2016年9月アーカイブ

潮騒

潮騒

潮騒や ときおり交じる 虫の声

眼前の海は夕方から夜にかけて、どんどん暗くなっていく。

潮風に吹かれながらじっと海を見つめていると、潮騒だけが聞こえてくる。

そして、虫の声が潮騒に交じって聞こえる。

いよいよ秋の訪れが近づいてきた。



夜明け

夜明け

冷やかに 幕を開けたり 大海原

目を覚ますと明け方近いのに外はまだ暗かった。

窓から見える太平洋が少しずつ明るさを増し、

漁に出る漁船の明りが水平線に向って動いていく。

いよいよ夜明けが始まった。

まるで幕を開けたように一瞬のうちに明るくなって、大海原が眼下に広がった。



秋分の日

秋分の日

墓参り すすきの原を 訪ねけり

秋分の日に父母の墓参りをしてきた。

墓地のまわりには、まだ赤い穂が残る若々しいすすきが風に揺れていた。

ふだんは人気のない墓地に、すすきの原はふさわしいのかもしれない。



秋雨(2016年9月)

秋雨

我街に 秋の雨降る しずかなり

秋雨前線が活発になり、東京は雨の日が増えてきた。

気温も落着いて、徐々に秋の風情がただよい始めた。

雨が降ると人通りが少なくなり、特に裏通りは人の姿が見えなくなる。

ほんとうにしずかなものだ。



赤信号

赤信号

秋曇り 空穿うがちけり 赤信号

秋雨前線が停滞し、曇り空が多くなってきた。

今年は台風も連続発生し、秋の青空が待ちどおしい。

ふと見上げた曇り空に信号機の赤色が、まるで穴でもあけたように煌めいていた。



法師蝉

法師蝉

病癒え 街歩く日や 法師蝉

蕁麻疹にかかった。全身に発疹が出て、かゆみがとまらない。

抗ヒスタミン剤を服用し、かゆみと発疹を抑えたが、

今度は腹痛が始まり、ものが食べられない。なんと一週間。

会社に出ては休みを繰り返して、ようやく落ち着いた。

病気から解放され、歩く街は何とも言えずやさしく、

夏の終わりを告げるつくつく法師がもの悲しく鳴いていた。



斜陽

斜陽

朝日傾きて 夏の終り

夏の青空が広がる、朝の風景。

それでも今まで高く輝いていた太陽は、ゆっくりゆっくり傾斜を強め、

影を少しずつ伸ばし始めている。

もう秋の気配が漂い始めた。



夏の終り

夏の終り

蝉の声 かそけくなりぬ 杉木立

灼熱の光でいっぱいだった真夏が過ぎ、朝の陽光も柔らかさを増してきた。

いつの間にか蝉の声を聞かなくなり、いよいよ夏も終りを迎えようとしている。

六十何度目かの夏よ、さようなら。



富士山

富士山

黒き肌 猛々しきは 夏の富士

南アルプス市を車で走っていたら、眼前に黒い大きな山が見えてきた。

よく見ると富士山らしい。

頂上付近の白い冠雪は溶けて、黒い地肌が露出している。

富士山は雪があってこそ優美に見えるが、

雪のない富士山は大きく、猛々しく、怖そうだ。