ワームとは何か?仕組みと被害事例、企業が取るべき対策を解説
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企業のネットワークに侵入し、瞬く間に感染を広げる「ワーム」は、現代のサイバー攻撃において深刻な脅威の一つです。ワームはユーザーの操作なしに自律的に増殖・拡散し、システムダウンや機密情報の漏洩を引き起こす可能性があります。特に、過去に甚大な被害をもたらした「WannaCry」や「Emotet」などの事例からも、ワームの危険性は明らかです。
この記事では、ワームの基本概念から感染経路、被害事例、そして企業が取るべき具体的な対策までを詳しく解説します。ワームによる被害を未然に防ぎ、万が一の感染にも迅速に対応できる体制を構築するための知識を身につけましょう。ワームとは?基本概念と特徴
ワームの定義
ワーム(Worm)は、自己増殖機能を持つマルウェアの一種です。コンピュータやネットワークに侵入すると、自らのコピーを作成し、他のデバイスやシステムへ感染を拡大します。ワームは、一般的にユーザーの操作を必要とせず、自律的に広がる点が特徴です。そのため、企業の情報システムに侵入すると、瞬く間に社内ネットワーク全体に感染が広がる可能性があります。ウイルスやトロイの木馬との違い
ワームは、他のマルウェアと混同されやすいですが、ウイルスやトロイの木馬とは明確な違いがあります。ウイルス(Virus)
トロイの木馬(Trojan Horse)
ワーム
ワームが企業システムに与える影響
ワームに感染すると、以下のような重大な被害が発生します。ワームの仕組みと感染経路
ワームの最大の特徴は、自己増殖によって自律的に感染を拡大することです。感染した端末は、新たなターゲットを探し、次々とワームを複製・送信します。その方法として、以下のようなメカニズムが挙げられます。代表的な感染経路
ワームは、主に以下の経路を通じて企業のシステムに侵入します。①ネットワーク共有の脆弱性
②USBメモリや外部ストレージ
③メールの添付ファイルやリンク
④ソフトウェアやOSの脆弱性
近年の高度なワームとその特徴
近年のワームは、単なる自己増殖型のマルウェアではなく、より高度な手法を取り入れています。ゼロデイ攻撃型ワーム
公開前の脆弱性(ゼロデイ脆弱性)を悪用し、企業ネットワーク内に潜伏する。ステルス機能を持つワーム
検知を回避するため、暗号化やパッカー(難読化ツール)を使用。RaaS(Ransomware as a Service)との連携
ワームが感染すると、自動的にランサムウェアをダウンロードし、企業のデータを人質に取る。企業にとって、ワームは単なる「広がるウイルス」ではなく、重大なセキュリティリスクとなっています。そのため、ワームの感染経路を理解し、適切なセキュリティ対策を実施することが重要です。
企業で発生したワーム被害事例
ワームは過去から現在に至るまで、企業の情報システムに甚大な被害を与えてきました。特にネットワークを介して自律的に拡散する性質を持つため、一度感染が始まると制御が難しく、業務の停止や機密情報の流出を引き起こします。ここでは、企業に深刻な影響を及ぼした代表的なワーム感染事例と、近年のサイバー攻撃におけるワームの役割について解説します。WannaCry(2017年)
概要WannaCryは、ワームとランサムウェアが融合した攻撃で、Windowsの「SMBv1」の脆弱性を利用しました。この脆弱性は、アメリカ国家安全保障局(NSA)から流出した「EternalBlue」と呼ばれるエクスプロイトに由来しています。
被害
Emotet(2020年以降)
概要Emotetはもともと銀行情報を狙うトロイの木馬として登場しましたが、自己増殖機能を備えた高度なワーム型マルウェアに進化しました。感染すると社内ネットワークをスキャンし、認証情報を盗み出します。
特徴
BlackCat(ALPHV)とワームの連携(2023年)
概要BlackCat(ALPHV)は、RaaS(Ransomware as a Service)型の攻撃手法を採用したランサムウェアで、ワームのような拡散機能を持ちます。主に企業ネットワークに潜伏し、システム全体を暗号化します。
特徴
ワームによる被害を防ぐための対策
ワームは一度企業のシステムに侵入すると、瞬く間にネットワーク全体に感染を広げ、業務停止やデータ漏洩など深刻な被害を引き起こします。これを防ぐためには、技術的対策と運用的対策を組み合わせた多層防御が不可欠です。以下では、具体的な対策方法について詳しく解説します。技術的対策
1. アンチマルウェアの導入と定期的な更新
ワーム対策の基本は、最新のアンチマルウェアソフトウェアを導入し、常に最新の定義ファイルに更新することです。推奨する対策
2. ネットワークセグメンテーションの強化
ワームはネットワーク経由で拡散するため、被害を抑止するにはネットワークの分離(セグメンテーション)が重要です。推奨する対策
3. ソフトウェアおよびOSのパッチ管理
多くのワームは既知の脆弱性を狙うため、OSやソフトウェアの脆弱性管理が不可欠です。推奨する対策
運用的対策
1. 社員向けセキュリティ教育と注意喚起
ワーム感染の多くはヒューマンエラーが原因です。定期的な教育を行い、リスク意識を高めることが重要です。推奨する対策
2. メール・USBメディアの利用制限
ワームはメールの添付ファイルやUSBメディア経由で侵入するケースが多いため、これらの利用を厳格に管理しましょう。推奨する対策
3. インシデント対応体制の構築
ワーム感染が発生した場合に備え、早期対応できる体制を整えておくことが重要です。推奨する対策
ワーム感染時の対応フロー
ワーム感染が確認された場合、迅速かつ適切な対応が求められます。以下の対応フローをもとに、被害拡大を防ぎましょう。1. 初動対応(ネットワーク隔離・感染源の特定)
感染の早期封じ込めが最優先事項です。対応手順
2. 影響範囲の確認と被害拡大防止
感染の広がりとデータ流出の有無を調査します。対応手順
3. 復旧手順と再発防止策
正常な業務復帰と、再感染を防ぐ措置を講じます。対応手順
まとめ
現代の企業において、IT資産管理とセキュリティ対策は重要な課題となっています。企業が所有するPCやソフトウェア、ネットワーク機器などのIT資産を適切に管理することで、コスト削減や業務効率化を図るだけでなく、情報漏洩や不正アクセスといったセキュリティリスクを防止することが求められています。こうした背景の中で、ハンモック社の統合型IT運用管理ソフトウェア「AssetView」が注目されています。AssetViewは、IT資産の一元管理に加え、セキュリティ対策や内部不正防止機能を提供し、企業の情報システムを包括的に保護します。具体的には、PCやソフトウェアの自動収集・管理、マルウェア対策、デバイス制御、操作ログ取得など、多岐にわたる機能を備えており、企業のセキュリティ強化と業務効率化を同時に実現します。
企業における情報管理がますます複雑化する中で、AssetViewのような包括的なソリューションは、IT運用管理の効率向上とリスク低減に不可欠な存在となっています。