情報リテラシーとは何か?本来の意味や向上する方法について
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社内や組織内において「情報リテラシーが低い人」がセキュリティホールとなり、思わぬ被害や損害を被る可能性があります。
企業や組織として安心・安全に商品やサービスを提供するためには、情報リテラシーの向上を通じてセキュリティ対策を強化することが不可欠です。
本記事では、情報リテラシーとは何か、リテラシー向上のための具体的な方法とは、そしてそれらをセキュリティ対策に応用するポイントについて解説します。
情報リテラシーとは
はじめに情報リテラシーとは何かを簡単に説明します。情報リテラシーの本来の意味
リテラシーとは日本語で言うところの識字率に近い意味合いを持ち、本来的には文字を読み、文字を書ける能力を指します。その延長として、情報リテラシーは「情報を読み取り、発信する能力」として捉えることが自然です。現代社会における情報リテラシーは、情報化社会の中で「正しく情報を解釈し、正確に情報を発信するスキル」と定義できます。しかし、情報リテラシーはしばしばメディアリテラシーやICTリテラシー、ITリテラシー、コンピュータリテラシーなどと混同されることがあります。これらは関連性があるものの、それぞれ異なる視点を持つため、考え方や解釈が異なることを理解しておくことが重要です。
この記事では、情報リテラシーは「情報を適切に判断し、情報に基づいて意思決定を行う能力」との定義を元に、情報リテラシーの重要性とその活用方法について解説していきます。
情報リテラシーとITリテラシー、メディアリテラシーとの違い
情報リテラシー、ITリテラシー、メディアリテラシーは、いずれも情報を扱うスキルに関連していますが、それぞれの焦点や目的が異なります。以下に、それぞれの違いを説明します。1. 情報リテラシー
情報リテラシーとは上述した通り、情報を適切に収集、評価、利用、発信する能力のことです。このリテラシーは、あらゆる情報源からの情報を正しく読み取り、その信頼性を判断し、情報に基づいて意思決定を行う能力を指します。情報化社会においては、フェイクニュースや誤情報が広がる中、正しい情報を選び取るスキルが非常に重要です。・焦点:情報の収集、評価、活用
・例:信頼できるニュースソースの判断、情報の正確さを確認する方法
2. ITリテラシー
ITリテラシーとは、コンピューターやインターネットなどの情報技術(Information Technology)を理解し、適切に利用するスキルを指します。これは、デジタルデバイスやソフトウェア、アプリケーションを操作し、効率的に仕事を進めるための技術的な知識とスキルです。・焦点:技術の理解と操作
・例:Microsoft Officeの操作、ネットワークセキュリティの基礎知識、データのバックアップ方法
3. メディアリテラシー
メディアリテラシーは、テレビ、新聞、SNSなど、さまざまなメディアを通じて提供される情報を批判的に読み解き、理解し、また発信する能力を指します。メディアに対するリテラシーは、メディアがどのように情報を作成し、伝えているかを理解することも含まれます。また、メディアによる情報の偏りや意図を見極めるスキルも求められます。・焦点:メディアコンテンツの批判的分析と発信
・例:広告の意図を読み取る、ニュース報道のバイアスを認識する
なぜ情報リテラシーが必要なのか
情報リテラシーが求められる理由は、情報化社会において何が正しく、何が誤りであるかを自分で正確に判断するためです。膨大な情報が飛び交う現代では、表現や視点の違い、発信者の立場や経験、性格などによって情報の信ぴょう性が左右されます。そのため、正確な情報を見極め、意思決定に役立てることは困難を極めます。
すべての情報に明確な答えがあるわけではありません。たとえば、「1+1=2」のようなシンプルな答えが常に存在するわけではないのです。しかし、誤った情報を信じ、それをもとに行動することは大きなリスクを伴います。たとえば、「デフォルトのセキュリティ機能でサイバー攻撃を防げる」と誤解し、適切なセキュリティ対策を怠ると、重大な被害を招く恐れがあります。
極端な例ではありますが、もしあなたが手に入れた情報が、自分や家族の健康や安全に影響を与えるものであったらどうでしょうか。誤った情報がどれほど危険なものか、そして情報リテラシーの重要性がより鮮明になるはずです。
情報リテラシーは、正しい情報を選び、判断する力を養い、ビジネスや個人生活におけるリスクを最小限に抑えるために欠かせないスキルです。
情報リテラシーがセキュリティに与える影響
情報リテラシーが欠如している場合、サイバー攻撃や詐欺のリスクが大幅に高まります。悪意ある第三者による巧妙な詐欺メールやフィッシング攻撃に引っかかると、金銭的損失やデータ流出などの被害を受ける可能性が増します。従業員の中にこのようなリテラシーが不足している人がいる場合、企業や組織のIT資産や機密情報の保護が難しくなります。例えば、取引先からのメールだと思って添付ファイルを開いたらマルウェアが含まれていたり、振込先の変更通知を信じてビジネスメール詐欺に遭遇したりするケースが考えられます。通常なら避けられるはずの手口に、情報リテラシーが低いと簡単に騙されてしまうのです。
情報リテラシーは、「情報を適切に判断し、意思決定を行う能力」と定義され、これは疑問を持ち、真偽を確認するプロセスとも言えます。しかし、企業活動において常にすべての情報を疑い、確認作業に時間を費やすことは非効率であり、顧客や取引先に対して失礼に当たる場合もあります。仕事を進めるうえで、毎回疑ってばかりでは業務がスムーズに進みません。
そのため、セキュリティを強化しつつ、効率的な業務遂行を可能にするためには、情報リテラシーの向上が不可欠です。従業員全体が高い情報リテラシーを持つことで、組織全体のセキュリティリスクを低減し、より安心・安全な業務環境を構築することが可能となります。
情報リテラシーが求められている理由と背景
現代の情報化社会では、膨大な情報が日々生成され、インターネットやメディアを通じて瞬時に拡散されます。このような状況下で、正確な情報を選び出し、活用するためには情報リテラシーが不可欠です。フェイクニュースや誤情報が頻繁に流布される中、情報を正しく理解し、信頼性を判断する力が求められます。さらに、サイバー攻撃やフィッシング詐欺などのリスクが増大しており、個人や企業においてセキュリティを確保するためにも、情報リテラシーは重要な役割を果たします。特にビジネス環境では、誤った情報に基づいた意思決定が重大な損害を引き起こす可能性があるため、従業員全員が正しい情報を見極め、適切な行動をとることが求められます。このような背景から、情報リテラシーは個人および組織の安全と成功に欠かせないスキルとなっています。情報リテラシーが低いことによって企業や組織が直面するリスク
情報リテラシーが低いことによって、企業や組織が直面するリスクは以下のようなものがあります。1. サイバー攻撃のリスク
従業員が情報リテラシーに欠けている場合、フィッシングメールや偽サイトに騙され、マルウェアやランサムウェアの感染リスクが高まります。これにより、ネットワーク全体が侵害され、機密データの漏洩や業務の停止など、重大なセキュリティインシデントにつながる可能性があります。2. 経営判断のミス
誤った情報に基づいた意思決定は、経営上の大きなリスクを引き起こします。市場動向や顧客ニーズに対する誤解が、戦略の失敗やプロジェクトの不成功を招き、最終的には企業の競争力を損なう可能性があります。3. 信頼性の低下
誤った情報を発信することで、顧客や取引先の信頼を失うリスクがあります。情報リテラシーが低い企業は、間違った情報を広めてしまうことがあり、その結果、ブランドイメージや信用に悪影響を与え、ビジネスチャンスの損失につながります。4. コンプライアンス違反
情報リテラシーが低いと、法令や規制に対する理解が不十分になり、コンプライアンス違反が発生するリスクがあります。個人情報保護やデータ管理に関する規則を守れなければ、罰金や法的措置を受ける可能性があります。5. 経済的損失
サイバー攻撃や誤った意思決定の結果として、経済的な損失が発生するリスクもあります。システム復旧費用や顧客対応コスト、法的な賠償金などがかかり、企業の収益に深刻な影響を与えることがあります。
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情報リテラシーを向上させ、セキュリティ対策に活用する方法
企業や組織が情報リテラシーを高めることは、サイバー攻撃からの防御やビジネスリスクの低減に直結します。ここでは、情報リテラシーを向上させ、セキュリティ対策に応用するための具体的な方法を紹介します。従業員の情報リテラシーとITスキルの現状把握
まず、従業員の情報リテラシーと基礎的なITスキルを把握することが重要です。簡単なテストや実例を使って、フィッシング詐欺やビジネスメール詐欺に騙されないかを確認しましょう。これにより、従業員が「自分もサイバー攻撃の対象になる可能性がある」と理解し、セキュリティ意識の向上を促すことができます。また、基礎的なITスキルも同時に評価し、弱点があれば適切な教育を行うことが必要です。教育や研修のアプローチ
情報リテラシーやセキュリティ教育を行う際に、「知っていて当然」と考えず、常に基礎から丁寧に指導することが大切です。情報リテラシーが未熟な従業員に対して、具体的な判断基準を示し、どのように対応すべきかを明確に伝えることが求められます。さらに、疑問や困ったことがあればすぐに相談できる環境を整え、オープンなコミュニケーションを促進しましょう。役職や雇用形態に関わらない一律の責任
情報リテラシーやセキュリティ意識は、すべての従業員が一律に責任を持つべき課題です。アルバイトやパートタイム従業員であっても、サイバー攻撃のリスクにさらされる可能性があることを認識し、全員が同じレベルの情報リテラシーを持つようにしましょう。また、管理職も含め、全員が継続的にセキュリティ教育を受ける必要があります。情報リテラシーとセキュリティ意識の定期的なアップデート
情報リテラシーやセキュリティ対策は、一度学んだら終わりではなく、定期的にアップデートする必要があります。新たなサイバー攻撃の手口に対応するために、最新の情報やトレーニングを継続的に提供することが求められます。フィッシング詐欺やビジネスメール詐欺のような、人間心理を悪用する手法が増加しているため、従業員が冷静に判断できるようなスキルを身につけることが重要です。システムと業務体制の整備
情報リテラシー向上に加えて、組織全体のセキュリティを強化するためには、システムや業務体制の整備も必要です。例えば、マルウェア対策やアクセス管理、データ暗号化などの技術的な対策を徹底することが求められます。また、セキュリティ上のインシデントが発生した場合に迅速に対応できる報告・連絡体制も構築しておくことが重要です。雇用者と管理者が持つべき情報リテラシーとセキュリティ意識
企業や組織の情報資産を守るために、雇用者や管理者は情報リテラシーを高め、セキュリティ意識を持つことが不可欠です。ここでは、雇用する側・管理する側がどのような考え方やリテラシーを持つべきかについて解説します。セキュリティ責任は雇用者と管理者が持つべき
従業員に情報リテラシーの教育や研修を行うことは重要ですが、最終的なセキュリティの責任は雇用者や管理者にあります。従業員の誤操作やヒューマンエラーがセキュリティインシデントにつながった場合でも、その責任を個人に押し付けるのではなく、企業や組織全体として対応することが求められます。特に、情報資産は組織の重要な財産であり、その保護には全体的なセキュリティ体制の構築が必要です。従業員が安心して働ける環境の整備
従業員が安心・安全に業務に従事できるよう、システムやデバイス、ネットワークにおいて適切なセキュリティを確保することが雇用者の責任です。万全なセキュリティ体制がなければ、サイバー攻撃や内部不正のリスクが高まります。従業員に高い情報リテラシーを求めるだけでなく、組織としてセキュリティ性の高い環境を提供し、継続的にその環境を維持することが不可欠です。監視と透明性の確保
従業員の作業を監視することは、透明性を高め、リスクを軽減するために有効です。監視を適切に運用することで、うっかりミスやヒューマンエラーを早期に発見し、内部不正の抑止力として機能させることができます。特に、権限や立場を利用した内部不正は、透明性の欠如が原因となることが多いため、システム的な監視と透明な運用が不可欠です。権限と立場の適切な反映
情報資産へのアクセスは、全ての従業員に対して開放されるべきではありません。必要に応じて、データへのアクセス権を厳格に管理し、業務に応じた適切な権限付与が求められます。例えば、特定の管理職や経営陣であっても、全てのデータにアクセスできる環境はリスクを伴います。必要に応じた手続きを経てアクセスが許可される仕組みを整えることで、内部不正の発生を抑止できます。セキュリティインシデントへの迅速な対応体制
セキュリティインシデントが発生した際には、迅速かつ協力的な対応が求められます。管理職や経営者は、セキュリティの専門家ではない場合もありますが、専門担当者の意見を尊重し、必要な判断を即時に行える体制を整えておくことが重要です。特にサイバー攻撃や内部不正が発生した際、管理職と従業員が一体となって問題に対処できる柔軟な組織作りが求められます。継続的な教育とサポートの提供
最後に、情報リテラシーとセキュリティ意識の向上は、一度の研修や教育で終わるものではありません。組織全体で定期的に教育プログラムを実施し、最新のセキュリティ脅威に対応する知識を提供し続けることが大切です。従業員がいつでもサポートを受けられる体制を整えることで、組織全体のセキュリティレベルを維持・向上させることが可能となります。情報リテラシーの向上とシステム面でのセキュリティ強化のポイント
現代のビジネス環境では、情報リテラシーの向上とシステム面でのセキュリティ強化は企業や組織にとって不可欠な要素です。これらをバランスよく取り組むことで、情報漏えいやサイバー攻撃から組織を守ることが可能になります。以下では、具体的な方法と重要なポイントについて解説します。監視体制と内部不正対策の徹底
情報リテラシーの向上とシステムセキュリティの強化には、まず監視体制の確立が欠かせません。PC操作ログ、メール送信履歴、Web閲覧履歴、デバイス内のファイル、インストール制御など、従業員の操作を適切に監視することで、不正行為やセキュリティリスクを早期に検知することができます。監視の仕組みは透明性を持たせつつ、従業員に周知することが重要です。監視が行われていることを従業員に認識させることで、内部不正の抑止効果を高めることができます。また、システムへのアクセスやデータの編集・削除に関しても、ログを監視することで「いつ、誰が、どのように」操作を行ったかを把握し、サイバー攻撃への対処にもつながります。
ヒューマンエラー防止のシステム環境整備
アクセス権や権限の適切な割り当ては、うっかりミスやヒューマンエラーのリスクを軽減します。さらに、USBメモリや外部デバイスへのデータ転送を制限し、私物のパソコンやスマートフォンの使用を禁止することで、不注意による情報漏えいを防止することが可能です。システムにアラート機能を導入し、データアクセス時にエラーを検知・警告する仕組みを整備することで、誤操作が発生した場合でも、その後のセキュリティインシデントを防ぐことができます。これにより、従業員が安心して業務を行える環境を提供できるでしょう。
脆弱性の把握と重点的な対策
デバイス、システム、ネットワークの脆弱性を定期的にチェックし、セキュリティホールを把握することが重要です。特に、VPN機器やサーバー、OS、ソフトウェア、アプリケーションに関しては、最新のセキュリティパッチを適用することが不可欠です。古いネットワーク機器や更新されていないデバイスは、サイバー攻撃の標的となりやすいため、定期的な精査と必要な更新を行いましょう。特に、長期間利用しているデバイスについては、システム的なアップデートが行われているかを確認し、物理的な更新も検討することが必要です。
BYOD環境の管理とセキュリティ強化
私物のスマートフォンやパソコンを業務に利用するBYOD(Bring Your Own Device)は、柔軟な働き方を実現するために有効ですが、セキュリティリスクも伴います。そのため、BYODを採用する場合は、従業員と合意の上で、管理ツールやセキュリティソフトを私物デバイスにインストールし、安全性を高める対策が必要です。ただし、可能であれば私物デバイスの利用は制限し、組織が管理するデバイスやネットワークを使用することが望ましいです。これにより、セキュリティ管理が容易になり、テレワークやリモート業務においても情報漏えいリスクを最小限に抑えることができます。
IT資産と情報資産の一元管理
組織のIT資産(デバイス)と情報資産(データ)を一元管理することで、セキュリティ対策の基盤が強化されます。全てのデバイスやデータを把握し、監視・管理することで、脆弱性やセキュリティホールの発生を未然に防ぎます。局所的なセキュリティ対策では不十分であり、包括的な管理体制を構築することが求められます。特に、情報システム部門やセキュリティ担当者が中心となり、全社的にセキュリティポリシーを策定し、実施することで、安全性と信頼性を向上させることが可能です。
まとめ:情報リテラシーとシステム防御の重要性
今回は、情報リテラシーの基礎知識、そしてその向上方法とセキュリティ対策への応用について解説しました。現代のサイバー攻撃は、ますます巧妙化しており、気づかぬうちに深刻な被害をもたらす手口が増加しています。情報リテラシーが不足している場合、簡単に騙され、企業全体が深刻なリスクに晒される可能性が高まります。特に、サイバー攻撃による被害を防ぐためには、従業員一人ひとりの情報リテラシーとセキュリティ意識を高めることが不可欠です。しかし、それだけでは十分ではありません。システム的な防御対策を併せて強化することで、より強固なセキュリティ体制を構築することが可能です。
企業が直面する脅威は日々進化しており、リテラシーや意識の向上に加え、適切なツールやシステムの導入が効果的な防御策となります。特に、情報リテラシーやセキュリティ意識の向上が課題であると感じている場合は、システム的な防御を強化することを最優先に考えましょう。
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