2015年10月アーカイブ

居酒屋

居酒屋

居酒屋の 赤い灯いざなう 秋の宵

暗くなると、居酒屋の提灯が赤く灯る。

そろそろ熱燗の恋しい季節となって、つい足が向いてしまう。

今夜はししゃもとおでんでもつまんで一杯るか。



夕陽

夕陽

秋半ば たそがれ前の 夕陽かな

秋の陽はつるべ落しとはよく言ったもので、

この頃の陽の落るのはほんとうに早い。

いつのまにか陽が落ちて、夕暮になってしまう。

今日も夕陽が輝いていたと思ったら、

街角のビルの谷間に沈んでいってしまった。


ただ、暗くなる前の夕陽の輝きは忘れられない。



異国

異国

秋寒や 異国の丘の 住まいかな

知らない土地に住まうのは孤独なものである。

ましてや外国に一人で移住し、生きてゆくのは寂しくつらいものであろう。

秋の訪れとともに朝晩の寒さが身にしみたに違いない。



アップルパイ

アップルパイ

初摘みの リンゴの香り 包み込む

菓子作りの好きな少女が、アップルパイを作ったからと持ってきてくれた。

サクサクとした歯触りの後、やさしいリンゴの香りが口の中に広がり、

お菓子屋のものではない菓子の味がした。



紫式部

紫式部

朝寒や 驚き隠せぬ 小紫

いよいよ寒くなってきた。

この秋初めて実をつけた紫式部も、朝の寒さに縮こまっているようにみえる。

今年の冬はほんとうに寒くなるかもしれない。

(小紫 - 紫式部の別名)



萩

あれは萩 蝶々のごとき 姿態かな

朝の散歩道。偶然萩の花をみつけた。

ピンクや紫の小さな花が、まるで蝶々がとんでいるかのように、

緑の中にいきづいていた。

とてもかわいらしい花で、秋の到来を実感せずにはいられない。



虫の声

虫の声

石炭を 燃やし尽くして 虫の声

ウイスキーの製造工程の一つに、蒸留がある。

穀物を発酵させたアルコール含有液を蒸留機にかけて、

アルコール濃度の高い酒にする。

蒸留機は石炭を燃やして、蒸留する。

秋になると燃やしつくした石炭の後に虫の声が聞こえてくる。



樽の酒

樽の酒

ほろ酔の 天使が踊る 樽の酒

ウイスキーは樽に入れて寝かせているうちにアルコール分が蒸発して、

どんどん量が減っていくらしい。

減った分はエンジェルシェア、天使の分け前と呼ぶらしい。

こんなにきつい原酒を飲めば、天使も酔っぱらうに違いない。



すすき

すすき

かなしみは 大地をおおう すすきかな

荒涼たる北の岬に行った。

岬一面をおおうすすきが、もう寒さを感じさせる風に吹かれて、

かなしげに揺れていた。

北国の空はさみしいかぎりだ。



秋明菊

秋明菊

秋明菊 身の振り方は 風まかせ

秋明菊は首の長い、たおやかでたよりない風情のアネモネの一種らしい。

首の長い分、花にまとまりがなく、いろいろな方向を向いている。

風が吹くと、花は思い思いに揺れて、どこに落ち着くのか定かではない。



曼珠沙華

曼珠沙華

副都心 分離帯にも 曼珠沙華

甲州街道沿いでも、もっとも交通量の多いのは新宿駅付近であろう。

その排気ガスが充満する道路の真中に

どんな環境にも負けない優雅な姿を見せていたのは、

曼珠沙華の朱い花であった。