2013年4月アーカイブ

サイドミラー

サイドミラー

サイドミラーには 春の夕暮れ

サイドミラー越しに見る街の風景が一変してしまった。

グレーや黒で縁取れらていた寒々しい季節が光にあふれ、

緑やピンクのあたたかい色に変ってきた。

空はますます青く、雲さえも形を変えてきている。

サイドミラーの中の夕暮は春を凝縮し、切りとったかのようだ。



春霞(2013年)

春霞

富士ひとつ 隠しきれずに 春がすみ

今日は朝から良く晴れた。

午後になると気温もあがり、ぽかぽかと、気分が良くなって、

少し眠気を催すほどであった。

空には徐々に霞がかかり、遠くが見えにくくなってきた。

しかし、よく見るとさすがに富士山は隠しきれないようだ。

かすかに残る富士山はその存在を主張しているかのようであるが、

一方では茫洋と存在が危いようにも見える。

まるで人間の存在のはかなさと同じではないか。



冷たい風

冷たい風

この春の 風の冷たさ 知らざりき

春は気温の変化が激しい。

暖かい日が続いたかと思えば、急に寒くなって、冬の気候に逆もどりしたり、

なかなか安定しない。

今年の春も例年以上に気温が変化していて、今日は特に風が冷たい。

しかしこの風の冷たさも、二度と同じ日はないことを思えば、

なつかしく、貴重なものなのではないだろうか。

もう会えない父にも母にも、亡くなった友にも、

この春の風の冷たさを知らせたい気がしてならない。



佇立

佇立

立ちつくす 芽ぶきの遅い 百日紅さるすべり

今年は若葉の季節が早い。

けやきの若葉はさくらが満開の頃には既に柔らかな緑を風に揺らしていた。

葉桜がいっぱいになり、今や多くの落葉樹は新芽を出し、

若葉の盛りを迎えようとしている。

そんな中、百日紅だけはまだ、ほんのわずかの新芽が顔を出したばかりで、

きわだって芽ぶきが遅い。

夕暮のおとずれる頃、百日紅のすべすべした木肌が、

裸のまま佇立している姿はいかにも寒々しい。

しかしこの芽ぶきの遅さは

花の生命の長さを補うためにどうしても必要なのかもしれない。



花水木(2013年)

花水木

ハナミズキ 初登校の 朝の道

新学期が始まった。

例年であれば、新入生は満開の桜並木の下を初登校したのであろうが、

今年は桜が早く咲き、この時期には殆んど散ってしまった。

しかし、今年は桜にかわって花水木が白やピンクの花をつけ、

初登校の生徒を迎えた。

小さくかわいらしい花びらが、朝の清澄な空気の中、瑞々しい風情をたたえていた。



春

木洩れ陽の 揺れる庭先 犬が鳴く

春になった。春は光が輝く。風が木の葉を揺らす。

そして、犬が遠くで吠える。時間がゆっくり流れ、たまには眠くなったりもする。

春は他のどの季節より気持が良い。

草や木が芽ぶき、どんどん成長する。世の中が緑で染まる。

でも、春はあっという間に過ぎていってしまいそうだ。



分かれ道

分かれ道

分かれ道 俺は知らぬと 地蔵尊

知り合いの家を訪ねようとして、道に迷ってしまった。

何度か行ったことがあったので、迷うはずもなかったのに、

二叉路のどちらが良かったのか分らなくなった。

丁度分かれ道の中間に地蔵尊の祠が建っていたが、教えてくれるはずもなく、

結局携帯で確認することにした。

「どっちの道を選ぶのも自分の責任」ということであろうか。



葉桜

葉桜

葉桜や 緑やさしく 生まれけり

さくらが散りはじめると、その中から葉桜が顔を出しはじめる。

葉桜は、散ってゆくピンクの花びらに染まって、やさしく淡い緑色をしている。

初々しく、そして瑞々しい。

まるで、夏の暑さを経験し、猛々しくなる前の、

春のやさしさの化身のように思える。

しかしこのやさしさはいつまでも続かない。

ほんのいっときの慰めかもしれない。



幟

春風や のぼりいざなう さくら餅

ようやく心地良い春風の季節になってきた。

黄砂がおさまっている日には、そよ風に誘われて、

駅から続く並木道を散歩したくなる。

路地を入ったところに、茶娘の看板が目についた。その後ろには、お茶の幟。

春風と幟に刺激されて、さくら餅でも買って帰ろうかという気分になった。

おやつの時間にはおいしいお茶をいれて、さくら餅を楽しみたいものだ。



散るを待つ

散るを待つ

咲ききって 静かに散るを 待つばかり

今年のさくらは早めに咲いた。しかも花冷えが続いて、いつもより長く咲いていた。

3月末の週末でも、満開のさくらを見ることができた。

その週末のさくらは、もういいというほど咲ききって、散るのを静かに待っていた。

曇り空の下で、風が吹けば、花吹雪となって散ってしまいそうに、

もう限界まで咲きつくしていた。

今年のさくらのように、咲き誇り、咲ききることができたらと、

少しうらやましく感じた。