営業×企画×開発による、ホットプロファイル 開発の裏側ぶっちゃけ座談会<前編>
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「営業の業務をもっと楽に、もっと効率化したい」 社内のやりたいことから誕生した製品
ホットプロファイルは、営業の業務効率化という社内の課題を解決しようとして誕生しました。
製品ユーザーとして、あるいはお客様の代弁者として要望を出した営業、そして製品としての方向性を考え、売り方を考えた企画、それに応えた開発......三者がいま、開発裏話を明かします。
営業がやりたいことを実現するのに、あまりに手間がかかっていました。
その解決ツールを求めたら......結論は新製品づくりでした。
ホットプロファイル誕生のきっかけは?
樋口:ホットプロファイルを作ろうと考えたのは、リーマンショックの時でしたね。当時は世の中の企業がIT投資を控える傾向があり、メイン商材であるIT資産管理ソフトウェア「AssetView」の売り上げがかんばしくありませんでした。
そこで営業を効率化して強化、売り上げを上げたいというのがひとつの課題でした。
池上:あの頃は、電話、訪問、イベントなど、それぞれでアプローチしたリストが全部バラバラのExcelなどで管理されていたので、いつ、誰が、どういうアプローチをしたのかを確認するのが、ものすごい手間でした。
樋口:そうでしたよね。営業が名刺交換した相手のデータを探す時に、あちこち探し回って時間がかかっていました。さらに見つけたデータからのアウトプット、リストづくり、メール配信......となると、収拾がつきませんでした。
最初は「これがすべて解決できる製品があればいいな」と探しましたが、存在しなくて......「じゃあ作るか」と言う話になりました。
さらに、製品化して、自社の新たな商材として販売できたらいいなという思いもありました。
中川:BtoBで売れる製品は、企業で困っていることを楽にするとか、効率化するとか、より良くするというものですよね。では「うちで困っていることは?」と考えたら、営業の課題に目が向けられました。あの頃、非常に困っていて、これを解決できる製品をうちで作れたら、他のお客さんにも、とても役に立つだろうと思いました。
名刺管理・MA・SFAがバラバラでは、やりたいことは実現できませんでした。
既存製品には何が欠けていたのでしょうか?
樋口:やりたいことを実現できるツールを探したとき、名刺管理とMA(マーケティングオートメーション)とSFA(営業支援システム)、それぞれに市場が形成されていて、どの会社も、この市場から飛び出ないでいました。
わたしたちは市場ではなく、「何を実現したいか」という目的で考えていたので、目的を達成するために必要な領域と認識して、3つの領域をひとつにつなげて、組み立てました。
中川:実際の使い勝手を考えると、3つの領域がすべて必要なんですよ。
営業が一番困っていたのは、お客様の情報がいろいろなところに、バラバラにあったことです。「このお客様のところへは過去に誰が行ったのか」、あるいは「誰か電話したことがあるのか?」、そして「この間のセミナーのメール送付対象だろうか?」、さらには「そもそも、そのお客様と取引はあるのか?」、営業はいろいろな情報を見て、情報武装していきます。それを端折って、お客様の所に行ってしまうと、営業としてお客様に適切に対応できませんから。
お客様に関する、すべての情報が一画面で見られることが一番重要です。それはうちだけではなく、どのお客様にも共通の願いだと思います。
樋口:しかし3つの領域を連結させようとして気づいたのは、管理するキーのデータが異なることです。たとえばメールの配信はメールアドレスがキーになりますが、名刺はメールアドレスがキーにはならず、会社名や氏名がキーになります。キーが異なるものをどうまとめるかというのが難しい点でしたね。他のメーカーがやっていなかった理由がやっとわかりました。
結局、名刺をまず名寄せしてお客様データを作り、それに対して全部のデータを紐づけるという、つくりにしました。
必要な情報も見つけやすく、営業が考える条件の顧客のリストアップも簡単に。
営業は圧倒的に作業が楽になったことを実感しました。
ホットプロファイルができたとき、ユーザーである営業担当者の反応は?
池上:私が入社した時は、他社のCRM(顧客関係管理のシステム)が入っていました。そこに案件の情報を入力するときに、お客様の情報も全部一から入力しなければいけませんでした。手間が面倒で、結局必要最低限の情報しか入力しないことが多かったですね。
それがホットプロファイルでは、名刺を登録さえすれば、あとはすぐに報告や商談とかが書けるので、すごく便利になったと感じました。
中川:一般的なSFAを入れようとすると、みんなで一生懸命、入力することが必要になり、大変で、いやになってしまいます。名刺管理で、入り口を全部自動化するところから始めると、楽ですね。自社の課題解決でしたが、これは常にお客様に共感いただける点です。
池上:営業の現場で感じたメリットはまだいろいろあります。
それまではアプローチした履歴が、Excelの複数ファイルや複数シートに分かれていましたが、ホットプロファイルでは全部ひとつの器に入り、お客様の情報を見るのが楽になりましたね。
さらに、お客様のメールに対する反応や、Webサイトのどんな情報を見ているかがわかるようになったので、それに合わせて、営業トークのストーリーなどを考えられるようになったのは大きかったですね。
樋口:ああ、そう言えば、思い出しました。メール内のリンクのクリックやWebサイトの訪問履歴がわかる機能をつけた時に、営業に見せたら「なんで、こんなことまでわかるの!?」と気味悪がっていましたね。
お客様のデータを見れば、Webサイトのどんな情報を見たかがわかるので、勘のいい営業担当者は「これだけ、たくさん見ているなら、このお客さまには電話するしかないでしょ!」と活用が速かったですね。
これまでなら時間がかかり、手間がかかったリストづくりが簡単に。
営業が考える条件の顧客のリストアップが、営業自ら迅速にできる。
ホットプロファイルによって、営業の活動方法に変化はありましたか?
中川:営業の頭の中には売り込みやすいお客様の条件と、売込みに行きたいタイミングがあります。たとえば、1)自分の担当しているこのエリアで、2)まだうちの商品を使っていないお客様で、かつ3)狙い目な(たとえば1000人以上いる規模のお客様で、もしかしたら過去一回でも、うちのセミナーに来た)お客様がいたら、「製品に新たな機能が追加されたので、まず売りに行きたい」などと考えます。でも、それをリスト化するのって、結構大変なんですよ。
以前は、社内の業務の人間に「こういう条件で、これとこれに該当する条件の人だけのリストを出してほしい」というお願いしていました。「じゃあ、再来週までにまとめます」とか言われて、時間がかかっていました。でも営業は待っていられないんですよ。
ホットプロファイルができてからは、条件をポチ、ポチ、ポチと選んだら、リストがピュッと出てきます。人に頼まなくても、営業が自分でリスト作ってすぐ動けるようになったので、タイミングを逃さずに済みます。
樋口:それはお客様のニーズでしたっけ?
中川:自社の課題解決の面が大きかったかな。うちが困っていることを他社に聞くと、「それは困ってるよ」と言うことが多いので。
この「指定した条件で必要な情報をピックアップしてリストが作れる」というのは、やはり3領域連結だからできることなんですよね。
これを名刺管理のツールでやろうとすると、名刺の情報以外は入っていないので、データが出てこない。SFAだと、データは取引がある既存客などに限られ、すべてのお客様のデータが入っているわけではないので、SFAからピックアップしようとすると、データが歯抜け状態ですし、マーケティングの結果の情報も入っていないんですよね。
樋口:そうなんですよね。ホットプロファイルは全部掛け合わせているから、営業が欲しいリストをすぐ出すことができる。たとえばWebのアクセスの履歴、購買の履歴、さらに営業のアプローチ履歴を合わせて、「営業が半年間訪問していないのに、ウェブサイトには来ていて、興味が高そうな、すぐアプローチすべき顧客」をぱっと見つけられます。しかも、その時に、名刺管理で、人脈がわかり、誰に連絡すべきかがわかります。
現場にとってのメリットが見えるから、導入後の浸透が早いんです。
ホットプロファイルを使うメリットは、みんなにすぐ理解されましたか?
中川:ええ。顧客情報を管理する器が変わると、営業現場は最初ちょっと反発します。今まで入れていたものを、また新たな器に入れなきゃいけないですから。
ホットプロファイルも最初は反発がありました。でも、実際に使い出したら、名刺データ入力などは、自動でやってくれるので便利です。メリットが、名刺管理以外にもあるので、それがわかりだすまでの期間は割と短かったですね。
樋口:一般的なSFAは管理がしやすい、上司のためのシステムです。現場は入力作業が増えて、大変になるので、現場が反発します。
それに対して、ホットプロファイルは現場担当者が楽になるシステムですよね。
中川:お客さんも、そこに刺さると早いですね。「これを入れたら、現場がもっと早く動くだろう」とか「現場の動きが良くなるように、これを入れた方がいいんじゃないか」という一言をもらえるとスムーズですね。
複数事業部が同じ顧客企業に同時に別々にアプローチ......などのトラブル防止。
顧客情報を共有するための機能は社内の課題解決から生まれました。
社内の課題解決のために、ホットプロファイルに追加された機能はありましたか?
中川:いろいろありますが、たとえば事業部間での情報共有ですね。
うちは事業部が3つあるんですが、事業部が3つあると営業部隊も3つあります。違うものを売っているので、たとえばお客さんにヒアリングする項目もそれぞれちがいます。たとえば別の事業部においては重要なヒアリング項目が、他の事業部においては全然関係なかったり......。でも、お客様の情報としては共通です。それを一緒に管理するのがけっこう難しい。
そこで、どういう方法をとったかと言うと......項目とか、テンプレートとかを非常に柔軟に作れるようにしました。顧客情報や売上の見込みなど、事業部に関係なく、会社全体で共通の項目はもちろんあります。しかし、事業部ごとに異なる項目もあります。情報は両方入っていますが、事業部ごとの表示テンプレートを使うことにより、自分の事業部に関係ない項目は非表示にして、自分たちが見たい項目だけを表示させられます。
樋口:一方で、共通の項目があるので、数字の集計などは、同じ項目を使うことで、複数事業部にまたがった集計が行えます。
中川:異なる事業部と情報を共有することで、他にもいいことがあります。たとえば私の事業部では誰も訪問したことがないお客様のところに行こうとしたとき、ホットプロファイルで調べると、実は別の事業部の人間が、つい先月、訪問していたことがわかる場合があります。知らずに行けば、初訪問のつもりで訪問して、客先で恥ずかしい思いをしたでしょう。
営業がまだ数人という規模なら、そこまで必要ないでしょうが、人数が増えてきて、事業部が増えてきたら、情報の共有は、どうしても必要です。
前編では、ホットプロファイルが生まれた経緯をお届けしました。この開発裏話を読んでいただくと、ホットプロファイルが一般的な名刺管理ツールやSFAなどと、どうちがうのか、なぜそうなったのか、少しご理解いただけたのではないでしょうか。
後編では、お客さまからのリクエストで追加された機能、サービスの開発秘話をお届けします。