請求書の処理業務において、手入力や紙の管理に時間と手間をかけていませんか？OCR（光学文字認識）技術を活用すれば、請求書を正確にデータ化し、経理や会計業務の効率化が可能です。さらに近年では、AI技術を組み合わせた「AI-OCR」も登場し、認識精度の向上や非定型帳票への対応も進んでいます。

本記事では、「請求書 OCR」の基本から、導入によるメリット、具体的な活用方法、選定のポイント、注意点、法対応、さらには導入後に効果を最大化するための運用ポイントまで、実務に役立つ情報を網羅的に解説します。

請求書OCRとは？基礎からわかる仕組みと活用領域

紙やPDFで届く請求書を手作業で処理するのは、時間と労力がかかるものです。そこで活用されているのが、文字情報を自動で読み取ってデータ化するOCR技術。さらに精度を高めたAI-OCRの登場により、請求書処理の効率化が大きく前進しています。ここでは、その仕組みや活用の基本を簡潔に解説します。

AI-OCRの違いとは

OCRは印刷された文字を読み取り、テキストデータに変換する技術です。AI-OCRはこれにAIを組み合わせ、非定型な帳票や手書き文字にも対応できる柔軟性と学習機能を備えています。結果として、読み取り精度が高く、実務でもより使いやすいのがAI-OCRの特徴です。

請求書にOCRが使われる理由

請求書処理は手入力が多く、時間もミスも発生しがちです。OCRを使えば自動で文字情報を抽出できるため、入力の手間が省け、ヒューマンエラーの防止にもつながります。スピードと精度の両面で業務効率が大きく向上するのが導入の主な理由です。

どのような形式の請求書に対応できるか

OCRは紙の請求書をスキャンした画像や、PDF形式のデータに対応します。AI-OCRなら、レイアウトが異なる請求書にも柔軟に対応可能です。ただし、手書き文字や特殊な書式は誤認識のリスクがあるため、事前確認や補正機能の活用が重要です。

請求書をOCRで読み取る具体的なプロセス

OCRは単に文字を読み取るだけでなく、正確にデータ化し、業務に活用できる形に整えるまでが重要です。この章では、請求書のデータ化における基本的な流れを5つのステップに分けてご紹介します。

ステップ1：請求書のスキャン（PDF・画像）

まずは紙の請求書をスキャナーや複合機で読み取り、PDFや画像ファイルとして取り込みます。すでにPDFで届いた請求書であれば、このステップを省略してそのまま利用できます。

ステップ2：OCRエンジンによる文字認識

次にOCRエンジンが、請求書上の文字を認識してテキストデータに変換します。AI-OCRの場合は、表形式や非定型レイアウトにも柔軟に対応できます。

ステップ3：認識結果の確認・修正

OCRの結果には、誤認識や読み漏れが含まれる場合があります。そのため、データを目視で確認し、必要に応じて修正する作業が必要です。多くのツールには補正支援機能が備わっています。

ステップ4：会計ソフト・ERPとの連携

確認済みのデータは、CSVやAPI連携などを通じて会計システムやERPに取り込むことが可能です。これにより、データの再入力が不要になり、業務の自動化が一段と進みます。

ステップ5：データの保存・バックアップ

処理が完了した請求書データは、電子帳簿保存法などに対応した形で保存します。クラウドや専用の文書管理システムを活用すれば、検索性や保管性も向上します。

OCRを使った請求書処理のメリット

請求書業務にOCRを導入することで、手間やミスが減るだけでなく、企業全体の業務効率やコンプライアンス面にも良い影響をもたらします。ここでは、代表的な5つのメリットをわかりやすく紹介します。

業務の省力化とスピードアップ

OCRを使えば、請求書情報の入力作業を自動化できるため、処理スピードが大幅に向上します。人手による確認作業も最小限になり、他の業務に時間を使えるようになります。

ヒューマンエラーの防止

手入力にありがちな「入力ミス」や「転記漏れ」といった人為的なミスを減らせるのもOCRの利点です。特に金額や日付などの重要項目でのミス防止に効果があります。

コスト削減（人件費・印刷・保管）

作業時間が短縮されれば人件費も削減できます。また、紙の請求書を保管するためのスペースや印刷コストも抑えられ、全体的なコスト圧縮につながります。

ペーパーレス化とサステナビリティ貢献

OCRの導入は、紙の使用量を減らす取り組みにも直結します。環境負荷を抑える企業活動として、CSRやSDGsの観点でも評価されやすくなります。

電子帳簿保存法などへの法対応も容易に

請求書をデジタルで保存・管理することで、電子帳簿保存法やインボイス制度といった法制度への対応もスムーズに行えます。法改正への柔軟な対応を可能にする点も大きなメリットです。

参照：国税庁｜電子帳簿保存制度特設サイト

OCRツールを選ぶ際に押さえるべき5つのポイント

OCRツールはさまざまな種類があり、目的に合ったものを選ぶことが成功のカギとなります。ここでは導入前にチェックすべきポイントを5つに絞って解説します。

業務フローにフィットする機能性

自社の請求書処理フローに合っているかを確認しましょう。帳票形式や運用方法によって、必要な機能は異なります。たとえば一括処理が必要なら、バッチ対応の有無なども要チェックです。

読み取り精度（AI対応の有無）

文字の正確な認識は業務効率に直結します。AI搭載型なら、非定型フォーマットやかすれた文字にも柔軟に対応できます。精度の高さは、ツール選定の重要な基準です。

料金体系とROI（費用対効果）

初期費用や月額料金だけでなく、実際に得られる効果も考慮しましょう。入力作業にかかっていた人件費や時間と比較して、導入の価値があるかを試算することが大切です。

既存の会計システムとの連携性

OCRで読み取ったデータを会計ソフトやERPにスムーズに取り込めるかも重要です。CSV出力やAPI連携の有無を確認し、手作業による転記を減らせるかチェックしましょう。

サポート体制や操作性の確認

導入後にトラブルがあってもすぐに相談できるサポート体制が整っているか、現場の担当者が使いやすい操作画面かも見逃せません。無料トライアルで試してみるのも有効です。

請求書OCR導入の落とし穴と注意点

OCRは便利な技術ですが、導入すればすべてが自動化されるわけではありません。運用面や制度対応などで見落とされがちな注意点を、事前に押さえておくことが大切です。

手書き・非定型レイアウトは誤認識の可能性あり

特に注意が必要なのは、手書きの請求書や独自レイアウトの帳票です。こうした書類では文字の認識ミスが起きやすく、補正や再確認が必要になることがあります。

完全自動ではなく人のチェックも重要

OCRでデータ化した後も、最終的な確認は人の目で行うのが基本です。重要な数値や請求先名などは誤認識による影響が大きいため、ダブルチェックの仕組みが欠かせません。

法対応チェック（電子帳簿保存法・インボイス制度）

デジタル保存する際は、電子帳簿保存法やインボイス制度に対応しているかを必ず確認しましょう。たとえば「改ざん防止措置」や「検索機能」など、満たすべき要件があります。

参照：国税庁｜インボイス制度特設サイト

セキュリティとデータ管理体制の確認

請求書には取引先や金額など、機密性の高い情報が含まれます。OCRツールを選ぶ際は、データの暗号化、アクセス権限管理、ログ保存などのセキュリティ体制も重要な評価ポイントです。

OCRの導入後に効果を最大化するポイント

OCRを導入しただけでは、期待する効果を十分に得られない場合もあります。ここでは、運用フェーズで効果をしっかり発揮するための工夫や改善のポイントを紹介します。

運用フローの再設計とマニュアル整備

従来の処理手順をそのまま残していては、OCRの利点が活かしきれません。ツール導入後は、業務フロー全体を見直し、シンプルかつ合理的な運用に再設計することが重要です。あわせて、操作手順をまとめた社内マニュアルも用意しておきましょう。

RPAやワークフローシステムとの連携でさらに効率化

OCRと相性の良いツールにRPA（業務自動化ロボット）やワークフローシステムがあります。OCRで読み取ったデータを自動で次の工程に渡すことで、さらなる効率化と人為ミスの防止につながります。

定期的な精度評価とベンダーとの情報連携

運用開始後も、読み取り精度や作業時間の変化を定期的に評価しましょう。もし不具合や改善点があれば、OCRベンダーと相談しながらチューニングすることで、ツールの価値を長期的に維持できます。

請求書処理の自動化をさらに加速させる「AnyForm OCR」

ここまで、請求書OCRの基本的な仕組みから導入のメリット、選定のポイントや注意点までを解説してきました。実際に請求書業務の効率化を進める上で、どのツールを選ぶかは非常に重要です。

株式会社ハンモックが提供する「AnyForm OCR」は、まさにこの記事で解説したAI-OCR技術を駆使し、多様なフォーマットの請求書を高い精度でデータ化できるソリューションです。手書き文字や非定型レイアウトの請求書にも柔軟に対応し、読み取り結果の確認・修正を効率化する機能も充実。既存の会計システムやERPとの連携もスムーズに行えるため、請求書処理フロー全体の自動化を強力にサポートします。

「AnyForm OCR」の詳細については、以下のURLからご確認ください。貴社の経理業務の劇的な効率化に、ぜひお役立てください。

まとめ｜請求書OCRの導入で業務効率・コスト削減を実現

請求書業務は多くの企業にとって手間のかかる作業の一つですが、OCRの活用によって大幅な効率化が可能になります。特にAI-OCRを使えば、フォーマットの違いや非定型な帳票にも柔軟に対応できるため、現場での活用範囲が広がります。

導入を成功させるためには、自社の業務フローに合ったツールを選び、制度対応やセキュリティといった基本的な要件を満たすことが欠かせません。また、導入後の運用改善や他システムとの連携も視野に入れることで、より大きな成果を得られるでしょう。

請求書のOCR化は、単なる効率化ではなく、経理・総務業務の在り方を見直すきっかけにもなります。まずは小さく始めて、着実に業務改善を積み重ねていくことが、DXの第一歩となるはずです。