、たとえば企業内で決まったフォーマットで作成される申請書や請求書など、レイアウトが毎回同じ帳票のことです。これらは読み取り位置をあらかじめ設定できるため、自動化しやすい特徴があります。

    一方、非定型帳票は、取引先ごとにフォーマットが異なる発注書やFAX注文書などが該当します。これまでは読み取りが困難でしたが、AI-OCRはテンプレートの自動生成や柔軟なレイアウト認識に対応し、非定型帳票のデータ化にも対応できるようになってきました。

    このように、帳票の自動入力は「定型の紙だけ」の時代から、「手書き・バラバラな形式」にまで対応範囲を広げ、ますます実用的な技術として進化を遂げています。

    自動入力による業務改善の具体的効果

    帳票を自動で入力できるようになると、単に作業がラクになるだけではありません。現場での負担軽減や業務品質の向上、さらには経営レベルでの意思決定のスピードアップにもつながるなど、得られる効果は多岐にわたります。この章では、自動入力によって期待できる代表的な3つの改善効果についてご紹介します。

    作業時間の短縮と人件費の削減

    まず大きなメリットは、作業時間の圧倒的な短縮です。従来、1枚ずつ人が目視で確認しながら入力していた帳票を、AI-OCRとRPAの連携によって一括で処理できるようになります。これにより、数時間〜数日かかっていた作業が、数分〜数十分で完了するケースも珍しくありません。

    当然ながら、作業にかかる人件費も削減できます。入力専任のスタッフを何人も抱える必要がなくなり、人的リソースを別の価値ある業務に振り分けることが可能になります。これは、バックオフィス業務の生産性を向上させる上でも非常に効果的です。

    入力ミスの防止とデータ精度の向上

    帳票のデータ入力におけるミスは、企業にとって小さくないリスクです。金額の誤入力や日付のズレ、項目の読み飛ばしなどは、取引先とのトラブルや内部処理の遅延にもつながりかねません。

    AI-OCRを活用すれば、人為的な確認作業を最小限に抑えつつ、一定のルールに基づいて機械的に処理されるため、ヒューマンエラーの大幅な削減が見込めます。とくに、複数名でダブルチェックをしていたような工程も、正確な読み取りと自動化ロジックの導入によって不要になる場面が増えます。

    また、読み取り結果を元にチェック処理(ベリファイ)を行う仕組みを加えれば、入力精度をさらに高めることも可能です。

    リアルタイム処理による意思決定の高速化

    帳票がリアルタイムでデータ化され、すぐに業務システムに反映されるようになると、その情報をもとに迅速な意思決定を行うことができるようになります。これは単なる入力作業の改善にとどまらず、組織全体の反応速度に大きく関わる変化です。

    たとえば、営業部門がすぐに受注状況を把握できたり、経理部門が即時に請求処理に移れたりと、業務の流れそのものがスムーズになる効果も期待できます。情報が遅れて届くことで生じる機会損失や対応遅れを防げるのは、あらゆる業界にとって大きな価値です。

    実際の導入事例に見る活用効果

    帳票の自動入力がもたらす効果は理論だけではありません。実際に多くの企業や団体で導入が進み、目に見える成果が生まれています。この章では、業種の異なる3つの事例を取り上げ、それぞれの現場でどのような課題が解決され、どんな成果が得られたのかを紹介します。

    製造業:発注書・納品書処理の自動化

    ある製造業の企業では、毎日100件以上の発注書や納品書をFAXや郵送で受け取り、それを担当者が1件ずつ目視で確認し、システムに手入力していました。入力ミスのリスクはもちろん、月末の繁忙期には処理が追いつかず、出荷遅延につながることもありました。

    そこでAI-OCRとRPAを組み合わせた自動入力システムを導入したところ、発注書の読み取りから在庫管理システムへの登録までを完全自動化。結果として、1日あたりの作業時間を約6時間削減し、入力ミスによるトラブルもほぼゼロに。担当者は確認作業に専念できるようになり、業務の質が大きく向上しました。

    物流業:FAX注文書の処理工数を80%削減

    物流業界では今なおFAXでの注文受付が主流の現場も少なくありません。ある中堅物流会社では、毎日届く数十枚のFAX注文書を印刷し、内容を確認して基幹システムへ手入力する作業が発生していました。

    この業務にAI-OCRを導入したことで、FAXを受信した時点で自動的にデジタル化し、注文情報をシステムへ連携する仕組みを構築。導入後は、作業にかかる時間が5分の1になり、1か月あたり約80時間の工数を削減。担当者の残業時間も減り、労働環境の改善にもつながりました。

    医療・官公庁:手書き文書の電子化・共有

    医療機関や官公庁では、いまだに手書きの記録や報告書が多く使われており、そのデータ化が課題となっています。ある自治体では、住民票申請や各種届出の処理で、手書き書類を職員が読み取り、住基システムなどに入力していました。

    AI-OCRを導入した結果、手書き文字の自動読み取りによる職員の入力負担軽減が実現。さらに、読み取ったデータはクラウド上で保管・共有され、部署間での情報連携もスムーズになりました。紙でのやりとりが減ったことで、申請から処理完了までの時間が短縮され、住民サービスの質向上にも寄与しています。

    導入を成功させるためのポイント

    帳票の自動入力は、ツールを導入するだけで魔法のようにすべてが解決するわけではありません。効果を最大限に引き出すためには、現場の業務を見つめ直し、自社に合った導入計画を立てることが重要です。ここでは、導入を成功させるために押さえておきたい3つの視点をご紹介します。

    既存業務フローの可視化と課題整理

    まず取り組むべきは、「今、どんな帳票を、誰が、どのように扱っているのか」を洗い出すことです。

    入力対象の帳票はどの種類か、1日に何件あるのか、どこにどのように入力されているのか――。こうした情報を整理することで、自動化によってどれだけの効果が見込めるかが明確になります。

    また、現場で起きているミスや手戻り、属人化といった「見えにくい課題」も、このタイミングでしっかり拾い上げることで、より精度の高い改善策につながります。

    対象帳票の分類と優先順位の設定

    すべての帳票を一度に自動化するのは現実的ではありません。そこで必要なのが、「どこから着手すべきか」の判断です。

    たとえば、件数が多くフォーマットが一定している帳票(定型帳票)から始めるのが一般的です。作業量が多いほど、効果も大きく出やすく、現場の納得感も得られやすくなります。

    一方で、非定型帳票や手書き帳票は技術的に難易度が高いため、段階的に導入することが望ましいです。どの帳票に、どんな自動化の手法が適しているのかを見極め、優先順位をつけることが成否を分けます。

    AI-OCR・RPAツール選定のチェックポイント

    現在、AI-OCRやRPAツールは多数存在しており、それぞれ特徴が異なります。価格や対応帳票の種類、読み取り精度、サポート体制、他システムとの連携性など、検討すべき項目は多岐にわたります。

    特に注意したいのは、自社の業務に本当にフィットするかどうか。デモやトライアルを通じて、「実際の帳票で正しく読み取れるか」「運用に支障がないか」を事前に確認しておくことが重要です。

    また、ツールそのものだけでなく、導入・運用をサポートしてくれるパートナーの存在も大切です。初期設定や業務設計、運用サポートまで一貫して支援してくれるベンダーであれば、現場での不安も軽減され、スムーズな定着につながります。

    帳票の自動入力を実現する「AnyForm OCR」

    ここまで、帳票の自動入力が業務効率化やDX推進に貢献することを整理してきました。実際、請求書や申込書、報告書など、日常業務で多種多様な帳票の処理が大きな負担となっている企業は少なくありません。手作業による入力作業は、従業員が本質的な価値を生む業務に専念する時間を減らし、入力ミスによる業務停滞や顧客信頼の損失といったリスクも孕んでいます。

    こうした課題に対するソリューションとして、ハンモックが提供するAI-OCR「AnyForm OCR」が注目されています。

    多様な帳票に対応しつつ高精度で情報を抽出

    AnyForm OCRは、固定フォーマットの帳票はもちろん、取引先ごとに異なるレイアウトにも対応する汎用的なOCR処理システムです。ノンプログラミングで帳票設計できるデザイナーツールを備え、読み取り対象のエリアをマウスで簡単に指定することが可能です 。

    さらに、活字やバーコードだけでなく、「手書き日本語エンジン」も標準搭載しており、手書きやFAXなども高精度で読み取れる構成になっています。

    「WOCR」やマスタ参照など実務を支える機能群

    WOCR(W‑OCR)は、AI型OCRと従来OCRを併用し、両者が一致する結果だけを自動処理、不一致の箇所は確認画面に表示してチェックできる仕組みです。また、マスタ参照機能や明細演算機能が備わっており、現場で必要とされる実務補完機能にも優れています 。

    柔軟なレイアウト対応と他システム連携

    AnyForm OCRは、可変明細(行数が都度変わる帳票)にも対応しており、帳票ごとに項目を配置して終端を自動判定できる独自の認識機能をサポートしています。また、Microsoft SQL Server等の基幹システムとのマスタ連携や、CSV/TSV/XMLなどの多様なデータ出力形式にも対応しています

    導入成功例:業務工数やミス削減に寄与

    例えば、大量のFAX受注処理を行っていた物流業の事例では、AnyForm OCR導入により入力作業が自動読み込みに切り替わり、確認作業時間が10分/件から、1分/件に短縮されたという成果も報告されています

    このように、現場での目に見える効果が具体的に得られている点も、AnyForm OCRの強みです。

    まとめ|帳票の自動入力で業務効率化を

    帳票の自動入力は、ただの業務効率化にとどまらず、企業全体の生産性や働き方にまで影響を与える重要な取り組みです。AI-OCRやRPAといった技術の進化により、これまで手間のかかっていた帳票処理が驚くほどスムーズに、かつ正確に行えるようになってきました。

    特に、手書きや非定型フォーマットといった「人の手が必要」とされていた領域でも、いまや自動入力が実用段階に入っており、現場の作業時間や負担を大きく軽減しています。

    ただし、自動化を成功させるためには、業務フローの見直しや帳票の分類、適切なツールの選定が不可欠です。段階的な導入と現場への丁寧なアプローチが、真の意味での業務改革につながります。

    今後、業務のスピードや精度が企業競争力を左右する時代において、帳票の自動入力は避けて通れない選択肢といえるでしょう。まずは現場の課題を見つめ直し、小さな一歩から始めてみてはいかがでしょうか。

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