2013年10月アーカイブ

老葉

老葉

柔らかき 紅葉こうよう前の 緑かな

そろそろ紅葉こうようが始まろうとしている。

緑の季節も終わりに近づき、イキイキと勢いのあった緑も、

優しく柔らかに終焉の時を迎えようとしている。

生れたばかりの若葉は瑞々しく柔らかいが、紅葉こうよう前の老葉わくらばも柔らかく優しい。

今週は秋晴れが続きそうだ。



てつびん

てつびん

てつびんの 冷たく匂う 秋となり

朝晩が寒くなってきた。

朝早く起きた時など、てつびんを見ると、

その冷たさが伝わってきて秋の深まりを実感させる。



朝顔(2013年)

朝顔

朝顔や 一輪の残す 遅い秋

今年は夏が長く、秋が来るのが遅かった。

ここ何日かは、ようやく秋らしい天気が続いたが、

それでも少し陽が差すと、すぐに夏日が戻ってくる。

朝顔もいつまでも花が残り、

11月になろうとしているのにまだ勢いは失われていない。



洋服店

洋服店

秋寒や 時を忘れた 洋服店

秋が急激に深くなってきた。

昨日など一日中雨が降って、まるで冬のような寒さだった。

夕方には雨はあがったが、夜になると寒さが身にしみて、

陰鬱な一日だった。

駅から家への道すがら、ふとかたわらには、

昭和から変らぬ洋服店が昔のたたづまいで、店をあけていた。



名月

名月

名月や 「静かの海」も 輝けり

もちろん、こんなに大きくて丸い月を肉眼で見ることはできない。

望遠レンズを通してみる秋の月は白く輝いていて、

まるで白い西瓜のようだ。

そして、同時に、宇宙の深淵を垣間見せているようでもある。



秋の陽(2013年)

秋の陽

秋陽さし 多摩丘陵は めざめけり

厚くおおっていた雲の間から秋の陽がさしこんできた。

多摩川の岸辺も多摩丘陵も秋の陽に照らされて、いっぺんにめざめた。

クリーンセンターの白い壁も家々の壁も光を反射し、輝いていた。



川鵜

川鵜

秋風や 家路を急ぐ 川鵜かな

近くの川には川鵜が多数生息している。

夕方になると電線にとまったり、餌をあさったりしていた鳥たちは、

いっせいに家路につきはじめる。

その姿を見ると、もう秋が深くなったなあと、

思わずひとりごとを言ってしまう。



まっすぐな道

まっすぐな道

まっすぐな道を走り続ける

多摩川沿いにまっすぐな道がある。

この道にくると、どこまでもまっすぐ走っていけるような気がする。

そして心も少し高揚する。

しかし、現実には1分も走らないうちに曲がり角があらわれ、

ブレーキを踏むことになる。



金木犀(2013年)

金木犀

あと五分 暗くなるまで 金木犀

10月になると街角や公園のそばの道では金木犀の匂いがただよってくる。

人によっては好き嫌いのある匂いかもしれないが、

私にとってはなつかしく、いつまでも嗅いでいたい匂いだ。

今日も帰りの途中で、金木犀の匂いがしたので、花のそばに近寄り、

ついつい5分、10分寄道し、いつの間にか、暗くなってしまった。



川向う

川向う

キクイモや 川向うには 青い鳥

秋になると多摩川の岸辺にはキクイモが黄色い花を咲かせる。

まるでコスモスのようにそこいら中に黄色の花が咲き乱れる。

風に揺れる花は寂しげで、何かをうらやんでいるように見える。

きっと川向うにはこちら側には無い、素晴らしいものがあるかのように、

思っているのかも知れない。

どこにも歩いていけない植物達はただ黙ってその場で生き続けるしかない。



会議室

会議室

長い影 落として秋の 会議室

まだ12時前だというのに、会議室はもう夕暮れのように薄暗くなっていた。

太陽がかたむくのが早くなり、いつの間にか影が長くなって、秋が訪れた。

会議室もなんだか寂しそう。