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企業ZOOM UP ハンモック - “厳しく、緩い!” パッケージ・ソフト会社

掲載日:2014/07/30

※帝国データバンク発行 TDB TEIKOKU NEWS daily 掲載記事に掲載された記事より転載
 掲載されております内容は、掲載日または更新日時点のものです。


ハンモック ― “厳しく、緩い!” パッケージ・ソフト会社

パッケージ・ソフト開発、販売の(株)ハンモックの若山正美社長は、熾烈な競争、大袈裟に言うなら死線を潜り抜けた経験のある者だけが持つ非常に鋭い目をしている。そしておそらく、仕事においては本当に厳しい。  
しかしそれだけではない。今年度のスローガンはAKBをもじった、というよりそのままの「前しか向かねえ」であり、中期経営計画の数値目標に添えられているのは「いい会社強い会社楽しい会社」のただ一語。ある種のゆるさも持ち合わせている。筆者が思うに、この厳しさと緩さのギャップには若山社長の40年以上に渡るビジネス経験がそのまま投影されている。それは我々サラリーマンにとっても、なかなかに示唆に富むエピソードだ。
若山社長がコンピュータ業界の巨人、日本IBMに入社したのが1970年。同期は2000人、営業も、英会話も、人の何倍も努力したという。トップとも定期的に面談できる幹部養成コースに乗り、30歳で課長、35歳で部長となり、まさに飛ぶ鳥落とす勢いで出世した。しかし、「たぶんどこかで、道を踏み外したんですね(笑)」。
「サラリーマンにとって、もっとも大切なのは仕事に対する誠実さですが、これと出世は矛盾するところがある。当時は野心満々、成果を上げて、上に行くために無理をする。当然、社内外にさまざまなひずみが生じたり、ケンカしてはいけない相手と対立してしまったり(笑)、色々あって少なくとも自分はもう決して社長にはなれないとわかった。不思議なもので、道を踏み外したことは自分ではっきりとわかるものです」。
そこからの決断は早かった。23年間のサラリーマン生活に別れを告げ、94年にパソコン、オフコンなどハードウェアを取り扱う販社を立ち上げた。ところが、これが見事に売れなかったという。「取りたてて安くもなく、特別なサービスもなく、ソフトウェアの付加価値もない。
若山社長

若山社長は現在66歳。ビジネスマンとしての生き様が、シブい!の一言。

今にして思えば当社と取引するメリットがないわけです」。そこに気がつき、新商材としたライセンス管理の「KeyServer」で瞬く間に設立初年度から黒字化した。その後はネットワーク商品を次々に投入、現在はIT資産管理ソフトを主体に大手優良顧客を擁し、確固たる営業基盤を築いている。官需と民需、直接/間接受注のバランスを取りつつ、従業員の給与や福利厚生にも目を配る王道的な経営を心がけているようだ。今後はニッチ・アプリケーションだけでなく、メジャー・アプリの開発にも力を入れていく方針で、潜在顧客を発掘、新規案件獲得に結びつける営業支援ソフトなどに注力していく方針という。
若山社長に、IBMで学んだこと、経験したことが今の社長業でどう活きているか、聞いてみた。ある意味当然だが、直接的にはないという。業界のガリバーが持つパワーや商品力と、ベンチャー企業が選択すべき商品戦略や経営手法は異なるからだ。しかし、IBMをIBMたらしめた「目標を設定したら絶対に達成する」企業マインドだけは、体に染み着いているという。その上で、闘い続けた人だけが持つ他者への寛容が、当社のどことなく余裕を感じさせる社風をかたち作っているのかもしれない。

会社概要


株式会社ハンモック
帝国データバンク企業コード:984774238
東京都豊島区高田3-19-10、電話03-5957-3630
代表:若山 正美(ワカヤマ マサミ)氏
設立:1994年(平成6年)4月
資本金:2000万円
事業内容:パッケージ・ソフト開発、販売
年売上高:約15億円(2014.3)
URL:https://www.hammock.jp/


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