2012年11月アーカイブ

梢

むきだしの 梢涼しき 冬の風

トドマツや白樺などの針葉樹や落葉樹が霊園のまわりを囲むように植えられている。

これらの木々は大きくなって冷たい風からお墓を守っている。

しかし、肌寒さを感じる今日のような日には、

むきだしになった白樺の梢が冬の風に吹かれるたび、

寒いような涼しいような、何ともあらわしがたい気持ちにさせられる。



参道

参道

もみじ葉を あしらいてなお 道寂し

霊園の参道にはもみじの葉が散っていた。

ところどころ水気をふくんだ雨あがりの道に紅葉したもみじの葉が三々五々、

重なったり、離れたり、何かの模様のように散らばっていた。

赤や黄色に色づいた木の葉に彩られた道ではあるければ、

人気のない霊園の寂しさはまぎらわせない。

長く伸びた木々の影の中で佇むばかりだった。



霊園

霊園

息をのむ 紅葉もみじお墓に 寄りそいて

11月の初旬、学生の頃からの友人の墓参りに、札幌郊外の里塚霊園を訪れた。

札幌の中心街から、千歳空港に向かう道を車で20分程度走ると、

静かなたたずまいの霊園があらわれる。

参道を歩くとお墓のまわりの樹々が紅葉して、息をのむほど美しい。

まるでお墓を守るように、かしずくように寄り添っていた。



秋晴れ

秋晴れ

秋晴れの 空青きこと 高きこと

朝から気持ちよく晴れた。

雲一つない空は青く澄みわたり、どこまでも続いている。

よく見るとまだ月がかすかに中空に残っている。

こんな日は心が解き放たれて、望みが全てかなうような気がする。

空に向かって「あー」と大きく伸びをした。



猫

トタン屋根 猫一匹の 昼下がり

トタン屋根に猫が座っていた。

曇ってはいたが、今日はそんなに寒くない。

電線に止まっている鳥を眺めたり、道ゆく人を少し警戒したりしながら、

午後の一時を楽しんでいるかのようだった。

猫にも悩みはあるのだろうか?



フロントガラス

フロントガラス

秋寒や フロントガラスが にじむ夜

この頃は陽が落ちるのが早い。陽が落ちると急に気温が下がる。

今日はさらに雨が降り出した。

秋の雨は空気を冷やして、寒さが身に染みる。

車のフロントガラスが雨ににじんで、涙に霞んでいるかのようだ。



廃屋

廃屋

廃屋を 訪れるたび 疼く胸

母が他界して、母の住んでいた家は誰も人が住まなくなった。

人が住まない家はどんどんさびれていく。

壁のつたはますます勢いを増し、家の中は朽ち始める。

そんな廃屋になってゆく家を訪れるたびに胸の中に穴があいたような寂しさと、

もう母に会えないという心の疼きが襲ってくる。



寒花火

寒花火

華やかで 寂しさ募る 寒花火

調布花火大会は例年夏に行われる。大震災の影響で昨年は中止。

今年は秋も深まった10月20日に、少し規模を小さくして行われた。

秋の花火は澄んだ空気の中で、とても華やかで綺麗だったが、

寒さのせいか、終わった後の寂しさは、とても口では言いあらわせない。

やっぱり花火は夏がいい。



茜雲

茜雲

秋空や 暗くなるまで 茜雲

秋の日はつるべ落としとはよく言ったもので、

今まで青空だったのが急に暗くなり、いつの間にか真っ暗になってしまう。

しかし夕陽のきれいな日には、暗くなる前の一瞬が輝くほどの美しさをみせる。

茜雲が空いっぱいに広がり、幻想的な風景を生みだす。

それは、怖いような、なんだか不思議な気分にさせる。